5月10日、15日、18日、29日
―五月十日―
今日は鎖椰苛が茜の家で遊びに来ている。特に何する訳でもなくベッドに腰掛けながらテレビを観ているところだ。
二人で遊ぼうと誘ったのは茜からだった。
不良キャラの鎖椰苛の事だから面倒臭い等と言って断られるかと思ったが意外にも即答でオーケーをもらえ、誘った茜本人がとても驚いている。
貴重な二人の時間、ここで一気に鎖椰苛を落とすことができればと一緒にテレビを観るフリをしながら茜は試行錯誤していた。
(どうやったら団長を落とせるやろか…。色気?)
茜はちらりと鎖椰苛を見ると今日は珍しくスカートを履いていた。相変わらずパンクでサイドにチェーンがジャラジャラ付いているが。
とてつもなく異常な発言をするが、スカートの中を覗きたい。
茜は変態思考を浮かばせつつ冷静に作戦を練る。
(……やってしまってもええんか?ウチがやったら倍返しされへんか?殴られる?でもチャンスは今しかないんや……!)
グッと生唾を飲み込み、覚悟を決めた。
「団長ぉおおおおお!!!」
「あ?隣で大きい声出すんじゃ……」
隙をついて鎖椰苛のスカートを思い切り捲りあげた。
しかし捲られた本人は特に焦ることもなく呆れた顔でこちらを見ているだけだった。
彼女のスカートの中は可愛らしい下着……ではなく、スパッツで完全カードされていたのだ。
茜は期待はずれで文句を言った。
「はぁ~!?そこまでしてパンツ見られたくないん!?てっきりノーパンかと期待したやろが!!」
「いや怒る意味がわかんねーよ、てかノーパンなんてありえないし」
なんでオレがんなことすんだよ、と冷静に突っ込まれるが作戦変更で急遽色仕掛けで落としてみることにした。
もうどんなやり方でもいいから結ばれたいのだ。
羞恥など今の茜には全く無かった。
「お前さ…いつもオレのこと団長って呼ぶよな」
「ほぇ?せやで?」
スカートを乱し、あらわになった太腿をいじらしく擦り合わせ鎖椰苛を誘うように上目遣いで見つめるも、全く効かず話を逸らされた。
というか団長というあだ名は彼女にピッタリだと思っていたからそう呼んでいるのだ。
「オレだって茜って呼んでんだからよ……。
お前も……鎖椰苛って呼んでくんねーかな」
「つまりは結婚と?」
「なんでそうなる」
茜にとっては今の鎖椰苛の台詞は完全にプロポーズと受け取ってしまったのだけど。しかもそんな風に珍しく頬を染めながら言われるとこちらも勘違いしてしまうだろう。
鎖椰苛は気恥ずかしそうに頬を掻きながら話を続ける。
「いや、なんつーか……せっかくのダチなんだからちゃんと呼んでくれよ。ほら」
「……っ!!」
そう言うといきなり茜のほうに顔を近付けて真っ直ぐに目を見つめてきた。
鎖椰苛は色恋沙汰に疎すぎるので無意識にそんなことをされると調子を狂わされてしまう。
名前を呼ぶことくらい簡単だ。そう思っていたのに。
「さ……さ、さささ……くぁw背drftgyふじこlp;@:「」」
「……そんな恥ずかしいか?」
図星だ。呼びたいのに恥ずかしくてふざけてしまう。別に団長呼びでもいいじゃないか。
目線を外し、所で昨日やってたテレビでさ~と、話を違う方向に持っていこうとごまかす。
「おい」
すると鎖椰苛は茜をベッドに押し倒して身動きを取れなくしてきた。
これは完全に団長のペースだ。あまりにも予想外の展開に、茜は観念して折れるしか無かった。
「……さ…………や……か……」
「もう一回」
「さ……や、か」
「もう一回」
「……っ、鎖椰苛!!!」
何度もリテイクされ、恥ずかしさでどうにかなりそうだ。半分泣きそうな顔で叫ぶように呼んでやると呼ばれた本人は幼い子どものようにぱぁっと笑顔になった。
「やれば出来んじゃん」
見た目はヤンキーなのにそうやってたまに子どもみたいに嬉しそうに笑う所が好きだ。
茜は照れて染まった頬を指で掻いてごまかしながらそんな事を考えていた。
「いやーー、なんか逆に落とされた気ぃするわ~」
「は?なんのこと?」
