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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六
昭和の大日本帝国海軍の潜水艦

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戸村レポート

 いくら調べても、厳龍がこの世界にタイムスリップしてきた事の原因は分かっていなかった。

 仮説を立てる事でしか、解明出来ないという事は、今の科学・化学のtechnologyでは限界があるというよりは、解明出来ないという事の何よりの証であったのである。

 戸村元大佐も、井野元中佐も、法野元中尉も、皆出口の見えない迷宮に挑む事は、初めから覚悟していた事である。原因が特定出来ないという結論も、充分に有り得るというのが、当初から見えていたのは、事実である。

 戸村元大佐は、沖田初代艦長ですら辿り着かなかった、この謎に対して、自分の生きている間に解決出来ない事を見据えて、後を託せるに値する、人物に引き継ぎをする事を検討していた。

 だが、出来る事なら一定の方向性を確定させてから、引き継ぎをさせたいと考えていた。手応えがなかった訳ではない。いくつかの情報は、確かに厳龍がこの世界にタイムスリップする事になった、かもしれない反動であり、揺るがない証拠であった。

 しかしながら、確認の術がないという事と、確証が無い事が、戸村元大佐にとっては、心苦しい所ではあった。

 井野元中佐は、数多くの関係者から貴重な証言を得ていたし、法野元中尉は、年表整理により今の世界と2012年の世界との違いを明確に出来ていた。しかし、結論を得るという所までは行っていなかった。正確には、あと一押しがあれば、結論付けて良いという所までは来ていたはずなのである。

 その一押しが壁厚く、届かぬ理想となってしまった。戸村元大佐は、井野元中佐と法野元中尉に礼を告げて、調査の終了を指示。チーム戸村は解散となった。

 もちろん、今までの成果をノートに全てを書いて"戸村レポート"として調査の足跡は残した。

 戸村元大佐は、付き合ってくれた二人の士官に多大なる感謝をしつつも、答えが出なかった事に対して謝罪した。井野元中佐も、法野元中尉も、その気持ちは同じく無念だった。

 結局3人の調査は、1985年12月31日を持って終了し、解散となってしまった。それもまた運命だったのだろう。

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