タイトル未定2026/01/04 19:03
亮に追いついたマリヤは、亮の背中を抱きながら歩いた。
「亮、大丈夫?」
「ん、ありがとう」
しばらく黙ったまま歩いていた亮とマリヤだったが、マリヤが切り出した。
「本当に、マスターと付き合っていたの?」
亮は何も答えず、歩いていた。
「マスターと付き合っていたようには、思えなかった」
「周りは、みんなパートナーに囲まれていた。気がついたら、私は独りだった。彼はいるのかと聞かれ、咄嗟にマスターのことを話していた」
「素敵なマスターね。亮がマスターを、好きになるのもわかるわ」
「たとえ嘘でも、マスターは私に寄り添ってくれる。そんな淡い期待をしていたけど、現実は違った。やっぱり、嘘は駄目ね」
「亮にふさわしい彼が、きっと現れるわよ。あのマスター確かに素敵だけど、なんだか闇がありそうで、彼にしたら大変な思いをしそう」
マリヤに言われ、亮はハッとなった。
そう言えばマスターは、血の繋がりのない子供を育てていると言っていた。
それを聞いた私は「一緒に、育てます!」と言った。
あの頃の私は、それだけ夢中だった。
マリヤの言う通り、マスターには闇がある。
「ごめんね、こんな茶番劇に付き合わせて」
「いいのよ。素敵なマスターを見れたことだし。休暇はまだあるわ。観光案内してよ」
「今夜のお詫びに、いろいろ案内するわ」
「お詫びとか、そういうのなし。私は、休暇をエンジョイしに来たんだから」
夜の繁華街に、亮とマリヤの笑い声が響いた。




