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母は自分が小学生の時に亡くなった。詳しくは知らないが、母は徐々に弱っていった。
2年生の夏、逝った。
それから父は僕を孤りで育てた。孤りで。
母方の両親はとっくの昔に亡くなっていたらしい。一方、父は両親と親密でなかったようだ。僕にも、会った記憶はない。母との結婚の際、いろいろごたくさがあったらしく、母の死以降も父は助けを求めようとはしなかった。
目的地について鞄を下ろす。中から一冊の本を取り出す。赤い本。
ポロロロロポロロロロ
不審そうな目で鳩が近づいてきた。雑草に塗れた土手。人の使用済み物品の残骸。
(よくこんなとこで暮らせるな)
鳩は訝しげに睨んできた。
ポケットからライターを出す。
カシッ カシッ ッボォ!
(危なからあっち行け)
相変わらず鳩は睨んでいた。
パチパチッと拍手しながら本は燃えた。
、、、、、、、心地いい。
「、、っにしてんだ!!君!」
炎に見惚れていた僕は現実にかえった。
「何してる!!」
(逃げよう)
炎に包まれた本を川に投げ込んで鎮火。鞄を片手に一目散に駆け出した。
「待たんか!!」
なんとか逃げ切り路地裏で息を整える。
ッフーーーーー、
よし、
次の目的地へ足を進めた。