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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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意見具申

 弱肉強食は、何も昨日今日出来た方理法則ではない。いつの時代にも、生物界の倫理は弱肉強食だ。

 アメリカだろうが、ロシアだろうが、イギリスだろうが、フランスだろうが、強いものがこの世界を引っ張って行く事に変わりはない。日本も同じである。

 激しい軍拡・核開発競争の果てに待つものは、混沌(カオス)である。大小の国家が争いあう、混沌にしない為に、政治家がいて、治めるのが、政治家の役割である。

 戦後10年経った世界は、その予兆を見せ始めていた。沖田は、いずれ起こるかもしれない、第三次世界大戦への警戒感を、上官である上田中将(呉基地司令1954年9月、中将に昇進。)に伝えた。

 「沖田少将、君の言いたい事は、それだけかね?」

 「既に我々厳龍が来て10年。世界は我々の知らぬ未知の領域に変わりました。」

 「お互いに若くないんだ。無理はするなよ。」

 「とは言え、このまま軍拡が収まらねば、またアメリカと戦う事になります。」

 「将官である我々でも、出来る事は少ない。」

 「中将殿の言う事は分かりますが、このままでは、地球規模の危機(クライシス)が訪れます。」

 「しかしなぁ、沖田少将。今の君は日本海軍の潜水艦隊のトップという立ち位置。潜水艦を動かす事くらいしか、どうあがいても出来ぬ。」

 「大本営に乗り込んでも、良いんですよ。私としては。」

 「そんな軽率な行動はよせ。部下の65人の事を考えていれば、そんなことは出来ないはずだ。」

 「しかし、どうすれば良いのですか?このままでは、歴史を繰り返すだけですよ。」

 沖田は、上田中将になだめられた。どうしても、自分の目の黒いうちに、自分が現役の間に戦争を回避する為のアクションを、沖田は起こして起きたかったのである。

 しかし、それは一潜水艦の艦長で、いくら先の日米戦役の英雄submarineでも、叶わぬ願い事だった。

 上田中将の指示に従うしかない自分が、悔しかった。そして、厳龍と厳龍乗員も若くないんだという、上田中将の指摘は、厳龍後継者問題となって噴出する事になる。

 世界は、今まさに混迷を極めた情勢になりつつあった。一日本海軍の潜水艦隊長には、上田中将への意見具申しかする事は、出来なかった。

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