「さ、鎖椰苛がウチに惚れるんやなくて、ウチが鎖椰苛のことをもっと好きになってしもうたってことや!」
「オレも茜に惚れねぇといけないのか?」
満足して茜から離れてしまったが、もう少し押し倒されたままで居たかったと思ってしまった。普段だったら茜が鎖椰苛を押し倒したりなんかしたら半殺し確定だったからだ。貴重な時間だったと思う。
「んもぅ♡分かりきったことを~♡さや団長♡」
「…………は!?今なんつった!?」
「さや団長」
新たな呼び名にガクッと肩を落とすさや団長こと鎖椰苛。そこまでして団長付けたいのかと言われたが茜には団長がかっこいいしピッタリだからと返した。誇りに思ってくれていいと思う。
「……まぁ、お前だけだからな。そうやって呼んでいいのは」
「やった!」
普通誰も呼ばないだろうに。別に団長という呼び名じゃなくても良かったのだ。
――貴女にとってウチだけの特別な物が欲しかったから――
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―五月十五日―
緑は一人奮闘していた。
自宅のキッチンで甘い匂いを漂わせながら鼻歌交じりにとあるものを製作中。
板チョコを湯煎で溶かし、長方形の型にチョコレートを流し入れ、冷蔵庫で冷やす。
そして数時間後、完成したソレは……。
「って、何であたし板チョコ溶かして板チョコ作っちゃってるの!?」
学年成績順位が五位の緑でも、やはりこういう所は抜けてしまうのだ。
まぁいいかと型の事は気にしないことにして、大事なのはこの先である。
チョコレートの上に飾り付けとして金箔を振り撒く。
これはただの金箔ではなくて、惚れ薬作用が起こる成分が含まれている結構危なめなアイテムなのだ。どこで手に入れたかは緑にしか分からない。
そしてこれを食べてもらう相手は倭だ。緑は本気で彼女が好きだ。好きだからこそ振り向いて欲しい。友達としてだけでなく、女性としても見てもらいたくこの行動に出た。
倭がこのチョコレートを食べた時の事を想像する。食べた彼女はみるみるうちに顔が赤くなって緑にこう言うのだ。
「みどりん……私、みどりんと……一つになりたい」
照れ臭そうに口元を抑え、瞳を濡らしながらそう告白する倭に、緑は両腕を広げて抱き締める。
「いいよ。倭ちゃんの思うがままにあたしを支配して♡」
「みどりん……みんなには内緒だよ……っんん」
そして二人は夜通し身体に限界が来てもお互いを求め合って―――
「ふふ……ふ、ふふ……楽しみ……」
大好きな倭のことに関してだと緑はすぐに我を忘れてしまう。こうして妄想しているだけでニヤケ顔が止まらないし幸せなのだ。
さっそく倭の家に向かい二人だけの濃い時間を過ごそうと上機嫌で自宅を出た。
―――
「……気持ち悪い…………」
学校が休みの今日。せっかくの休日だというのに倭は自室のベッドの上に体調不良でぐったりしていた。
「一人称視点ってほんと酔うよね……やっぱり慣れないなぁ……」
その原因はゲームだ。とあるRPGのゲームをプレイしていたのだが、どうも倭は一人称視点が苦手ですぐに酔ってきてしまうのだ。カメラワークの操作が下手なのか。
しかし本当にこのままでは気持ち悪すぎて吐きそうだ。だが嘔吐恐怖症の倭は気軽に吐くことができない。
こう、モヤモヤしている時はあえて口に手を突っ込んだりして無理矢理にでも吐けば楽になるという事をネットか何かで見たが、自分には到底できない事だと思っている。
ずっとこのまま気持ち悪い状態でいるのも辛い。一度眠ろうと仰向けになると部屋の中央に突然緑が瞬間移動してきた。
「みどりん!」
今は魔術師だと知っているからこうして普通に魔法を使ってワープしてきたりするが、今まで倭にバレないようそうせずに隠し通してきたのは凄いなと思う。というか瞬間移動出来るなら遅刻もしないし楽だなと羨ましくなる。倭自身!よにも力があれば伝授して欲しいものだ。
(そうだ、みどりんに酔いを覚ましてくれるような魔法でもかけてもらえばすぐ治る……!)
