プロローグ リア充になれると信じていた時期があった。
学校に入れば彼女が出来る。そんなことを思っていた時期がりょすけにはあった。だが、実際学校に入学し、彼は絶望した。
男子約30数名女子約10人という人数の格差。まだ多い方かもしれないがりょすけにとっては最悪だった。
何故ならりょすけは女の子に囲まれるハーレムな展開を夢見ていたからだ。
それでも10人近くいればまだ己の夢は叶えられる。そう信じていた。
4月。桜が満開になるこの季節。りょすけは席につき、再び絶望した。
教卓のすぐ近く、つまり1番前の席。この学校では個々の机はなく、長机に2〜3人が並んで座るというものだったのだが、りょすけは運が悪いことに担任に最も近い席だったのだ。
まだ悲劇は止まらない。
実はこのクラスでは長机を向かい合わせで2つくっつけ、向かい合わせで座り勉強するという6人で1班という風な感じだったのだが、りょすけの周りには全員男だらけ。そう、りょすけが好む女子が1人も班の中にはいなかったのだ。
目の前には自分を無表情で睨む男。のちに友人となるかかとのトミ。
そして隣と斜向かいの席には電車オタク。
1つ飛ばした席と斜向かいの1つ飛ばした席にはおっさんのような容姿の男とまるで◯リームパンマンのような顔面の男。
男男男男男男男男っ!
りょすけは頭を抱えた。
こんなはずじゃなかった。僕は真ん中の席で両隣も向かい側の席もみんな女の子できゃっきゃうふふの楽園を作るつもりだった。
そんなりょすけの切実な想いとは裏腹にーー、
「授業始めるぞー」
無情にも目の前にいる担任の声が脳内に響いてくるのであった。