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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六
昭和の大日本帝国海軍の潜水艦

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怒りの矛先

 「論戦もろくに行われないまま、核兵器を持とうとするとは、大本営は何を考えているのだ?大体、それを許容する国民もどうかしていると思う。」

 珍しく怒りで、ヒートアップしている沖田は呉基地にいた。何故彼が怒っているのかを知れば、どうやらこの場は丸く収まりそうである。

 日本空軍の創設からちょうど3年が経った、1955年4月、陸海空からなる新大本営は、核兵器を既に配備していた事を、国民や世界に向けて発信した。少将格の沖田にすら知らされていないため、末端の兵士が知るはずもない。

 問題は、論戦よりも、ドンドン先攻していく核開発競争にあった。アメリカ、ロシア、ヨーロッパを中心に、核の小型化、威力増大を進め、我先にと相乗りしたのである。沖田はそれについて問題視し、怒っていたのである。

 何故そんな大事な事を国民や末端の兵士に伝えずに、決定しているのかという事が、さらに沖田の怒りを買った。

 沖田でさえ、この程度の情報しか、与えられていないのだから、彼より位の低い厳龍乗員達は、もちろん何も知らなかった。

 沖田はこの先軍政治を問題視し、これを海軍大臣美津山春延大将に直訴。余所者でも、ないがしろにされる位ならば、アメリカ海軍でも、イギリス海軍にでも、どこへでも行けるのだぞと意見具申。

 流石にそれはまずいと思ったのか、今回の件については、共有不足ですまなかったと、謝罪を受け、何とか矛の刃を収めた形になった。

 結局、厳龍は余所者なのである。沖田は失望すると共に、自分達が日本海軍で出来る事の限界を同時に感じていた。

 今回は、残留する事になっていたが、次に同じ様な事象が発生した場合に備えて、厳龍幹部が対策会議を行った。

 そこで、出た意見としては、元の世界に明確に戻れない以上、このまま日本海軍にいた方が良いという意見が、大勢を占めていた。もちろん、事態によっては考え方を変えた方が良いという意見もあった。現状維持で様子を見る。

 それが厳龍の総意となった。という結果になった以上、沖田は声をあげ続ける事によって、指揮官としての品位を、落とす事は得策ではないだろう。

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