そんな都合のいい魔法があるとは思えないがダメもとで聞いてみるのもありだろう。
ありがとうみどりん。タイミングバッチリでとても助かる、と倭は良き打開策に笑みを浮かべた。
「み、みどりんあのね……」
「倭ちゃんっ!チョコレートあげるから食べてっ!」
「―――ッッ!!!!?!?!!」
倭の言葉を遮るようにして話された言葉と差し出された物。
今は見せないで欲しかった。よりによってチョコレートとは。今食べたら確実に吐く。1000パーセント吐く。
「お願い!今すぐ食べてっ!!!」
「ほげらぁっ!?!!」
緑はごめんと前起きで謝っておきながら倭の口目掛けて無理矢理板チョコを突っ込んできた。
これでは吐くのも時間の問題だ。だけど逆にすぐ出せるから好都合なのでは?一気に楽になってしまおうと腹を括りチョコレートを無我夢中に体内に入れた。
「みど、りん……ありが、と、う……」
「ううんっ!全部食べてくれて嬉しい!」
「……でも、今から五分くらい目と耳を塞いで、真面目に、おねがい」
頭にはてなマークを浮かべつつも言われるがままに目を閉じ耳を両手で塞いでくれている間に倭はダッシュでトイレに向かい、物凄く下品だが全てを吐き出した。
緑に嗚咽が聞こえていないか不安になるくらい。
しかしお陰様でスッキリし、無事に緑の元に戻ることが出来た。チョコレートをあげた本人は何かを期待するかのように倭をやたら伺っていたが最後まで何だったのかはわからなかった。
「効かなかったかぁ……残念」
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―五月十八日―
「えいっ!」
機敏に横に跳ね、相手と距離を保ちレイの武器であるカードを一枚投げ、そこから電撃を放ち麻痺させ相手の動きを封じる。
「ライム!」
「あぁ!」
そこへすかさずライムが相手に詰め寄り力強く拳を腹に叩きつけ即座に回し蹴りを入れた。
標的は呆気なく宙を舞い、ボフンと音を立て消滅した。
「タイミングバッチリだな…!」
「ええ、息ぴったりだったわね」
レイとライムは戦闘の訓練をしていた所である。今戦っていた相手はレイが魔法で作り上げた架空の戦闘相手だ。
別に戦争に巻き込まれているわけではないが、やはり普段から何かあってもいいように日頃の鍛錬は積み重ねておくべきだろうという理由で最近よくレイはライムや緑と訓練をしている。
軽く汗を拭うライムをレイはチラリと見る。
ライムは戦っている姿がとてもかっこいい。思わず見とれてしまいそうになるくらいには彼女はライムに惚れている。初めて闘いを交えた時からライムが気になって仕方がないのだ。負けた事は悔しいが一緒にいることが出来てとても嬉しく思う。
「うーーーん、色気担当はどっちかというとライっちやな」
「きゃっ!茜さんいつの間に」
いつから居たのかは不明だがレイとライムの間に挟まれながら何か意味不明なことを口走る茜がそこにいた。
「何なんだ、色気担当とは」
「そうよ、いきなり訳の分からないことを言ってライムを困らせないで欲しいわ」
「まぁまぁレイっち」
茜はレイの腕を掴んでライムから少し離れると耳元でこう囁いた。
「考えてみ?ライっちのお色気姿♡」
意味深にそう囁かれ瞬時に顔が赤くなってしまった。今までそんな妄想なんてしたことが無かったが、茜の一言にレイの頭の中はライムの恥じらう姿しか浮かばなくなっていた。
茜はそんなレイの手助けをするかのように言葉巧みに妄想を膨らませてくる。
「ライっちがゆっくりとレイっちに近付いてきて、服を乱しながらこう言うんや。
我の事、好きにしていいぞ……って」
ライムの恥ずかしげな表情を見たことがないからこそ掻き立てられるものがある。
恥ずかしそうにレイに素肌を見せてくる彼女を……。
「……って、なに言ってるのよ!!」
「ぶべらッ!!」
理性が崩壊する前に茜を平手打ちすることでストップをかけることが出来た。
「全く……あ、ごめんなさい茜さん。魔法は使っていないからそこまで痛くなかったでしょう?」
「おい、二人で何やってるんだ」
「なっ、なんでもないのよ!」
