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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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退艦(退官)命令

 「中身が変わっても、以前とは変わらぬ、いや以前より、今の方が良くなった。そう言って貰える様に励め。」

 それが、戸村新艦長への沖田元艦長の最後の言葉であった。

 沖田は、戸村新艦長に直接、直筆で要点をまとめた手紙を渡しており、もう伝え残した事は、無いはずだった。

 しかし、もう会えぬかもしれないと思うと、伝えたい事が、あれよあれよと浮かんで来る。不思議なもので、後から湧いて出てきた言葉の方が、頭を抱えて作った言葉より、出来が良かったりする。

 何はともあれ、明日からは厳龍の艦長は戸村新艦長に変わる。古だぬきは、さっさと巣に戻れと、言われそうであるが、戸村新艦長自身が、沖田の伝え忘れによって、損害を受けてしまうような事は、避けたかった。そして、それは厳龍の居場所にも、関わるものであった。

 海軍という巨大な組織にあって、戸村新艦長を始めとした50才以下で、厳龍に残留したメンバーは、所謂特例昇進である。あまり事情をよく知らない海軍軍人からしてみれば、??という混乱が起きるのは目に見えている。

 そして、参謀や海軍大臣に、強いパイプを沖田は作る事が、出来た為に、あれだけの無理や無茶が、何の障害もなく事を進められたのである。

 根回しの重要性を沖田は説くつもりはなかったが、戸村新艦長も、その点については、充分理解していた。

 帝国海軍の存在を守る為に、一番働いたのは、間違いなく厳龍である。だとしたら、最後の最後まで帝国海軍に付き合うのが、"筋"というものではないだろうか?

 1958年8月31日をもって50才以上の35名は厳龍を退艦し、退官する事になった。

 とは、言うものの、厳龍は変わらず国防の為に、機動しうる限り、働き続ける事になるのである。

 沖田はこれで一仕事終えて、ようやく次の人生を、考えられる余裕が出来ていた。しかし、神は非情な仕打ちを用意していたのであった。

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