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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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戦後のアイデンティティー

 そんな雑談もあったが、約40分前後で厳龍へのハープーン級USMは爆装は完了した。3人の会話は、飾り気のない厳龍乗員の下っ端や中間層にいる人物の本音だった。

 戦っているのは、未来の兵器であっても中にいる人間達は、青年期の男達である。戸惑いや迷いもあれば、感情もある。相澤二等兵の様に、日本海軍に利用されていると感じている乗員も彼だけではなかった。それでも今は艦長沖田の指揮下に入ることでしか、生存権が確立されていない以上嫌でも従うしか方法はなかった。

 半日あるかも分からない外出を楽しんで戻ってくれば、もしや二度と祖国の地をこの足で踏みしめる事は出来ないかもしれない。

そんな状況でも、敵艦は容赦なく襲ってくる。今はアメリカ海軍の艦船を相手に、搭載された魚雷を命中させ敵の作戦を阻止すること以外に生き残る道はない。

 それが厳龍という、未来の兵器であるという一点で、今の日本を動かせる力を持っている。という事を、大本営の米内海軍大臣は重きを置いていた。

 厳龍乗員にとって見れば、日米同盟を基軸とした最大の味方であり、アメリカのする事には何でもYES(はい。)と答えてきた。あるいは、そうする様に教えられてきた世代が中心となっている以上、今やっている事はそれらを全否定する事で矛盾を心に感じる事になる。

 沖田は、その辺りの心境がよく分かっており、何とかやりすごす為には、ここは1945年の敗戦前なんだぞという事を繰返し隊員に刷り込みをした。そうすることて、自らの存在を否定する事なく、矛盾を感じたとしてもそれほどストレスに感じる事なく、厳龍での任務に当たれていた。

 アメリカが味方だった時代に生きていた者にとって、それは、全てのアイデンティティーを否定する行動を取らなければならないというのは、確かにストレスフルな事であった。

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