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6,幼女、夢が砕ける

「…………うぅん」



 眩しい……。

 あぁ……朝か……。



 ボディーチェンジから始まり美少女ライアと一緒のベッドで眠りにつくまでのことを、全部設定が凝った白昼夢なのではないかとも思ったが、どうやら夢ではなかったらしい。

 窓から差し込む太陽の光に目を細め、俺はゆっくりと体を起こした。



「……いふぁい」



 それでも疑い深く頬をつねってみるが、うむ、痛い。

 夢じゃない。

 ということは、昨日のことも、夢じゃない。



 武器屋で雷槍エレクトロンを無事購入し、姿をほとんど隠したお日様にひとまず帰ることにした俺とライアだったが……。



 いざ帰宅したら、俺が召喚からまだ一度も食事をとってないことにライアが気づき、謝られながらも遅い昼食兼夕食にして、



「リリィちゃん、おいしい?」

「はい、マスター。とてもおいしいです」

「口に合ったみたいでよかったわ。隠し味はゴブリンの耳よ」

「グッ!? ゲホッ! ゴホッ!」



 ということがあったり、風呂に入った時にライアが侵入してきて、



「そんな洗い方じゃダメよ、肌はもっと優しく洗わなきゃ」

「はい、わかりました」

「頭皮は爪を立てちゃダメ! 指の腹を使って洗うの! せっかくサラサラなんだからもっと気を使って!」

「…………ごめんなさい」



 なんて技術指導があったのも夢じゃないわけだ。

 初めて見る三次元美少女の裸体に、二次元至上主義者であるこの俺が拝みそうになってしまった。

 なんて破壊力だ、油断すると左手をもっていかれる。

 ん? トイレはどうしたのかって? やだなぁ、神聖なリリコットたんの体が排泄なんてするわけないじゃないか。



 だが、デブは三次元に夢をみてはいけないのだ。

 幼稚園から高校生まであだ名が『デブ』の経験は伊達じゃない。

 なお、俺がデブなのには理由がある。

 デブとは、汗をよく出す、つまりは汗臭い。

 とすると、ただでさえデブなのにそこに不細工が加わり、駄目押しで汗臭いというトリプルカードが揃ってしまうわけだ。

 文句なしで退場である。

 ならどうするか?

 答えは簡単だ。

 汗臭いのが汗をかくせいだというのなら、汗をかかなければいいのだ。

 動かなければ汗をかかない、つまり臭くない。

 そして太るという悪循環。

 やがてニートへ、これはテストに出ます。



「おはようございます、マスター」

「おはよ、リリィちゃん。ごはん食べたら出かけるわよ」



 ライアに朝の挨拶を済ませ、俺は見た目は普通、中身は魔物な朝食を終えた。












ーーーーーーーーーー



『冒険者ギルド』

 各小説などではもはやテンプレと化している便利屋さん。

 ぶっちゃけたところ、奴隷制度がある世界なら奴隷を使えば冒険者なんて必要ないのだが、そこはファンタジーなのだから気にしてはいけない。

 中世ヨーロッパでも地球でもない、ファンタジーなのだ。

 現代人が一度は夢見る冒険者。

 美人な受付嬢から依頼を受けて、可愛い女僧侶やかっこいい剣士とパーティーを組み、経験を積んで上を目指そう!



