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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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ギャンブル

 整備が終了すのは、二日後。その時にはテニアン島周辺海域への出発する日でもあった。

 沖田は乗員63名全員に外出許可を出した。次はいつ陸地に戻れるか分からない。

 帝国海軍から支給された給金で楽しんで来るように、経理課を通して給料を支給した。ボーナス付きで。トラブル防止の為、同じ階級の5人1組で行動するよう指示をした。

 その間にも沖田には遊んでいる余裕はなかった。原子爆弾の恐ろしさは、教科書の一ページとなっていた。だが青年期の沖田幸三にも衝撃的なものであった。もう今更、歴史を変えてはいけないとか正論にこだわっている時ではなかった。

 日本本土に甚大なる被害を与える事が分かっている以上、その存在を黙って見過ごす事は出来なかった。大本営の米内光政海軍大臣が、この作戦を厳龍に指示したのは正解である。水上艦船で破壊出来たとしても、早急に現場を離れなければ新型爆弾つまり、原子爆弾の巻き添えを食らってしまうからである。その点、潜水艦ならば敵に見つからず、巻き添えを食らう事もない。この米国の国家予算並(1945年当時)にも及ぶ破壊兵器を輸送中に破壊出来れば、日本にとっては追い風が吹くことなる。

 沖縄戦とはまた違った意味で厳龍には、新たなスキルが求められていた。敵がいつどこから来るのか分からない所も、厳龍にとっては悩みの種であった。帰るための事を考えると、燃料も踏まえて現場海域に居られる期間は7日~10日が限度であった。

 長く潜れるとは言え、厳龍とて通常動力型潜水艦であることに変わりはない。沖田は上田少将にこう言った。

 「上さん、こりゃ賭けですわ。」

上田少将もこう言った。

 「お前さん方に日本は賭けとるんだよ。」

なるほど。

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