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少年と天使  作者: narrow
4/31

続き

数週間が過ぎ、そんなささいな罪悪感も消えたころ。

授業が終わり、放課後になった。

たっぷり寝た俺が、今日はどこへ行こうか迷っていると友人が声をかけてくる。

「八敷−、俺ゲーム買うから一緒いかねえ?」

「おっけ。こないだ出たやつ安くなってねーかな?」

帰り道にある中古ゲームショップ。

店内は広めで、ハードもソフトも置いてあり、品数も多く、攻略本などもそろっていてなかなか便利。

古本もおいているので、金持ちではない俺たちは、通うほどではなくとも、それなりによく行く。

友人と話しながら、それぞれゲームを品定めする。

あっちは目的のものがあったようで、一緒にレジへ。

カウンターに見慣れた顔。

「スズキじゃん!」

「やぁ、アキヤ」

昨日も会ったような顔でスズキはそこにいた。

お前どうしてたんだよ!そんな表情の俺たちにスズキは続けてこう言った。

「参ったよ、あの店長ホモでねー・・・」

そっちかよ!

自分のせいかと、少しでも気にしたのがばかばかしくなった俺は、思い切り笑った。


だけど、怖くて、いや気持ち悪くて、それ以上詳しいことは聞けなかった。


コンビニのカッコいい店員は、ゲーム屋のカッコいい店員になった。ただし、テスト用のゲーム機でしょっちゅう遊んでいてあまり働いていない。が、人懐こく親切で、ゲームの攻略なんかをていねいに教えたりするのでここでも人気者だ。店員の中でも、その人懐こさからやはり好かれているようで、サボりぎみでも多めにみてもらっているらしい。ただ、最近女の客が増えてきて、だんだん居づらくなってるのはちょっと迷惑だ。

「なースズキ、お前が来たせいでこの店居づらくなったんだけど。お前ってかなり疫病神じゃん?」

皮肉をこめて俺は指摘してやった。

スズキはちょっと泣きそうな顔で

「えぇえ〜?」

情けない声を出した。

俺は笑ってやった。

だけど、もしスズキが人間以外のなにかだとしたら、それは疫病神なんかじゃなく、天使ってやつなんじゃないかなぁ。

そんな気がする。

見た目といい、あの人懐こく親切な性格といい、なんとなくそんな存在を思い起こさせる。

キモい考えなんだけど、ちょっとそう思った。

調子にのるから、絶対スズキには言わないけどな。


今日もヤツは、無垢としかいいようのない笑顔を俺達にむける。

「ねぇねぇアキヤ、これちょっと食べてみてよ!」

「いや朝鮮人参味のガムとか俺ゼッテー食わねぇから!」

天使のようなあの男は、味覚だけ、すこぶる悪魔的だと思う・・・。

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