必要不可欠な存在
この日厳龍は久しぶりに、呉の港で整備を受けていた。ちなみに当直は、古寺少尉、皆川軍曹、井野軍曹、法野一等兵の4人であった。
「おい皆川軍曹、明日の予定は?」
「09:00(まるきゅうまるまる)より、太平洋での哨戒任務があります。」
「ついでに明日は金曜日なので、カレーの日です。」
「法野一等兵は、面白い事を言うなぁ。」
「確かに、カレーだけはこの時代も美味ですね。」
「贅沢を言える立場じゃないが、他の食事よりは旨い。」
「食材もコックの腕もたいして変わらないのに、なぜだかカレーは美味ですね。」
「まずの話が、日本はまだまだ豊かじゃないからな。」
「そうですね。少尉殿の言うように日本は、まだまだ貧しい。」
「こんな二等国家が、アメリカに勝ってしまうんだからな。」
「ほぼほぼ、厳龍の横槍のおかげじゃないすか?」
「それは言えてるな。魚雷にハープーン。」
「兵器開発局とやらは、優秀でしたね。」
「あいつらが、47式や89式魚雷や、ハープーンを作ってくれなきゃ、俺達は今頃ここにはいないさ。」
「影の功労者ですね。まぁ、設計図はこっちのものですが。」
「いやいや。それでも立派なもんだよ。何度助けられた事か。」
「アメリカは手強い相手でしたからね。」
「物量が半端なかったですからね。流石アメリカ。」
「正直あの状態から、勝てるとは思わなかったけどなぁ。」
「撃墜した艦船で艦隊作ったらエライ事になるな。」
「世界を二つ手に出来る数ありましたよ。」
「これから、またいつ衝突が起きるか分からんしな。」
「備えあれば憂いなしって奴ですね。」
「こんな毎日だけど、なーんかイキイキしちゃうんだよな。」
「僕達は、水を得た魚も同然ですからね。」
「それだけ厳龍が日本海軍にとって必要な存在になったって事じゃないすか?」
「日本海軍にとって必要な存在…かぁ。なんかうれしいですね。」
厳龍は、今や日本海軍に、なくてはならない存在になっていた。




