第一章 "竜種たち" Epsode 2 『深紅のトカゲ』
ド ラ ゴ ン ハ - レ ム 要素はまだ薄めです。もうちょっと待ってね!
『それで、"白花"伝説というのは・・・』
「・・・"ククルカン"さん、ちょっと待ってください」
『・・・? この場には私とリチャードしかいないが・・・どうかしたか?』
言葉に反応し咄嗟に辺りを見渡す"羽毛の竜"
「そうじゃなくて・・・"ククルカン"さんの背中に"乗っている"その・・・トカゲ? のような物はなんですか?」
『・・・ッ!』
"羽毛の竜"は、咄嗟に翼を強く羽ばたきながら身をよじる。すると、"一切の濁りのない深紅"のトカゲが一匹地面に叩きつけられた。
『・・・・なあおい、今のヤツただのトカゲだったら100%確実に間違いなく死んでたぞ? 酷いヤツだなァ"ケツ"』
地面に叩きつけられた衝撃を意にも介さず、平然と喋りだす"深紅のトカゲ"
『・・・心配ない、リチャード。コイツはただのトカゲだ』
◆
『―――んでさァ、普通タダのトカゲが"竜"の背中に勝手に乗ってたりするモンだと思うかァ~~? なアなア"ケツ"どう思うよォ~』
リチャードの肩から"羽毛の竜"にしつこく話しかける"深紅のトカゲ"
『・・・"ただのトカゲ"は訂正しよう。だから黙れ』
『おっ! ついに折れたな"ケツ"! ダル絡みしてみるモンだねェ~~~』
『・・・私の事は"ククルカン"と呼べ』
『・・・あ、それとお前! えーっと・・・"リカド"だっけか? お前"白花"持ってるンだってな?』
「(・・・)・・・リチャード・レオンと言います」
『おお、そうだったな。俺は"サラマンダー"ってンだ。なに、これからよろしく頼むよ』
『・・・待て、"よろしく"という事はこれから貴様も同行すると言う事か?』
『当然だろ? ホラ、また背中に乗せてくれよ。リカ・・・リチャードの肩でもいいけど、"ケツ"の背中の方が景色がいいんだよ。羽の方はフッサフサで、あそこで昼寝すると気持ちイイんだよなァ~~~』
『・・・羽には乗るなよ。振り落としても知らんからな・・・・それと私の事は"ククルカン"と呼べ』
『よッ! 太っ腹ッ!』
◆
「あの・・・ところで・・・その、"ククルカン"さんと"サラマンダー"さんってその・・・」
『・・・ヒトの言葉で言う"腐れ縁"というヤツだ』
『3000年前からのな。"ケツ"も昔はもう少し軽かったんだが・・・ああ、酒で酔って荒れに荒れた時の話とか聞きたいか? コイツそん時自分の宮殿焼き払ってたりしたんだぜ? こんな威厳たっぷりの"羽毛の竜"サマがだぞ?』
『・・・このトカゲには虚言癖がある。信じるなよリチャード』
「ウィ、ウィッス・・・」
『そんなに睨んで脅しをかけられたらそりゃあそう言うしかないよなァ・・・可哀想なリカド。極悪非道なドラゴンにいじめられちゃってねぇ・・・』
『・・・今気が変わった。降りろクソトカゲ』
『そう言われて素直に降りるヤツは"ケツ"にクソだのなんだの言わせるまで怒らせないと思うぞ?』
・・・こっちがヒヤヒヤする。頼むから黙っててほしいなこのトカゲ。
『・・・もういい。振り落とそうとも地平線の先まで飛ばそうとも、貴様ならどうにかして私の元までストーキングしにきそうだ』
『お、諦めたか。それじゃあ1つお願いがあるんだが・・・』
『・・・断ったらどうする? ・・・聞くまでもないが』
『酒に酔って暴れた時の話を大声で叫び続ける。ちなみに今リカドが進んでいる方向には"町"がある』
『・・・何をすればいい?』
