節目のRIZEING SUN
本日の当直は、寺野中佐、佐々少尉、大杉曹長、神野曹長の4人であった。
「今日でいよいよ終わりだな。」
「あっという間と言えばそれまでですね。」
「私など50才ジャストで、退官ですよ。」
「これから先が、また長いことになりますね。」
「身の振り方くらい考えておいた方がいいな。」
「生きていければ、それでいいですよ。そんなに先も長くない事でしょうし。」
「そんな気がしますね。無理をし過ぎました。」
「平和を謳歌したいですね。予備役編入なんて嫌ですよ。」
「こればかりは敵さんも居ることだし分からないよ。」
「元帝国海軍少尉で、果たして何処まで通用するのか?分かりませんねぇ。」
「軍人は、神扱いされてますから、心配しなくても、大丈夫じゃないですか?」
「それに、勝手に身を振る事は、許されていませんからね。」
「そうらしいな。それに海軍が、世話をしてくれるっていう、話だしな。」
「そりゃあそうですよね。俺達は余所者で、厳龍という、とんでもない化け物の中にいた、機密の塊ですからね。」
「異邦人の宿命ですかね。きっと恐らく。」
「そう言う意味では、楽と言えば楽なんでしょうね。」
「もう、元の時代には、戻れそうもないがな。」
「いつの間にか、それを諦めるのは当たり前になっていました。」
「この世界で死ぬのもまた運命ですかね。」
「身寄りの一人でもいれば別なんでしょうが。」
「これから先の事は、厳龍を離れてから考えても、遅くはないな。」
「習うより慣れろ。環境も同じですね。」
「日本海軍で、日本を守れて光栄でした。」
「こうしてケガなく最後の日を迎えられて来た事を感謝しています。」
「ここまで生き残れたのは、何よりだな。」
「さて、厳龍とはこれでお別れですね。」
「第二の人生の日がまた昇って来ましたよ。」
「さぁ、夜明けですよ。今日も朝日がまぶしいですよ。」
日本国民からすれば、何の事はない、いつもの日常であったが、厳龍乗組員にとっては、節目のRIZEING SUNになった事は間違いない。




