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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六


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最悪のシナリオ

 沖田の懸念していた通りに、軍拡や核開発は国家同士でエスカレートしていく。アメリカ、ロシア、ヨーロッパに日本を加えた4強が、しのぎを削る中で、新たな国家がどんどん独立を果たして行く。

 まるで、どこかの世界でも起こったような現象だったが、それは置いておいても、平和というものが危うくなっているのは、事実だった。

 戦後の日本の仮想敵国は、相変わらずアメリカであった。勝負はついていても、二度に渡る日米決戦は、いずれも紙一重のものであり、決して圧倒的な力の差があった訳ではない。

 それは、対戦したアメリカの軍人達が、感じとっていたことであり、景気が少しでも悪くなろうものなら、太平洋艦隊でも、空母でも戦艦でも持って来いと言わんばかりの、勢いを持っていたことは、確かである。

 とは言え、技術力や持っている兵力は互角であり、差があるのは、資源と言ったものくらいであった。

 だが、日本海軍はサウジアラビアやその他中東地域から、石油の輸入ルートを獲得しており、弱点の解消には努めていた。

 ただ、日米両国が、戦火を交える事がなかったのは、世界がそれを望んでいなかったという事情もある。世界を見渡せば、ようやく第二次世界大戦の傷跡が癒えて復興を成し遂げて来た、その岐路にいるんという国が、大半であった。

 1955年にあっては、破壊による無秩序は民衆から受け入れられていなかった。その不満や、フラストレーションを、兵器開発及び核開発に注ぎ込んでしまったのは、沖田の懸念していた最悪のシナリオだった。

 まさに、日米による新冷戦そのものであり、米露ではなく、日米に置き換わっただけの話である。そして、そのスピードは、想像を越える早くて、急なものであった。

 日本海軍の空母改修工事も終わり、ジェット機対応が可能となった。それは、ほんの序の口で、一人一人の装備も一新。やれる範囲の中でやる事は何でもした。

 そして、使うあてのない核開発を進め、ミサイル技術を強化させるに至る。結局、沖田が懸念していた事は、現実のものとなってしまう。

 それが良かったのか、悪かったのか振り返っている時間も、余裕も日本にはなかった。

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