懸念事項
次の戦いに勝つのは、アメリカか、日本か、それは分からない。ただ、予想を立てる事は出来る。
日本のバックに中国とロシアがついた事は、日本にとって、最大のプラス要因だった。
もし、この2か国が敵対し、アメリカにでもつくようなら、旗色は全く違ったものになっていた事だろう。
対するアメリカは、正直言って日本のような大型補強を成功させた訳ではない。恐らく、日本よりアメリカの方が、今回は戦いづらいものであったと思われる。
アメリカの最大の同盟国イギリスが、ロシアや中国の2か国の戦力に、及んでいないと言う事、よりもアメリカ海軍の艦艇の消耗が激しかった事が、その要因だとアメリカ政府高官は、話していたらしい。
日本海軍も手負いではあったものの、アメリカとの痛み分けに終わった、と言う名の通り損害は0ではなかった。
日本側にももちろん、懸念事項が無いわけではない。
戦前に比べて、日本海軍機動部隊の錬度は、あまり高いものではないし、質という面においては、実戦経験の乏しい若手パイロットが、大半を占める現状の日本海軍航空隊では、計算しにくい。
そして、中国やロシアとどこまで協力出来るのか、という事が、最大のネックであった。
アメリカ、イギリスを中心とした英語圏の国々と、日本・中国・ロシアを含む非英語圏という対決構造になった。日本が、その影響力をどこまで、伸ばして行けるかが、2度めの勝利の条件だった。
そして、いつアメリカが、新型爆弾を使うのか、使わないのか。そこにもフォーカスが当てられる所ではある。
アメリカの世論は、折角少なくない金を出しているのだから、何かの役に立って欲しい。と考える意見が、世論の多数を占めていた。
戦争で仮に、その新型爆弾を使わなくてはならない状況ならば、使うのもやむなし。という答えが、圧倒的なものであった。
そんな情勢の中、戸村先任曹長と戻ってきた近田中佐が、戦況を分析していた。




