関東遠征
呉基地司令の命令で、新設された日本空軍を視察するべく、厳龍艦長の沖田と、倉沢中佐、近田大佐の3人は、関東各地にある空軍基地を見て回っていた。
ジェット機でもかなり創成期に近い航空機ばかりで、プロペラ機の方が力が上のような機体も、数多く見受けられた。
航空屋ではない3人にとっては、レトロ兵器を見ているばかりで、心苦しかったかもしれない。
それでも、1952年~1953年の技術水準からすれば、これらのジェット機には合格点を、与えられる水準には、あった。
2012年からやって来た厳龍乗員は、航空自衛隊の、F-2や、F-15といった最新鋭の、ジェット機を見慣れているせいか、物足りない気持ちになるのも、無理はない。
ただ、こういった戦闘機が上空で活動しているという事は、理解しておいた方が良い。
弾丸ツアーだったが、一通りの視察を終えた3人は、厳龍の母港である、呉基地に帰ってきた。流石に厳龍3トップを長期不在にすることは出来なかった。
「いや、しかしあれじゃあ海軍航空隊と変わらんな。」
「きっとこれから、劇的に進化するんでしょ。」
「だと良いがな。一応空の守りは、門外漢なんで。」
「まぁ、そうだな。海の中に敵はいなくても、空の上は手が届かないなぁ。」
「こういう航空戦力を整備する所から始まるんです。」
「そうだな。無いよりはよっぽどマシだなぁ。」
「当分の間は、プロペラ機と併用し、現状最強のジェット機J-1で、空母艦載機の離発着訓練が、主になるそうだ。」
「まぁ期待しましょう。簡単な事ではないですが。」
「一流の空母機動部隊を持つには、それなりの時間がいる。」
「それと、犠牲もな。それに日本空軍は耐えなくちゃならん。」
「それができたら日本空軍としては、敵無しだな。」
「国力に見合った力を出すには、今のままじゃ駄目だぞ。」
「そんな事言っても、俺達はサブマリナーだ。」
「頭の隅にでも置いておけという事なのでしょう。」
「きっとそういう目論見がなきゃ、上もワザワザ自分達を関東に行かせたりは、しないでしょう。」




