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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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空母赤城見参

下北半島沖海戦で、米国海軍原子力空母ニミッツ率いる空母打撃群の壊滅に成功した海上自衛隊は、これを内閣総理大臣田中恵理に報告した。時同じくして、亡きくろしお艦長矢村竜矢二等海佐ら潜水艦部隊が撃沈したとされる、米国海軍原子力空母ニミッツの原子炉と大破した艦艇を回収して、海上自衛隊大湊基地に係留した。GMATの提案で、大破した艦艇の改修を進め、海上自衛隊初の国産?原子力空母保有論が急浮上した。

「それは是非とも自衛艦隊のシンボル的な空母にすべきだな。」

山本五十六閣下もまたとないチャンスだと山田三佐に、調子の良い事を言っていたが、垂直離陸方式のF-35B戦闘機の離発着用甲板しか運用実績の無い防衛省自衛隊としては、技術的な面で乗り越えなければならない壁が、いくつもある事は事実だった。それでも、日露両海軍に正規の原子力空母が無い現状を踏まえると、山本閣下の言う様にこれはまさに、虎の威を借る狐状態であった。

「山田三佐?改修にはどのくらいの時間が必要だ?」

「そうですね…。魚雷飽和攻撃の影響で艦船として復元するのに最低一ヶ月はかかるでしょう。しかし、幸いな事に原子炉はほぼ無傷でしたし、飛行甲板にも損傷が少ないので、流石米国海軍の誇る主力原子力空母の防御力の高さが伺えますね。色々と技術的な面で課題はありますが、このニミッツを自衛艦隊に戦力として組み込めれば、日米の実力差は更に僅差のものとなるでしょう!」

米国海軍の主力級原子力空母のネームシップであるニミッツは、海上自衛隊と防衛装備庁が主体となり、大急ぎで改修が進められた。扱いに困る米国側の生存者は見つからず、捕虜の存在は公のものとはならなかった。

「マクドナルド大統領!ニミッツが日本の自衛隊に回収されました!」

「またしても失態だな?ハロルド中将?これでは、日本の自衛隊が原子力空母を保有する可能性が出て来るではないか?」

「ご安心下さい。現場に居合わせた原子力潜水艦サンフランシスコ級艦長の話によりますと、ニミッツは大量の魚雷攻撃で大破していたとの事です。」

「原子炉や飛行甲板の被害状況までは確認していないのか?」

「そこまでは、流石に確認しかねたとの話です。」

「ハロルド中将?腐っても原子力空母と言うのは、米国海軍の技術力の粋を集めた艦船だと言う認識を保有するものだが?」

「確かに原子炉の防御力は魚雷攻撃を受けたくらいでは、びくともしない設計にはなっています。だからと言って、原子炉に重大な損傷が起きた可能性もあります。」

「重大な損傷が起きていなかったとしたら日本の自衛隊は回収したニミッツを正規空母に改修するだけの技術力はあると考えてよろしいか?ハロルド中将?」

「現実的には、不可能な事ではないかと思います。」

「至急日本の自衛隊の技術力を調べて、例の部隊に極秘裏に動き出して貰うよ?」

「マクドナルド大統領?例の部隊と言うのは?」

「海兵隊のSEALsだよ。佐世保基地を急襲し、米軍の意地を見せたい。」

「分かりました!直ぐに手配致します!」

ハロルド中将は、在日米軍最後の砦である沖縄に出向き、門外漢の海兵隊の指揮を執るハメになった訳である。

「山田三佐?改修したニミッツの名称は是非赤城に改名してくれないか?」

山本五十六自衛艦隊司令官の提案で、改修された原子力空母ニミッツは、日本の自衛艦隊の主力級空母として、日本海軍のシンボルであった空母赤城の名を拝借する運びとなった。

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