表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六
昭和の大日本帝国海軍の潜水艦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/252

ジャップの刀

 1947年9月、にわかに戦争の機運が高まるような出来事が、日本とアメリカの間で起こってしまう。

 事件は東京・渋谷で発生した。

 修学旅行で日本を訪れていた学生らが、悪ふざけをして、由緒正しき銅像や、公共物に落書きを始めたのである。

 最初は誰も気にも止めなかったが、その時たまたま近くを通りかかった右翼団体の人間が、それを見てしまい、直ぐ様応援を呼んで乱闘でも始めるかと思っていたら、かなり本気だったらしく、日本刀をを持ち出してきて、落書きをしていたアメリカ人学生を、次々と切りつけたのである。

 この事件は警察沙汰になるだけでなく、翌日の新聞にも1面で記載された。そのニュースは、海を越えてアメリカ各地でも報じられた。アメリカ人学生3人が重傷、10人を越えるアメリカ人学生が切られて軽症だった。

 日本の警察は一時容疑者である、右翼団体のメンバーを逮捕、身柄を拘束したものの、動機がアメリカ人学生に悪さがあるとして、起訴もせずに釈放した。

 この異例の対応に噛みついたのは、アメリカ側だった。何故人を傷つけておきながら、そのような軽い罪で済むのか?と。

 しかし、日本の世論も政府の対応も、右翼団体のメンバーに同情的で、それがアメリカ側の怒りにスイッチを入れてしまったようである。

 この事件の余波は留まる事を知らず、ついには日米の外向問題にまで発展してしまう。

 アメリカは日本との貿易を中止し、この事件に納得の行く答えが得られるまで、ガンとして動かないという強硬な姿勢を示していた。

 日本政府は、冷静にその状況を注視していくつもりだったが、対米貿易は、日本にとって言わば、「お得意様」であり、この対応は日本経済にとって痛かった。

 後に9.23アメリカ人学生襲撃事件と呼ばれる様になるこの事件が、アメリカとの戦争の火種になろうとは、日米両国民は思ってもみなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