気付かず背後にいたライムに作り笑いだけしておいて冷静を取り戻す。茜は涙目で頬を抑えながら、せやったらレイっちがお色気担当や……と震えた声でそれだけ言うとそそくさと帰ってしまった。
最後の最後まで変なことを言い残して行かないで欲しい。この空気をどうすればいいのか。ちらりとライムを見上げると何故か彼女は赤面してわなわなしていた。
「ゆうは何言ってるんだ……。レイが……そうだったら……我は……っ」
「何か言ったかしら?」
レイが聞くもごにょごにょと濁され気になったので思い切ってライムに壁ドンをして問いただした。
「私が色気担当だったら何かあるの?」
「……っ、直視できん」
こうして頬を染めるライムを見るのは珍しい。
あぁ、やはり彼女はどんな表情をしても綺麗だ。初めて見た時から思っていたけれど私だけを見ていて欲しい、なんて欲張りな感情がレイに芽生えてしまう。
「所でいつまでこの体勢なんだ」
「なに?ドキドキする?」
「あ、たりまえだ……」
誘うようにスルスルと頬を撫でるとぴくっと身動ぎした。ライムもレイにこうされて満更でもなさそうな顔をしているし、思い切った行動に出ても良いだろうか。
「……キス、してみる?」
「ぶっ!!!!なんでそうなる!!!!」
「あたっ!」
さすがに駄目なようでデコピンをされて離れてしまった。軽く弾いたのだろうけれどライムの力が強すぎて額を抑えながら涙目で睨んだ。
「このままの関係が……我には丁度いいんだ。それに女性同士だろう」
「……そう」
何だか振られた気持ちになってしまった。
自分の方が年上なのに情けないとレイは項垂れる。彼女を落とすにはまだまだ時間がかかりそうだ。だが逆に燃えて絶対に振り向かせてみせるとやる気にもなった。
(まずは茜さんに今後教えてもらいましょう…。人の心を射止めるにはどうしたらいいかを……)
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―五月二十九日―
「全く……茜さん、もっと女性として慎みを持ったらどうなのかしら。いくつだと思ってるの」
「十六歳、せやけど心は常に子どもやで」
「あっちゃん……」
「下着が見えそうになるまでスカートを折るとは……何がしたいんだ」
「そうだそうだ、アホかお前」
「だって~こうでもせんと、女子高生に見えへんくない?」
「んー、よく分からないけどとりあえず身長160センチ行ってるから見えると思うけどなぁ」
皆からの集中攻撃になんのダメージも食らっていない茜は折りに折りまくったスカートを戻して口を尖らせ不服そうにしていた。可愛く見られたいのは分からないでもないが下着が見えてしまったら社会的に駄目だと倭は思った。
緑が身長の事を言うと何故か一同が倭を凝視してくる。ちなみに倭の身長は百六十二センチ。それなりに高いと思っていたが周りが高すぎて自慢にならなくなっていた。
そして緑以外の全員が口を揃えて倭に向かってギリギリだと言うのだ。
「ぶ、ぶぅーーー!」
「倭ちゃんをいじめたら駄目だよ~!」
すかさず緑が倭の前に出て止めに入ってくれたが何故か嬉しそうにニヤニヤしていた。
「そういうライムちゃんは身長高すぎるよ」
「ぬ?みーは我の事そう思っていたのか」
「いや誰だって見えるわ!!」
ライ厶の身長はずば抜けて高い。百七十六センチなんて多分学校で女子の部では一番高身長だと思う。
鎖椰苛がツッコミを入れた所で不意に頬に冷たい雨粒が落ちてきた。
「うわ!雨だ!」
突然の雨に誰も傘を持っていなかった為、すぐに全身が濡れてしまった。どこかで雨宿りをしようと適当に道を小走りしていると、目の前に温泉の看板が見えてきた。
「温泉発見!」
「せっかくだから入ってこーや!」
「早く入りましょ!」
という事で成り行きで皆でお風呂に入ることになった。
時間帯がまだ夕方前だったので客はそんなに入っていなかった。
「よし!バスタオルセットして……入ろう!」
「倭ちゃんとお風呂……♡」
脱衣場で各々服を脱ぎ、さすがに全裸は恥ずかしいので湯船に入る所まではバスタオルで身体を隠して行くことにした。
