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僕が僕でいられた夜に  作者: 逸野比日
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101

「バカなの」

彼女が小さく呟く。


僕はハハハと小さく笑い、目を瞑る。

「バカなんだよ」


102

 三月九日。

僕は死んだ。心理的に死んだ。

生きていないも同然だった。

今更何を憎めばいいか見当つかなかった。

一枚の紙に番号がなかった。

ただそれだけ。

それだけで人の人生は一年分総じて変化をなし、人生をも変化を遂げる。

 三月九日。

僕は大学受験に失敗。地方の名高い国立医。

無理だろ、と思ってる奴に成し遂げられることなんか無い。

当たり前だが、見失いかけてた現実の秩序。


「努、死ぬなよ」

僕を孤りで育てた父が死んだ僕に言った。

「、、、」

僕は返す言葉もなくただただ茶碗を掻きこむ。卵かけご飯。最後の晩餐。卵かけご飯。

アイロニーに笑ってしまいそうになった。

「死ぬなよ」

「わかってるよ」

面倒臭い。

箸を置いて僕は鞄を取る。

「行ってきます」

「、、、お、おう」

面倒な父を置いてドアの取手を掴んだ。

ガチャ

外は夕方の暖かさを帯びていた。

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