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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六
昭和の大日本帝国海軍の潜水艦

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監視員と酒癖の悪い士官

 長期任務前の休暇や外出は、はめをついはずしすぎてしまうものであり、二等兵であろうと左官クラスの幹部とて、同じ様にはめをはずしすぎてしまう。山川二等兵と伊沢少佐はその典型的な例である。

 山川二等兵は、高校を出てすぐ自衛隊に入隊した。元々、潜水艦乗り志望ではなく、自衛隊に入隊した理由は、調理師免許を金をもらいながら取得する為であり、平和ボケした日本人らしい平成ヤングだった。まだ教育過程を修了したばかりの新米(ペーペー)だった。配置は兵糧科の給養員である。

 その山川二等兵とは対照的に、伊沢少佐は、防大卒のエリートでまだ30代後半にしかならない年代であった。順調に出世をしていたのが、伊沢少佐という男であった。ただ、一点だけ欠点がある。酒癖が悪いという事である。外出した時も、あまり飲ませない様に、見張りをつける程の酒癖の悪さは海上自衛隊のちょっとした名物であった。

 その二人が外出時に一緒だったのは、山川二等兵が伊沢少佐の監視員であったからである。山川二等兵は折角の外出もおじゃんだと思ったが、伊沢少佐は同行してくれた部下に自らの金で奢るという訳の分からない慣習があった。

 「山川二等兵は、入隊してどのくらいになる?」

 「この春(2012年)卒業でしたから、半年程です。」

 「ずっと自衛隊にいる気はないのか?」

 「最初は調理師免許を取得したら、ズラをかろうと思っていましたが、タイムスリップしてからはそんな気持ちはなくなりました。」

山川二等兵は妙にすっきりとした顔をしていた。

 「でも、元の世界に戻れたら調理師の免許をとって自衛隊を辞めるんだろう?」

 「それはその時になったら考えます。でも、私のような人間から言わせてもらえば、酒癖が悪いからといって、隊員に見張らせるような不自由な環境にずっといては、息もつまると思います。」

「そこはすまんと思っている。そう思って食事代は俺から出している。」

「まぁ自分は気にしてません。艦長命令なので。」

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