意思ある漂流者
本日の当直は、尾藤中佐、神野曹長、門人二等兵の、3人であった。
「これからどうなるのか気になるな?」
「ええ。下士官の自分でさえ、軍拡の恐ろしさを感じています。」
「また、アメリカと戦う事になるのでしょうか?」
「それは不透明だが、次は核戦争になるな。」
「潜水艦にいる我々は、最後まで生き残れそうですね。そうなったら。」
「地上のICBMの打ち合いでも生き残れるか…」
「SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)があれば最後の切り札になる。」
「それも、時間の問題ですねきっと。」
「確かに、フラストレーションを軍拡に繋げてますからね。」
「実際は日本と一戦交えたいんじゃないですか?」
「三度目の正直って奴ですかね。アメリカ人も懲りねぇな。」
「どうしても、世界の覇権を握りたくて仕方ないんですよ。」
「だとしたら、艦長は先見の明に優れたお人だな。」
「個人の思想や感情は、軍隊においては何の意味も持ちません。」
「上官の命令は朕の命令と、よく言いますからね。」
「とは言え、俺達は戦うだけのマシーンじゃねぇんだ。」
「意思は皆、それぞれ持ってますからね。」
「それがなきゃ、皆ロボットですよ。」
「少なくとも、厳龍65人の意思は皆ありますよ。」
「そこは、自信を持って良いところだと思いますよ。」
「悪く言えば、意思ある漂流者ですけどね。」
「まぁ、そう言うな。皆ここに居たくて居る訳じゃないんだ。」
「その中で、私はよくやってる方だと思いますよ。」
「アメリカだろうがヨーロッパだろうが、厳龍は負けません。」
「見えない出口を求めて泳ぐのさ。」
「それなんかの歌詞っぽいですよ。」
「そうさ僕らは、サブマリナー。潜れ潜れ。」
平和をkeepするのも兵器を操る人なのである。その原理や、原則というものは恐らく、時が経っても変わらない、人類不変の真理と言っても過言ではないだろう。それが沖田の考えである。




