【サイドストーリー】機密文書(後編)
【3ページ目】
アヌンナキは、我々が、ネアンデルタール人と呼んでいる別系統の人類に、自分達の遺伝子を組み込んで、原始的労働者にした。
そして、彼達に、ドワーフ族と言う名を与えた。
更に、アヌンナキは、ネアンデルタール人と分岐したデニソワ人にも、自分達の遺伝子を組み込みんで、原始的労働者にした。
そして、彼達に、エルフ族と言う名を与えた。
また、原始的労働者に、地球由来の他の生物の遺伝子も取り込ませた、獣人と名付けた生き物も産み出した。
この3種類の原始的労働者達は、
各々の得意分野で、アヌンナキの統治を支える事になった。
そして最後に、アヌンナキは、
他の原始的労働者よりも、専門分野の能力は劣るが、何でも、そつなくこなすだけでなく、
他の原始的労働者とも交雑が可能な、高い繁殖力を持つ、人族を作った。
アヌンナキの統治は上手くいく筈だった。
ただ、人族は、他の原始的労働者だけでなく、アヌンナキとの交雑種も産める能力を有していた。
それが原因で、何時しか、
アヌンナキと人族との交雑種や、
アヌンナキと人族の交雑種と、他の原始的労働者との交雑種が現れる事となった。
そして、その交雑種達の中には、
アヌンナキと同様、不老有死の存在となり、
更に、アヌンナキと対等に渡り合えるような知力や異能や武力を手に入れる者まで現れた。
アヌンナキは、最初、この新しい生物をアサグ呼び、とても恐れていたのだが……
何時しか、彼達を情報管理局に取り込み、原始的労働者を共同で統治する事にした。
この事が原因となり、現在の情報管理局にまで続く、
アヌンナキの末裔を中心とする情報管理局の保守派と、アサグの末裔を中心とする革新派との争いが始まった。と言われている。
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【4ページ目】
4000年前、地球の文明は最盛期を迎えた。
その文明の中心は、アヌンナキではなく、アサグだった。
そして、力をつけたアサグ達の中には、
異星人である、アヌンナキの支配体制から脱却を願う者達が現れた。
そんなアサグ達に、 アヌンナキは、
敵対するアサグの勢力の拠点の上空、高度30〜400キロ辺りに、核爆発を起こした。
そうする事で、
その衝撃で生じたガンマ線が大気を構成する窒素や酸素などの分子に衝突し、
分子に含まれる電子がはじき飛ばされて雷のような巨大な電流を発生させて、
強力な電波の一撃である電磁パルスを地上にある敵対勢力の拠点に襲いかからせる事で、
現在の電子機器に似た構造を持つ、
マナと呼ばれる魔法を使う為のエネルギー源を利用する魔道具と呼ばれる機器を破壊する事が出来たからだ。
電子パルス攻撃は安全かつ、最適な武器となり得る筈だった。
何故なら、核爆発に伴う熱線や衝撃波は、地上には届かない。
だから、人や動物の生存を脅かすような事は起きない筈だったからだ。
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【5ページ目】
結局、核戦争は、4000年前頃~3000年頃前にかけて、1000年近くも続いた。
その影響で、地球の上空にあった、水蒸気層が落ちてしまい、世界中の海沿いや、低地にあった文明は、水没してしまった。
また、当時の文明を支えていた、魔法や魔術。魔道具を使用する為のエネルギー源だったマナの大半を、水蒸気層に住む、微生物が生み出していた。
その為、水蒸気層を失った地球は……
マナを生み出す、微生物の大半を失ったせいで、水没を免れた文明も、文明を維持する事が出来なくなってしまった。
更に、その状況に憂いだ、当時の軍事関係者達が、
ほんの僅かに残った核兵器を、電磁パルス攻撃に使用するのでは無く、 敵対勢力の拠点に向けて、直接、攻撃を仕掛ける事を選択してしまったのだ。
かくして、核兵器を作り続けられるような文明を、完全に維持する事が出来なくなった人々は、
まさに、第4次世界対戦は、こん棒で戦う時代になる!と言う、著名な科学者の予言のような世界で、生きて行かざる得なくなってしまった。
そして、唯一の例外である情報管理局のメンバーは、
同じ事が起きないよう、マナの潤沢なパラレル ワールドに拠点を移した。
それもあって、情報管理局のメンバーが、他世界に拠点を移した数100年後には……
地球のオリジナル ワールドでは、神話に姿を代えた物語の世界以外からは、マナ文明の記憶が完全に消えてしまう事となった。
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「はぁ……
そんな胸糞の悪くなる資料を、よくも何度も見返せるな。」
総理が苦笑いしながら、私を見る。
「情報管理局の保守派の連中が言うには、
もし、この世界が、マナに溢れた世界のままだったら、私は……
原始的労働者の1人ではなく、アサグの1人らしいのです。
ですから、もし、私も、あの世界への召還者の中に居たとしたら、俺TUEEE ライフや、俺sugeee ライフを満喫する事が出来たのかも?なんて……妄想してしまうのです。」
「ならば、何故、この世界に残ったんだ?」
総理が興味津々な顔で、アタシに質問をしてくる。
「あの世界は、今回の騒動の影響で、この世界を含めた、他世界の接続が出来なくなるらしいですからね。
確かに、俺TUEEE ライフや、俺sugeee ライフは魅力的ですが……
私にとっては、それ以上に、この世界のが魅力的なのです。」
「それ……本音か?」
総理が、ジト目で私を見ながら、ご質問をされる。
「勿論です。
だって……
マナが溢れている、ダンジョンに潜ったら、あの世界へ召還されたのと同じ効果があるらしいですからね。
それに、この世界にも、極少数ですが、マナがあるらしいのです。
なので、一度、魔法や魔術。異能が使えるまで覚醒すれば、この世界でも魔法や魔術。異能なんかが使えるらしいのです。
とはいえ、まぁ……
俺TUEEE ライフや、俺sugeee ライフを満喫するまでは出来ないらしいですがね……
それでも、そんな生活の気分ぐらいは味わえるらしいのです。
ですので、わざわざ、科学力と言う意味では第一世界大戦前後のレベルだと言う、文明の遅れた世界に行こうという気にはなれないのです。」
「はぁ……その話……誰にもしない方が良いと思うぞ。」
総理がタメ息をつきながら、私を見る。
「ですよね……
色んな人達から、逆恨みされそうですものね。」
「逆恨みねぇ……
そういう奴も居るだろうが……大多数は、正当な恨みなんじゃないか?」
総理がジト目で、私を見る。
「無知は罪。
でっ。この情報を得られなかったのは、
乏しい才能と運。そして……努力不足の結果です。
ですから、同情の余地など無いです。」
「はぁ……その話……絶対に他の人にはしない方が良いと思うぞ。」
総理が呆れた顔をしながら、私を見ていた。
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