「ここよ!」



 さて、やってまいりました冒険者ギルド。

 冒険者ギルドにいくと聞いて、しっぽがふりふり揺れっぱなしなのは仕方がないと思う。

 この世界の冒険者ギルドは、木材で作られた二階建てで、入り口の上には剣と槍が交差した盾の形をした看板が掲げられている。



「マスター、入りましょう」

「そうね。いくわよ」



 俺は我慢できず、ライアより先に夢の舞台へと足を踏み入れた。



「…………おぉ」



 圧巻だ。

 そこには、いくつかある巨大な看板に貼り付けられている大量の何かが書かれた紙や、各々武器を背負ったり腰に差したりしている冒険者のおっさんたち。

 受付には完全ハゲ、中ハゲ、微ハゲのおっさんが業務をしていて、付属する酒場のマスターはおっさんで、料理などを店員のおっさんが運んでいる。

 あれ、おかしいな。

 キラキライケメン剣士様とか、敬語系純粋僧侶ちゃんとか、ちびっ子無口盗賊ちゃんとか、どこにもいないな。

 むしろおっさんしかいないぞ、おかしいな。



「さ、リリィちゃん。依頼を見にいきましょう…………どうしたの? 泣いてるけど、どこか痛いの……?」

「いえ、なんでもありません。いきましょう」



 後から入ってきたライアに心配されてしまった。

 戦おう、現実と。

 そうだ、経験の浅い若者は倒れ、ベテランは生き残る。

 うむ、自然の摂理ではないか。



 というか、すごい今更なのだが、字は読める。

 なぜかご都合主義に日本語で、喋ってるのも勿論日本語だ。

 翻訳魔法なんていらなかった。



 そして、看板を見てて気づいたのが、ランクによって依頼が違うということだ。

 ランクがあるということは、冒険者のライアもランクをもっているはず。

 俺はライアが戦ってるところをまだ見たことがない。

 強そうには見えないが……。



「あの、マスターのランクはいくつなのですか?」

「昨日のゴブリンで初依頼達成よ! ランクはFね。そうだったわ、リリィちゃんの登録をしちゃいましょうか」

「初依頼ですか……登録とは?」

「登録はねーー」



 この世界の冒険者はG、F、E、D、C、B、A、番外にランク分けされていて、Gが外に出ない雑務依頼で、討伐依頼を受けて達成するとFにあがるらしい。

 使い魔は冒険者個人の戦力として扱われ、正式に登録をすると使い魔のみ+他の冒険者というパーティーを組むことか可能になるようだ。

 龍の眷属などの討伐依頼はCランク相当で、Dから下は魔物のみとなる。

 つまり、ライアは全く戦ってないのにFに上がったのだ。

 正直不安な要素しかないが、俺たちは完全ハゲの受付に登録申請をしにいった。



「受付さん、この子の使い魔登録お願いします」

「おや、随分と可愛い使い魔ちゃんだね。登録ね、手を魔導石に置いておくれ」

「リリィちゃん、手を置いて」

「はい、マスター」



 魔導石ってなんだろうか。 

 知らないアイテムだ。

 俺は受付に完全ハゲが出した翡翠色の石の上に手を置いた。



「はい、いいよ。これで登録は完了だ。何かあったらまたおいで」

「ありがとうございました」

「…………ありがとうございました」



 手をかざした瞬間光るとか、魔力が多すぎて割れるとかないのかよ!

 期待してたのになんもなしだよ!

 ともあれ、登録もしたし依頼だな。

 どれどれ……。



『常時依頼:ゴブリンの狩猟』

『常時依頼:コボルトの狩猟』

『常時依頼:スライムの狩猟』

『討伐依頼:マジックホークの討伐』

『討伐依頼:オーガの討伐』

『採集依頼:ハニービーのハチミツ』



 ……少ない。

 Fランクなんてこんなもんか。



「ランクも早く上げたいし……オーガを倒しましょう!」

「はい」



 自信満々にライアが宣言したが、大丈夫なのだろうか。

 戦闘経験はあるのだろうか。

 まぁ、受けるならば仕方がない。

 マスターの意思を尊重するのが使い魔というものだ。

 そんなことを考えてた時に、俺たちはある人に呼び止められた。



「フッ……そこの火焔姫と黒薔薇猫、止まれ」



 そいつは……



「その試練は羽なしの貴様等にはまだ早い」



 フェアリーという種族の……



「どうしても挑むなら……オレが守護してやろう……フッ」



 厨二病だった。

新しい仲間は厨二病でした。

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