~自己紹介~
梅雨明け後の晴れ渡る空。
春から夏に向かっていくこの時期が、私は好きだと少女は笑う。
まだ半袖を着るには少し早く、長袖に薄いシャツを重ね着しお気に入りのバッグを片手に黒髪を揺らしながら向かっていた先は近所の公園。
今日は同じ学校の友人達と遊びに出かける為待ち合わせをしているのだ。
彼女の名前は黒花 倭。稿志涼高校に通う高校1年生。
漫画やアニメをよく観たりしている少しオタク気質な趣味を持っている。誕生日は九月六日。身長百六十二センチの体重四十六キログラム。血液型はO型。特徴はどんなに直しても跳ねてしまう両サイドの寝癖。スリーサイズは上から八十……ってこれは言わなくてもいいか。
「あれ…まだ誰も来てない……」
公園内に入り、辺りを見渡すも友人の姿は見当たらなかった。
今日待ち合わせしている友人の人数は5人。
指定の時刻間際なのに誰一人としていないのも珍しく感じた。
まぁそんな日もあるかと仕方なくベンチに座り腕時計をチラ見しながら待つが、なかなか来る気配がない。
公園の滑り台で健気に遊ぶ子供たちを眺めながら、そういえばと物思いにふける。
「私も小さい頃よくお姉ちゃんとここで遊んでたなぁ……」
お姉ちゃん、というのは本当の姉という意味ではなく年が3つ程離れた親戚の事だ。
倭と同じくアニメが好きで意気投合して小さい頃から頻繁に遊んでもらっていた大好きなお姉ちゃん。
今は大学生になってしまっているから会う機会が減ってしまったがたまに勉強を教えてくれたり彼女の友人にも会わせてくれたり時間を作ってくれている。
「……って、遅いって!」
昔話に花を咲かせる直前で現実に戻る。
待ち合わせ時間をとっくに過ぎているにも関わらず誰も来ないのはおかしい。
「もしかしてみんな……グルだった……?見捨てられた!?」
俯きながら薄く涙を浮かべぽつりと呟くと突然目の前が薄暗くなった。
ハッとして顔を上げると木々の若葉のような鮮やかな緑色が目の前に広がった。
「泣かないで?倭ちゃん」
申し訳なさそうに眉を八の字にして優しくほほ笑みかける彼女は本条 緑。
倭は”みどりん”と呼んでいる。
倭と同じクラスで名前の通り緑の髪色をしている。
この世界では髪の色が異色な子がいる件については突っ込まない事になっている。
とてもおっとりしていてたまに天然が入るお茶目さんだ。
しかし頭脳明晰であるのが不思議な所である。趣味は読書で詳しくは分からないが聖書を読むらしい。誕生日は四月三日。身長百六十三センチ、体重四十八キログラム、血液型はB型。
特徴はパッと見でもどうしても目がいってしまう胸。数値は控えるがEカップだ。
友達想いで意外と大胆な行動をする時がある。
「な、泣いてなんかないもん……っ!」
「ふふ…(倭ちゃんの泣きべそ顔可愛い~♡ギュッてしたい~♡)」
「みどりん……なんか心の声が聴こえた気がしたけど気のせいかな。笑顔が怖いんだけど」
そう伝えるが倭を見つめてただただにこやかに笑みを浮かべ続ける緑に違う世界行ってないかいと声を掛けると今度は後ろから倭を呼ぶ声がした。
「クロ、遅れてすまない」
振り返るとすらっとした長身の女性が立っていた。
先に伝えておくが身長は百七十六センチな彼女は紺野 ライム。
倭は”ライちゃん”と呼ばせてもらっている。
端正な顔立ちで背が高いことからかっこよくて頼り甲斐がある倭と同じクラスの女性。
しかし勉学の面では倭の方が上なのは確かだ。
誕生日は九月二十日。体重は五十二キログラムで血液型はA型。特徴は紫色を帯びた上品な紺色の髪色とやはり身長であろう。
「ライちゃん!結構待ったんだからね!」
「いや、レイが着る服が何やらとかで中々家から出てきてくれなくてな」
「なっ!?私のせいだっていうの!?」
ライ厶が目線だけ後ろに促すように見やるとすぐにそこにいた別の女性が反論の声を上げ出した。
