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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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ロシア大統領サージの対米戦略

「横須賀にロシア海軍太平洋艦隊を!?」

山田三佐の提案は至極真っ当なものであって、そこまで驚くべきものでも無かった。

「なんなら、ポルシェニコフ大佐にお願いしてロシア海軍の潜水艦隊も、横須賀に。ね?佐藤二佐もそう思いますよね?」

「あ、あぁ。限られた日本の自衛艦隊だけでは米国海軍の戦力には到底及ばないからな。米国の代わりとまでは行かないかも知れないが、ロシア海軍太平洋艦隊の横須賀配置は有効な抑止力になるだろう。」

海上自衛隊としては、連携の未熟なうちからロシア海軍との関係を深める為にも、是非横須賀基地にロシア海軍太平洋艦隊を誘致したかった。ロシア大統領サージの思惑とは多少異なる点もあったが、米国海軍の代わりに横須賀にはロシア海軍太平洋艦隊の司令部が置かれ、原子力潜水艦を2隻配備する事で合意した。

「サージ大統領閣下?日本を利用して米国を叩くチャンスが拡大しましたね?」

「浅はかだな、ポルシェニコフ大佐?私は日本と同じ目的の為に、日本を利用しているに過ぎない。いずれは日本をもこの手に…。なんてな。日本人に恨みはないが、不可思議な国だからな日本は。米国を倒したら同盟などあっさり破棄して、このロシアとまた戦争をする可能性も無くはない。」

「それはいささか妄想が過ぎますよ?閣下。」

「80年の長きに渡る日米同盟をわずか1日で破壊する国だぞ?それに日本は敵に回すと厄介だ。それはアドミラル・トーゴウにやられた明治の日露戦争で実証済みだ。」

「確かに日本は敵に回すと厄介ですね。」

「その前に米国の報復攻撃に耐えられない可能性を考えた方が余程現実的だがな。」

「今の日本の自衛隊の戦力では…と言うより日本の現行憲法下での武力行使には限界があると言われていたが、日本初の女性内閣総理大臣田中恵理は、その憲法解釈を変えて天皇を説得したらしい。それは我々ロシアにとっては都合の良い事なんだがな大佐。」

と、ロシア大統領サージは、対日戦略について散々ポルシェニコフ大佐に講釈をたれていたが、それはのべつまくなしの素直なサージ大統領の本心であった。

「ほう。ロシア海軍太平洋艦隊が横須賀に?ならば報復に、我々は沖縄をとろう。」

「マクドナルド大統領?沖縄にはSEALsを派遣済みですが、どうやら日本は沖縄を放棄した様です!」

「何?どういう事だ?米国に沖縄を渡してもリスクは無いと考えているのか?よく調べろハロルド中将。」

「まさかとは思いますが、日本は沖縄を中国に任せるのでは?」

「地政学的にはあり得なくはない話だが、どういう了見なのか皆目見当がつかないな。」

米国の混乱度合いは、極みに達していた。その頃、防衛省特務士官の山田玄太郎三佐は、米国海軍の保有する11隻の原子力空母の動向を探っていた。

「横須賀の次は三沢ですね。」

「沖縄はどうする?」

「各方、意見はお有りでしょうが、まずは在日米空軍の主力が集中している三沢を押さえましょう。」

「在日米軍の主力はあくまで沖縄に集中している。当然、守りを固められては沖縄の実効支配は難しくなるな?」

「ロシアとの同盟が成立した今、北方からまずは攻めるのが得策かと。米軍としても制空権と制海権が取れない以上、核使用以外に日本本土侵略は難しくなるはずです。」

「なるほど…。ここはじっくり攻めようと?」

「そう言う事です。」

横須賀基地急襲の作戦成功以来、山田三佐には確かな手応えがあった。日本の自衛隊なら想像以上に戦えると。それはロシア海軍潜水艦隊を味方に付けられた時から思っていた。


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