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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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痛み分け?

 米内海軍大臣の仕掛けたトラップは、一応成功した。しかし、アメリカとの講和に持ち込むには、まだ障害が残っていた。

 講和をいつするのかというタイミングの問題もあったし、その後の日本のビジョンは、どんなものにするのかという問題も残っていた。

 正直、このまま戦い続けるのは、日本もアメリカも、苦しかった。そんな状況が1年9ヶ月続いた。局地戦闘こそ、あったものの、開戦時のような激しいドンパチは、滅多に見られなくなっていた。

 厳龍も呉基地から遠く離れた、作戦海域に派遣される事もなかった。日本海軍もアメリカ海軍も、失った力を取り戻しつつあったものの、両者最後の大乱闘を機に、痛み分けとして、講和に持ち込む作戦を画策していた。

 それは、世論を巻き込む事で、世間の空気を講和に向けたい狙いもあったし、一発ガツンと殴りこみをして、終わりたいという欲求もあった。後は、日米どちらかが、しびれを切らして動きだすような、駆け引きが日米両海軍の間で、続いていた。

 そのしびれるような展開は、現場にも伝わっていた。それは、長谷川大尉と大木曹長の会話からも伝わる。

 「おい、大木曹長。聞いたか?今度の出撃。」

 「ああ、聞きましたよ。でも有り得ないですよ。この場に及んでドンパチなんて。」

 「上層部は、何を考えてるんだかな。さっさと講和しろっての。」

 「本当ですよね。大体において、叩けるかどうかも怪しいってのに。」

 「叩ける時に、叩かなかったツケは、パールハーバーだけで充分だっての。」

 「正直、厳龍一隻で、アメリカの空母二隻は沈められますね。」

 「中途半端じゃないか?厳龍があれば、アメリカ海軍を全滅させられるぞ。」

 「大きく出ましたな、長谷川大尉。でもその通りですよ。」

 「もうすぐ、戦争も終わるな。まだ分からんが、そんな臭いがする。」

 「そうなると良いですね。軍人にとって講和は、naval holiday の始まりですからね。」

 二人は呑気に会話していたが、1947年5月の段階では、まだ日本は劣勢にあった。 

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