5・主人公あるところにトラブルあり
書き貯めがあったんですが携帯が水没して・・・
レンヂ改め、レンが目覚めた部屋はそこそこいい宿屋の一室だった。
ルセフィアートと言う街の中央部から少し南にある宿屋である。
ルセフィアートは王都と港街の間にあるそれなりに大きな街だ。
だが異世界に来て早々に倒れて寝ていたレンは街の名前など知らないし、現在位置など見当もつかない。
「ミリアのおじいちゃんてどこにいんだ?」
「冒険者ギルドだよ。」
(...冒険者ギルド...やはり在るのか。ファンタジーな世界なんだな、ココは。)
「何でギルドに居んだ?」
「おじいちゃん、ギルドマスターなの。」
(マジか。)
「ギルドは覚えてるの?」
(そうだった。今は記憶が曖昧で可哀想な少年なんだ。)
「よく分からん。」
「そっか。」
この世界の建物はレンガや木で出来ており、コンクリートに囲まれていたレンに少し新鮮な気分を持たせる。
街の周りには防壁が張り巡らされ魔物の脅威から街を守っている。
ほとんどの街には冒険者ギルドがあり、そこに冒険者達が集まり、依頼を受け街の防衛や旅の護衛などをしている。
ギルドにはギルドマスターが必ずいて、大きい街のギルドほど本部からの信頼があついギルドマスターがいる。
もちろん、ほぼ全員が信頼が出来るが小さな村から王都にまでギルドは存在するため、比べるとかなりの差がある。
とある村のマスターは引退したBランク冒険者だが、この街のマスター、ミリアの祖父は魔王を撃退した英雄(Sランク冒険者)だ。
その英雄に会うため異世界の街をレンは歩く。
今は午前9時。
街の人々が本格的に活動を始める時刻だ。
街の門から冒険者ギルドまでは一本道で、その通りは宿屋兼飲み屋、武器屋、露店などで賑わっている。
これから仕事に行く冒険者が装備を整えていたり、おっさんが昼前から酔っ払っているのを見ながらレンとミリアが歩いていると、柄の悪い男たちが店員に絡んでいるのが目に入った。
「金を払わねーだと?」
男たちは3人居て、その中一人が20代後半の女性店員の腕を掴みながら言う。
「本当に無いんです。」
「誰のおかげで店が続けられてると思ってんだ?」
「今月の分は先週・・・」
「ウルセー!」
(苦しくて金を借りたら多額の利子を要求された、的な?)
「ねえ、レン?」
「ん?」
「助けてあげようよ。」
「え〜」
「嫌なの?」
「まあね。」
「わたしの事は助けてくれたのに?」
「あれは初めて会った人間だったから。」
「・・・そう。じゃあいい。」
ミリアは怒って一人で助けに行った。