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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六
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トウキョウへの道

 翌日、起床ラッパと共に65人は起きた。正確には64人であるが。

 沖田大佐は、早朝に上田少将に呼ばれて、既に着替えていた。沖田大佐以下厳龍乗員65名には、日本海軍の真新しい被服が、先日の深夜に配られていた。その真新しい帝国海軍の制服ではなく、上田少将が用意してくれていたスーツを来て、既に東京行きの電車に乗っていた。

 最も、この頃は現代のような列車ではなく、石炭で走るSL機関車であった。上田少将と沖田の両名に一人だけ同行員がついた。

 その人物は、昨日沖田に制服を盗まれた秋山秀夫中佐であった。挨拶もそうそうに、片道20時間というとてつもなく長い時間を汽車の中で過ごした沖田は、ずっと外を眺めていた。

 どこをどう見渡しても、教科書て見た貧しい1945年の貧しい日本だった。それは、何も周りの景色だけではない。列車に乗り込んで来る兵隊をみても、それが赤紙によって戦地に送られる兵士だと言う事くらいは分かった。

 早朝に広島を立ってから、東京に着いたのは夕方もふけ夜になっていた。現代の日本と違い、新幹線などはないためこの時代では当たり前の事てあった。自動車もあったが、庶民にとっては高嶺の花であった為、盆暮れでもなければ、長距離移動をする事はまずなかった。

 長い車中で分かった事もいくつかある。上田少将は大阪で生まれてすぐに、神戸に行きそこで少年時代を過ごし、海軍兵学校に進んだという事。秋山中佐は、山口県下関で生まれて旧制中学校卒業と同時に海軍兵学校の門を叩いた事。この二点だった。

 沖田も出自を話したかったが、上田少将から口止めされていたことをふと思い出した。上官の命令は絶対である。逆らえば日本海軍伝統の鉄拳制裁の餌食である。上田少将も秋山中佐もそれ以上の事は、話さなかった。少しドライな感じかしたが、沖田には新鮮な感じがして好印象であった。

 ただ、指揮下に入ってるとは言え、自分は異世界から来た者であることに違いはなかった。その為、上田少将も秋山中佐も互いに一歩引いて駆け引きを展開しようとしていた。

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