女性の名前はレイノーラ・ステイブルー。
倭は”レイちゃん”と呼んでいて彼女もライムと同じく端正な顔立ちをしていてイギリス人だ。と言っても日本にだいぶ前から住んでいるとのことで日本語はペラペラである。高校二年生で誕生日は十月二十九日、身長百六十八センチの体重四十八キログラムで血液型はA型。特徴は透き通るように綺麗な明るいブルーの髪色。
「お前が服選びに時間を取っていたからだろう?」
「ですからそれは………………貴女に似合っていると沢山言ってもらいたくてごにょごにょ……」
ライ厶が簡潔にレイを叱るが当の本人は顔を赤らめながら小さな声で何か反発しているようだ。
ライ厶とレイはとても仲がいいように見える。いや、基本的に私達みんな仲良しだけどこの二人は特に親密に見えるのだ。
しかしこう並ばれるとモデルのようで自分が惨めに感じてしまうと倭が項垂れる。
「遅れてほんまごめん~!」
またも背後から声がしたので振り返ると化粧バリバリのライ厶達とは違った意味で読者モデルのような人が走ってこちらへ向かってきた。
優紀 茜。
倭は”あっちゃん”と呼んでいる。彼女は走って乱れた茜色の前髪を整えながら輝かしい程の笑顔で皆の顔を見る。性格は少し変態チックだけどいい人に変わりはなくて関西弁を使っているが関西生まれなのかは教えてくれない謎の人だ。
誕生日は一月二日、身長百六十七センチで体重四十九キログラム、血液型はAB型。特徴はやはりバッチリ決まった化粧とお洒落なファッションだ。それと左目に泣きぼくろがある。高校一年生で彼女も倭と同じクラスだ。
「んー、やっぱりまだ来ないね……」
続々と集合していくがあと一人だけ不在で緑が心配そうに口を開いた。
「鎖椰はまだなのか?」
「わかんない……昨日は行くって言ってたんだけど」
「……あら?噂をすれば来たんじゃないかしら?」
「お?どこや?」
一同がまだかまだかと待ちくたびれているとレイが一点を見つめ声を上げた。
その方向を見ると遠くからいかにもヤンキーな風貌の彼女がだるそうに歩いてきた。
「おそいよー!」
金髪の髪の後ろから長いメッシュをなびかせ、欠伸をしながら近付いてくる彼女は金墻 鎖椰苛。見た目通りヤンキーな為倭は”さやんきー”と呼んでいる。とはいえ本人はヤンキーを否定しているが。
妹がいてすごく面倒見のいいお姉ちゃんらしいがあまり想像がつかない。
誕生日は七月二十五日、身長百六十五センチの体重四十七キログラム、血液型はO型。特徴はやはり見た目と不良オーラだろうか。
「あー、わりぃ。おもくそ寝坊した」
「もう!寝坊はダメやで?」
あまり悪びれた感じがしない鎖椰苛に、茜が近付いて声をかける。すると注意された本人はまずい、みたいな罰が悪そうな顔をして少し後ずさった。
「遅れた罰としてハグさせてくれへんか♡」
「なんでそうなるッ!!」
「ぁいたっ!!!」
この二人はいつもこんな感じで茜が冗談半分な発言をしては鎖椰苛に突っ込まれて叩かれている。何だかんだ言って仲がいいんだなと毎回思う。
「よぉし!みんな揃ったね!」
全員が揃った所で伸びをしながら立ち上がる。ようやく行動できる事に嬉しく思い皆の顔を一人ずつ伺う。
「所でどこにいくのかな?」
「まずはプリクラ撮りに行かへん!?せっかく美女軍団集まったことやし!」
「自分で言うなよ……」
だって美女やもんなー!と上機嫌にスキップする茜に呆れながらも着いていく。
みんなのおかげで楽しい毎日を送ることができている。
本当に感謝しかない。
―ただ、この時倭はまだ知らなかった。
友達が原因で非日常に巻き込まれてしまうことを―
自己紹介です!人数が少し多いので判別できるよう表紙等も描いていく予定です!
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