他の皆も準備できたようだが鎖椰苛だけ倭達から異常に離れた場所で服を脱いでいた。
「もしかして鎖椰苛さん恥ずかしいのかしら?……ヤンキーなのに」
「だぁからオレはヤンキーじゃねぇ!!」
鎖椰苛は雑に身体をバスタオルで巻いてそそくさとお風呂の引き戸を開けて入っていってしまった。
残った倭達も後を追って、まずは洗い場で身体を洗ってから湯船に浸かることにした。
「やっほぉおおおい!」
茜が思い切り湯船に飛び込んで先に入っていたレイに水しぶきを浴びさせた。モロにお湯を被ったレイは静かに怒りをあらわにしていた。
「茜さん……楽しいのは分かるけど飛び込むのは止めなさい……」
「へへっ、ごめんなさーい!」
そんなやり取りを少し離れた所から緑と眺めて笑いあっていた。二人のやり取りがまるでお母さんと子どものように見えてしまったからだ。
「倭ちゃん、あとで頭洗ってあげるね」
「いいの?ありがとう!」
ニコニコと嬉しそうに倭を見てくる緑は、普段左側を結っている髪の毛を下ろしていていつもと違う雰囲気になって大人びているように感じた。
「みどりん、髪の毛下ろしてるからいつもと印象違って見えて可愛いね」
「か……可愛い……?」
倭がそう言うと緑は逆上せたかのように一瞬で顔を真っ赤にしてぎゃふんと言いながらお風呂に沈んでしまった。急いで引き上げて声をかけなんとか正気を取り戻させることが出来た。
「……あら?ライムがいないわね」
湯船に浸かりながら今度はレイがキョロキョロとライ厶を探し始めた。するとすぐ横で我ならずっとここにいるが、と返事をした。
「え!?貴女だったの!?全然気が付かなかったわ」
「失礼だな」
そんなライ厶はトレードマークのツインテールを下ろしてしまっていたので見慣れず気が付くことが出来なかった。緑と同じで印象が違って見える。
「耳のピアスでなんとかライっちやって分かったで、ウチは」
「よく見てるな、ゆう。というかまぁ、髪を下ろすのは家で位だしな」
そういう茜も前髪を留めているヘアピンを外しているので普段と違う感じに見えた。
こうして皆でお風呂に入って談笑して、楽しい時間を過ごしていた。
だがその間、一人だけ不在なことに疑問を抱き皆に問いかけてみた。
「さやんきー、どこ行ったのかな?」
居なくなられても困るので探してみると一人シャワーを浴びている後ろ姿を発見した。
名前を呼ぶと過剰に驚いた反応をしてこちらを振り返った。その姿に思わず皆で息を飲んでしまった。
「な、なんだよ……あ、あんま見んじゃねぇよ」
いつものツンツンと跳ねている髪型とは打って変わって、シャワーを浴びた為ストレートヘアーになっていたのだ。物凄くレアな姿につい見とれてしまった。
「ワックス落ちたらこうなるに決まってんだからそんな食い入るように見んなよ!特に訳わかんねえこと口走ってる茜!」
「くぁw背drftgyふじこlp;@:「」」
見られたのが恥ずかしかったのか前髪をかき上げながら文句を言う鎖椰苛に、茜が混乱してパニックになっていた。目をぐるぐるさせながらよく分からない言葉を口にしている。大丈夫だろうか。
「倭の髪の毛だってワックス落ちて真っ直ぐになってるだろ、それと同じだよ」
「え?私ワックス付けてないよ?寝癖だよ?」
誰にも言われなかったが倭も一応寝癖が水によって直り、ストレートになっているのだ。緑には可愛いと言われたが、この寝癖はどんなに夜に気を付けて寝ても起きたら跳ねてしまうのでもう自分のチャームポイントとしてそのままにしておこうと諦めたのだ。
その後、お風呂から出て脱衣場に戻り着替えをしていたがやはり鎖椰苛だけは倭達と距離を置いて恥ずかしそうに服を着ていた。
緑とライムとレイが魔術師だと知った後もこうして普段通り楽しい日々を送ることが出来ていたので、こんな日常が毎日続けばいいなと倭は自然と笑みが零れた。
――今にそれが覆されることを知らずに――
彼女たちの日常シーンです。めちゃくちゃガールズラブしてます。
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