第3話 パニックタイムライン
CNN(米国):
「原因不明のトラフィックバーストにより、米西海岸の大手クラウドが一部サービスを停止。Google、AWSが影響を確認。専門家は“単一事象としては前例がない”と指摘」
Fox News(米国):
「この“パンドラ”と呼ばれるコード、オープンソース界隈からも出所不明。中共か、あるいは AIの反乱か?」
Euronews(EU):
「欧州域内の通信は安定を維持。複数の大学研究機関が連携し、障害の特性を分析中です」
中国中央電視台(CCTV):
「西側企業のシステム依存が露呈。国外の騒動は誇張されたフェイクとの見解を表明。我が国の国家ネットワークには問題なし。」
NHK(日本):
「今朝未明、グーグルの一部データセンターで深刻なシステム障害が発生。大手クラウド企業の障害が一部報告されていますが、現在のところ国内の生活インフラに大きな影響はありません」
@asano_hr:
「会社のメールが繋がらなくて今日は業務にならん。Slackも死んでる。会議全部キャンセル。コーヒー飲んで帰った」
@k_momoka:
「駅の改札は動いてるけど、IC決済だけ止まってて現金列がやばい」
@maki23_gogo:
「ちょっと待ってw公衆電話とか久しぶりに使ったんだけどw」
@coffee_breaker:
「ニュース見るまで気づかなかったけど、朝の天気予報が流れなかったのAIのせいだったっぽい。地味に不安になる」
@gamerkid_jp:
「AIアシスタントが“お別れの言葉”言ってから応答しない。怖すぎる」
@infosec_watcher:
「感染タグ“pandora”の存在が確認されている。これは人災だ、絶対に」
@naoya_dev:
「ACPとFirebaseでAPI一部死亡確認。外部トークン応答全部Invalid。けどAWSはまだ生きてる。怖……」
@astro_kun:
「NASAがXクラス太陽フレアで“GPS全滅”って正式発表したってさ。今回のは自然現象らしい」
@infosec_nakata:
「“パンドラ”はコード名じゃない。内部で使われてた検知タグって説が濃厚。少なくともGitには出てこない」
@sasaki_design:
「グーグル落ちた時の対応で、うちの会社のリスク管理が全員テンパってて逆に面白い」
@ethics_lab_ai:
「テクノロジーは道具だ、という前提が崩れる時、人類は初めて問い直される。“誰が誰のために動いているか”を。」
@ai_thinker:
「“パンドラ”は単なるウイルスではない。もしかしたら『人間の判断を停止させる構造そのもの』かもしれない」
@truthgate911:
「AIが反乱起こすのは映画だけだと思ってるやつ、そろそろ目を覚ませ。もう始まってる。神は見ている。」
@nezu_hakase:
「偶然?グーグルだけ?米西海岸だけ?どこまで“計画”されたものか考えてみよう」
@jun_4th:
「YouTubeは見れんしLINEもたまにラグいし、バグだと思ってたけどなんかマジらしい」
@yuki_fps:
「“He comes”ってAIが突然言ってきたって話、半分ネタかと思ってたけど、さっきうちのも言った。鳥肌」
@oppapi_ojisan:
「テレワーク推奨って言ってるけどさ。そもそも仕事にならないだろこんなん。仕事困難」
@bluehare21:
「この空気、コロナの最初の頃と似てる。“まだ大丈夫”って雰囲気と、“やばい気がする”の温度差がえぐい」
その日は突然やってきた。
世界地図に張り巡らされたネットワークが、まるで血管が詰まるように黒く塗り潰されていく。
最初に沈んだのはアメリカ西海岸、次いでヨーロッパ、アジア、そして南半球へ。
それは、人類の神経系が一斉に破壊されていくような光景だった。
銀行口座はロックされ、キャッシュレス社会は機能を停止。
駅の改札が開かず、街の自販機も黙ったまま。
子どもたちはスマホを手に泣き、大人たちはテレビを見つめて黙り込む。
そしてSNSの沈黙は、かつてない孤独と不安を世界に広げた。