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深海の精鋭たち(サブマリナーズ)  作者: 佐久間五十六
昭和の大日本帝国海軍の潜水艦

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120/251

描けない未来図

 沖田は、艦長室で近田大佐と倉沢中佐と、厳龍の方針について、会議という程ではないが、話し合いをした。

 「という訳で、どうやら我々はアナザーストーリーを描いているようだ。」

 「それが元の世界に戻るきっかけになると良いんだが。」

 「正直、5年以上日本海軍に属してますが、何の手掛かりも掴めてませんからね。」

 「倉沢中佐、回りくどい話は必要ないんだ。」

 「なんだ?倉沢中佐?戻る気無くしたの?」

 「いや、そういう訳ではないんですが、時が経ちすぎています。」

 「まぁ、倉沢中佐の意見も分からなくもない。」

 「確かに、そういう気持ちになってる人間もいるだろうな。」

 「この世界で毎日必死なのは生きる為です。帰るためではない。」

 「いいか、倉沢中佐。俺達はどんなに強がっても、この世界では、異物でしかないんだ。」

 「まぁ、その通りですね。異物は、淘汰される運命にありますからね。」

 「だとしても、帰る方法が見つからなくて、この世界で死を待つつもりですか?」

 「頭では分かっていても、これはもうどうしようもない事でもあるんだ。」

 「とにかく、取り急ぎ今後のフローチャートをまとめて、方向性だけでも、決めとかないと。」

 「65人の命を艦長は預かっているんだ。大変な事だよ。」

 「取り敢えず、戦争の予兆は無いので、当面は日本海軍の所属でいこう。」

 「契約更改したプロ野球選手みたいですね。」

 「艦長がそう決めたんですから、私らはそれに従うだけです。」

 「大切な事はなるべく皆で決めたいが、トップダウンが良いという人間も多いのか?」

 「まぁ、その為の幹部自衛官なんじゃないんですか?」

 「いずれ厳龍もガタが来る日が来ますよ。」

 「その時はその時だ。」

 「理論的にはあと60年は大丈夫なんだがな。」

 「まぁ、その前に艦齢の限界がきちまうだろ?」

 「日本海軍の作る潜水艦が、厳龍を超えるのでしょうか?」

 「それは分からん。原子力潜水艦を作る技術は否応なしにやってくるだろうしな。」

 「それを拝む前に我々の年齢が死に近づく。」

 「退役するのは後身のためだであり、自分の為だ。」

 「未來は誰にも分からん。ただ全力を尽くすのは"今"だ。」

 5年も6年も7年も、時が積み重ねれば、元の世界に戻りたいという気持ちが、薄れて行くのも無理は無い。

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