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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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足草秀信新呉地方総監

 厳龍が元いた世界と同じように、右肩上がりの経済成長は、国民にとって良いことばかりではない。

 豊かさの代償とも言うべき、無理が表出するという事は、それだけ角度の高い急成長をしていれば、往々にしてあることであった。

 公害や環境汚染も去ることながら、深刻化していたのは、生態系の変化であった。戦後の急成長は、長年の生命の営みをも、変えるだけの力があったという事なのだろうか。

 最も、そういう事象があったとしても、人間にはその環境に適応としようとする力が、生命の維持に関わる適応力がある。工業力や先端テクノロジーは、これら生態系や自然界にある掟を破壊する事で、自らの力を伸ばそうとする作用がある。

 つまり、環境を破壊するだけの進んだ技術を産み出しているとも言える。そして、それが豊かさを産み出している。

 さて、厳龍の新艦長戸村哲也大佐は、呉基地の新地方総監に挨拶に来ていた。

 足草秀信少将は、前任の上田少将のように厳龍に対して理解があるわけではなく、戸村大佐としては、この上なくやりにくい相手であった。人間性も何もかも。

 「今日はご苦労であった。お目にかかれて光栄だよ、戸村大佐。」

 「本日から上田少将に変わって、新しい呉地方総監が、来るという事でしたので急ぎご挨拶をと思いまして。」

 「堅苦しい事は、御互いに無しだ。厳龍は今までどおり、海中から日本を守ってくれるただそれ"だけ"で良い。」

 「と言われますと?」

 「私から特に何か言うことはない。」

 「正直な所、よく分からんのだよ。君達の事は。」

 「それでは困りますので、こちらの棚にある書類に全て目を通しておいて、下さい。」

 「上田少将がどうだったかは、知らんが俺は甘くないぞ。」

 「それは宣戦布告ですか?」

 「どうでも良い事で、不毛な論議をしている時間はないはずだぞ。戸村大佐。」 

 「足草少将の元で働ける事を、楽しみにしています。」

 「指揮官は私だ。余計な事はしなくて良い。」

 「はい。承知しておく次第であります。」

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