何十倍、何百倍っていう体格差がある相手圧倒してんじゃねえか。すげえなあのトカゲ。
『空だ。空に思いっきり飛んでみてくれ』
『・・・目的は、聞くまでもないな』
『まあソレもあるが、一応索敵も兼ねてんだぞ? "白花"が燃やされたりとかした日にゃ"竜族"がこの世から概念ごと消えかねない』
『"白花"を燃やせる火力を出せるのは貴様ぐらいだがな・・・』
今聞き逃したら絶対ダメな超重要情報が入ってきた気がする。ていうかそんな重要なヤツがなんで岩陰に普通に生えてるんだ。
『それよりさ、ちゃっちゃと飛んでくれよ。ビュオーンって感じで』
『・・・リチャード、そういうわけだから少しここで待っていろ。すぐ戻る』
『多分すぐ戻れないと思うけど、まあゆっくり待っててくれ』
『・・・できる限り早く戻れるように努力はする』
―――そして"羽毛の竜"は、翼を大きく羽ばたき、とてつもない強風を起こすと共に天高く飛翔して行った。
◆
『―――なあ、あの川なんか川幅広くなってないか? 昨日あんなじゃなかっただろ』
『・・・昨日も乗っていたのか』
『お前がこの山に"渡り"に来た辺りからずっと乗ってたぞ』
『・・・どういう手段を使ったのかまるで見当も付かないな。貴様の"属"は火を起こすだけじゃないのか?』
『ソレだけだぜ。正確に言えば"燃料と熱を生み出す"だがな』
"深紅のトカゲ"が軽く唸ると、"空中"に火が現れる。
『わざわざ実演せんでもいい。というか熱いからやめろ』
"羽毛の竜"が軽く唸ると、空間に風が"現れ"、火を大空へ攫って行く。
『・・・? なあ"ケツ"よォ、昨日あんなんあったか?』
『? どこの事を言っている?』
『あっち』
"深紅のトカゲ"が軽く指を刺すと、その先の"空間"に火が現れる。
『・・・便利なモンだな』
『頭いいだろ?』
『・・・それで、どれの事を言っている?』
『あの川の下流の方だ。なんか他のよりデカい岩が一個増えてる気がする』
『よく覚えているモノだな・・・だが、ただ上流から流れてきただけではないのか?』
『んや、上流から下流まで流れて来た岩は、流れる過程で削れに削れて小さくなる・・・と聞いたことがある。引き籠ってた"ケツ"は知らんだろうがな』
『引き籠りに関しては貴様も大概だ。 ・・・というか、"あの川の下流の方"と言葉で表せるのなら、火を出して示す必要はなかったのではないか?』
『・・・あ、バレた?』
『・・・貴様がもしただのトカゲであれば、振り落として殺せていたものを・・・』
『ただのトカゲじゃないからな。どれだけ勢いがあっても、落っこちたぐらいでは死なない』
◆
『あーいい景色だった! もう降りようぜ"ケツ"』
『やっとか・・・無限のように感じた時間だったぞ』
『"ケツ"にとっては見慣れた景色でも、俺にとっては新鮮な景色なンだよ』
『・・・私の事は"ククルカン"と呼べ』
翼を広げ、ゆっくりと滑空旋回しながら高度を落としていく"羽毛の竜"
『なァ、別に自然落下で"落ちて"行っても大して傷にもならないのに、わざわざこんな降り方する必要あるか?』
『自分は良くとも、落下した先が無事では済まない。動物でもいたら十中八九死ぬだろう。私はできる限りの殺しはしたくない』
『俺に対しては殺気を露わにしてくるのにか?』
『貴様の場合は殺しても死なないからな』
『俺をドラゴン・ゾンビ扱いするな』
『正確には違う。トカゲ・ゾンビ扱いしている』
サラ×クク尊い。
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