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 カサンドラは寝不足で痛む目を押えた。ペンを放して手首を軽く振る。肩もこっている。未決箱には分厚い決算報告が残っている。個別の事案の書類は決裁済の箱に入れた。全体の整合性をチェックすれば、この四半期の決算は完了する。扉がノックされ、入室を許可すると、お茶の仕度を持ったセリカが静かに入ってきた。


「根をつめすぎです、奥様」

「ああ、うん、もうじき終わります。月曜には間に合わせなければ」


 セリカが低卓にお茶を並べると、カサンドラも安楽椅子に移動した。


「少しはご自身のこともお大事にしていただきませんと。目の下にひどい隈がございますよ」


 カサンドラは苦笑した。昔から側付きの三歳年上の侍女は、実の姉より容赦ない。


「旦那様は?」

「今夜はやはり王宮にお泊りになるそうでございます」


 お茶はリンデンフラワーの甘い香りに、樹蜜のほのかな甘みが隠されて、飲むとかさついた気持ちが穏やかに静まった。うん、これでいいのだ。セントクレアには無理をお願いしているのだから。できることはできるだけ、こちらで処理しなければ。


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