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無自覚の中の私  作者: TIRU
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一話


ーリバイバルロボット。20××年深刻な人口減少を緩和させる為、政府とある研究機関によって作成されたロボットである。死んだ人間の生前のデータを元に作り上げられており、生前データは着用が義務付けられているパーソナルリングに内蔵されている。また、リバイバルロボットの作成の権利は国民1人につき一回であり、政府に申請し、承認されると作成される。無論、データ元は死んだ人間のみであり、まだ生存している人間をデータ元としてリバイバルロボットを作成することはできない。また、同じデータ元で二つ以上のリバイバルロボットを作成することも出来ないとされている。ー






『、、、と、ゆう訳で今日はリバイバルロボットと生活を始めた木下さんにインタビューをしていきたいと思います。木下さん、よろしくお願いします』

『はい。よろしくお願いします』

『えー、木下さんは二ヶ月前、つまり今年の五月に旦那様を交通事故で無くされているんですね』

『はい。』

『リバイバルロボットはいつから…??』

『主人が事故にあった三日後からです』

『なるほど。今、リバイバルロボットに関する意見が色々ありますが、木下さんにはリバイバルロボットに対する不安などはありましたか?』

『いえ、ありませんでした。…私は主人がいないと生きていけないので。リバイバルロボットは私の希望でした』





「くだらない、こんな番組」

柏原美里は、勢いよくテレビの電源を切った。リモコンを机に置くと、眉間に皺を寄せたままお弁当をほうばり始める。

「くだらなくなんてないわ!美智香はさっきの番組見たいんだからリモコン貸しなさいよ!!」

美里の近くにあるリモコンを奪おうと中崎美智香は、スラッと長い手を伸ばすが、美里が先にリモコンを取り背中の後ろに隠す。そのリモコンを取ろうとする美智香と美里で追いかけっこが始まるが、こんなことはここでは日常茶飯事だ。

「もー、2人ともいい加減にしなって。部室なんだから、機材とか壊れたらどうするの」

櫻田大学、 映画サークルの部長でもある山崎龍太が2人をなだめるのも日常茶飯事である。

「なんで美智香があんたの言うことなんか聞かなくちゃいけないのよ!」

美智香は大きな目を細めて龍太を強く睨む。美人の不機嫌な顔はなかなか迫力があるが、美智香の場合しょっちゅう不機嫌な顔をする為、迫力も無くなってしまっている。

「だって僕部長だし」

へらっと笑いながら龍太が言うこのセリフも、乱用しすぎて決まり文句になっている。

「4人しかいないサークルの部長ごときで威張らないでよね」

美里のツッコミが入るところでこの茶番は終わりを迎える。(もっとも、本人達は真剣だが)

「…いいから、早くご飯食べなよ。冷めるぞ」

映画サークルの4人目のメンバー、藤岡新が空になったコンビニ弁当の容器をゴミ箱に捨てながら口を開いた。

「おかしん、もう食べ終わったの?早いなぁ」

美里は、新が空の容器を捨てるのをみて、急いでほぼ手付かずだったお弁当を食べ始めた。ちなみに、おかしんと言うのは新のあだ名で、新の幼馴染である美智香が付けたものだった。小さい頃、”ふじおか あらた”を”ふじおか しん”と呼び間違えたことがきっかけらしい。ルックスが良く、クールな見た目の新には似合わないこのニックネームは、映画サークルメンバーにしか使われていない。

「…にしても、リバイバルロボットの話題は尽きないねぇ」

龍太はサンドイッチを頬張りながら呟く。

「そりゃそうよ!リバイバルロボットは人類が誇るべき発明だもの。その素晴らしさは30年経ったいまでも衰えることを知らないの!」

「…美智香。リバイバルロボット反対派の私にむかって喧嘩うってるの?」

「えー、そんなことないもーん」

また美智香と美里の喧嘩が始まりそうになるが、美里がお弁当のおかずのハンバーグを食べることを優先したので、喧嘩は始まらなかった。

「じゃ、俺今日はバイトあっからお先に」

「あっ、美智香もバイトあるんだった!じゃー、また明日ね美里、龍太!」

2人が颯爽と部室を後にする。部室には2人が残された。

「慌ただしいんだから、美智香は…」

美里は残っていたお弁当を平らげると、部室に備え付けてある水道でお弁当箱を洗い始める。

「…美里も美智香も本当は仲良いくせにこの話題になるとすぐ喧嘩するからなぁ」

「美智香はリバイバルロボット賛成派で私は反対派だからね…」

お弁当箱を洗い終わった美里は再びソファーに腰掛けカバンから本を取り出して読み始める。

「美里はなんでそんなにリバイバルロボットが嫌いなの?」

しばらく本を読んだまま龍太の問いかけを無視したが、龍太が美里の回答をじっと待っているので口を開く。

「私は、ロボットと人間を同じと思いたくないの」

そう言うと、龍太はいつものヘラっとした笑い方で笑った。

「美里らしいや」





ーー この時、まだ私はリバイバルロボットのことを何もわかっていなかったのです。これから、私たち4人に起こることも…



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