序章
ジェード。
それは、緑豊かな山々と海を配する人口1000万の王国。
薔薇色の翡翠をはじめ多くの鉱物の産地であることから、強国へと発展してきた。
18年前には西の小国プラテアードを手中に治めるための戦争を仕掛け、勝利。
だがその傷跡は深く、今もプラテアードとの国境付近には、崩れた城壁や焼け落ちたレンガ造りの建物が点在している。
プラテアード。
主な財源をブルーアンバー(青琥珀)に頼る、森林と湖に囲まれた国。
ジェード領となった後4つの小都市に分割され、ジェード王国軍の4人の将軍が、総督として就任している。
経済から流通、産業まで広くジェードの支配下に置かれたプラテアードの人々は反発し、度々独立運動を起こした。ジェードにとって運動家は「革命家」であり、「テロリスト」という名の犯罪者となる。
3年前、プラテアード最大のテロリスト集団”フレキシ派”のリーダーで、独立後にはプラテアードの首相確実と言われていた男が暗殺された。それ以来、テロリストの活動は陰をひそめている。
今、両国は束の間の平穏の中にある。
それが嵐の前の静けさにすぎないということを、すでに知っていただろうか。
やがて歴史の表舞台に立つ、あの二人は・・・。