朝方の雑談
「いきなり、まじめな話だね。」
「いや、私はずっとまじめだったんだけど。」
「そ・・そうなんだ。」
危なかった・・適当にあしらって追い返すところだった。
「でも、質問がぶっとんでるもんだから・・」
「絵美さんの小粋なジョークなのかと。」
「朝から、そんな事言いにこないよ。」
まぁ、それはおっしゃる通りだ・・・
「それで、薦めたい商品ってことは営業の悩みってことでいいんだよね?」
「う、うん。」
何だかんだきいてくれるのよね・・
「私が良く行く関与先なんだけど、もうこの会社に来てもう3年目だしって事で、定期でやる見直しの訪問は一人で行かせてもらえるようになったの。」
流石・・できる女。
「それで、先輩にそのお客様に合った商品があれば薦めていいかも聞いてみたの。」
「すごいやる気だね!僕も見習わないと・・」
「・・カズくんも頑張ってるよ!」
今の間は何だろう・・
「それから、先輩からのアドバイスも頂きながら商品を調べてぴったりの商品が見つかったから、世間話の流れで簡単に説明しようと思ったんだけど――」
「断られた??」
「っていうより、あんまり関心を持ってくれなかったの。」
「・・・」
「はっきりと断られてないけど、もうこの商品の話はしない方がいいのか、それともまた日が経ってから話すべきなのかな~って考えてたら頭が・・・」
「心を読むってそういうことかーーははっ!」
「何笑ってるの~!」
「いやぁ、絵美さんはやっぱり真面目でえらいなぁって。」
「え?」
「だって、僕なら見直しの訪問で自主的に商品をお薦めしないし、腐らずに僕に相談してるし、すごいよ!」
「全然そんなことないよ〜」
「強いて言うなら相談相手はもっとまとも人に頼んだ方がいいけどね。」
「僕より頼りになる人なんて山ほどいるんだし、それこそ同期の『隼人』とか!」
「いや、こう言う相談はカズくんが一番だと思うの。」
「??」
「私、人を見る目には少し自信あるんだ。」
「まぁ、そこまで言うなら・・・」
「それで、カズくんならどうする??」
「んー僕なら情報収集して他の商品を薦めるかなぁ」
「そうかぁ。やっぱ、やめた方がいいのかなぁ。」
「いや、人それぞれ違うと思うから、僕なんかの答えで結果を出すのは早いと思うよ?」
「大事なのは自分がどうしたいかだよ!絵美さんはどうしたいの?」
「・・・私はお客様の為になる方を選びたいから、どうしたらいいのか分かんないの。」
Oh・・・めんどくさっ。
それっぽいこと言って流したいけど--
あんな真剣な目されたらな。
「それなら、答えなんて分からないんだし自分がやりたいと思う方に進んだ方がいいと思う。」
「やりたい・・・」
「うん。」
「さっきも言ったけど、僕ならお客様の機嫌を損ねたくないから、別の商品を薦める流れでもう1度話してみるし--」
「自分の考えに自信があるって人は、どんな利益をもたらすかを更に詳しく話すんだろうしー-」
「要はどうするかはそこまで問題ないんじゃないかな?」
「・・・カズくんは!--」
「和博くん!!」
「はいっ!」
「ごめん。この話はまたお後にでも!」
「ぅ、うん。 ごめんね!」
この資料・・・いつも甘えて本当ごめんね。