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双黒のアルケミスト ~転生錬金術師の異世界クラフトライフ~  作者: エージ/多部 栄次
第一部三章 錬金術師のクラフトライフ ルマーノの町の日常編
27/214

3-1-1.最弱の剣士にして最強の錬金術師

 不思議な感覚だ。

 メルスト・ヘルメスは身体の底から湧き出てくる異様な熱さに毎度そう感じている。


 『ルマーノの町』から少し離れた『ソール草原』。"象石エレファント・ロック"が点在し、どこまでも続く緑の丘陵に真っ白な積乱雲。果てしない地平線を見ては、澄んだ風を深く大きく吸い込んだ。


(この力って……エリシアさんが言ってたけど魔法ではないんだよな)


 国によって名称が異なる術式の一種"魔法"にも種類と言うものがある。

 おおかまに分類すれば風、土、火、水の4属性がメインだが、特殊属性には光、闇、マイナーなものとして天、識、そして無がある。種類がどうあれ、いずれも"魔力"という"魔素"が集結し、具現化した"魔法の基"が関わってくる。メルストの力には、その魔力も魔素も一切なかったのだ。


(……いろいろ法則も破ってるしな、これ)


 彼のもっている複数の能力。それは、エネルギーを根源から生み出し、原子自体を操る能力が基盤となっている。

 酸塩基や酸化還元などの化学反応も、状態変化といった物理反応も結局は分子が動いたり、分離や結合するにすぎない。しかし、原子そのものをエネルギーから創る物質創成能力もあるので、一概にそうだとは言えないが。


 緑の丘から突出した大きな奇岩エレファント・ロックに触れる。

 メルスト命名"組成鑑定マテリアルオピニオン"により、目に浮かび上がった岩石の組成成分。主成分は"炭酸カルシウム"。他にも"シリカ"や"フッ素"をはじめ、ほんのわずかに鉛などが混じっているのを確認。


 その結合を、解く。途端に岩石は熱を帯び、単分子となって昇華。赤く熱している抉れた跡だけが残る。


「物質の本質を見る力と、最小単位まで分解する力……」


 袖をまくり、右腕から金、左腕から銀を創成。

 どちらもプラズマ、蒸気、液状として創出され、膨れるようにあふれ出ては、不定形な金属塊がメルストの腕にまとわりついた。大人一人分の体積を誇る金塊と銀塊。肌に触れた部分だけ融解させ、そこから腕を抜く。


「元素の単体はどの状態でも関係なく、どれだけでも創れる力……」


 両手を合わせる。

 左手からは水素100%のガス、黒く染まった右手からは炭素を創成。両手の間で漏れ出るプラズマと、高熱ゆえに湧き立つ白濁の蒸気。手の周りに陽炎ができている。


 構造をイメージし、手から零れ落ちたのは純度の高いガソリン、次に灯油。イメージを変え、PE粒よりも小さい"ポリエチレン"の粉末砂、そして溶媒の役割を果たす、劇物の"トルエン"が出てくる。


「触れた物質を組み合わせたり、組み替えたりする力……それを応用して――」


 地面から漂う、鼻をつまみたくなるような揮発臭の元を物質分解能力で一片も残さず消し去った。

 右腕から膨れ上がるように創成した一万リットルはある水の塊。小さな湖が宙に浮いているかのようだ。

 それを空へ放ち、左手で水の巨塊に触れて、設計イメージした構造図を水へと念じた。


 途端、爆発したかのように球体の湖は放射状に散り、飛沫と幾何学的な模様の水膜、そして根のような水の脈を形成させる。どこまでも続き、どこまでも広がる水の作品はメルストの指を起点に空間へと作り上げられた。


 だが、一瞬の芸術アートは別の形へと豹変する。それは凝固作用。辺り一帯の草原が濡れたと思いきや、そのかざした左腕によって氷結の凍土へと化す。その勢いは留まることを知らず、左手から放つエネルギーは空気や地面を氷で侵食させていく。


 気圧も変わり、風に乱れが生じたとき、氷結地帯を一気に昇華。波紋を広げるように、彼の左手から草原の彼方まで続く氷雪原を蒸気へと変えていった。

 元の草原に戻り、熱い空気と蒸気は空へと昇って雲の一部となるだろう。


「あらゆる物質とその状態を操れる力……か」


(これだけの化学反応や物理現象を素手ひとつで成し遂げている。その原理はわけわかんねぇけど、宇宙規模の……それこそ何千兆発分の超新星爆発に匹敵する超高エネルギーを、この身体の中で生み出しているわけだ。……大丈夫か俺の身体。放射線出しまくってないよな?)


 そう懸念してしまうが、幸い放射能人間にもなっていなければメルトダウン人間にもなっていない。


 例えば元素1グラム、それも質量の重い金を1グラム作るだけでも莫大な資金とエネルギー量が必要となる。それこそメルストの述べた通り、超新星爆発――10⁴⁵ジュール以上のエネルギーがなければ1グラム分の金原子は作れない。


 メルストの培ってきた知識と常識を理論として考えるならば、この肉体の中では何億、何兆発分の超新星爆発に値する莫大なエネルギーを生成している他、絶対零度の状態にさせるだけの矮小なエネルギーへと調整することも可能といえば可能だ。胸に籠る熱で温かいはずなのに、背筋がぞくりとする。


「無限に等しい出力エネルギーか」

 ということは? メルストはふと何かを閃く。


(エネルギー使い放題で大体のものに変換できるってことは……)

「ワープもできる……?」


 突拍子もないことを呟く。前世のドライブ理論に基づくなら、宇宙に存在するすべてのエネルギーの100億倍あれば可能だということを思い出す。しかし思いついたところで何をどうすればいいのかは知る由もない。そうとなれば、適当にイメージするしかなかった。

 空を見上げる。晴れ渡った空に流れる雲がなんともやわらかそうだ。


(あの雲の上あたりに行けたりとか――)


 途端、雷に打たれたような衝撃と共に細胞が沸騰しそうなほど全身が熱くなる――と感じたときには、視界は空一色となっていた。

 雲の上。視界に飛び込む地平線の彼方。地面が消え去り、足が引っこ抜けるような感覚に、自分が落下しているのだと気づかされる。


「うぉおおおおああああああ!!」


 ――どうするどうするどうするどうする!?


 成功はした。しかしその後のことを考えてなかった。そもそも冗談半分だったのに成功するとは思わなかった。

 皮膚から発する蒸気を空に置いていきながら、緑の丘が近づいてくる。


 だが、丘ごと黒い影がメルストを覆う。上を見ると視界一杯の喉奥と牙と舌。トンボ羽をムカデのように体の横に無数に生やした、飛翔系の細長い大型魔物だが、メルストの目線では得体の知れないバカデカい口が迫っているようにしか見えなかっただろう。


「ぃやああああああ!!」


 うわずる声を空に響かせる。バクン、と食べられるも、魔物は確認したかのように一度口を開ける。捕えたはずの人間エサが消えたのだ。

 その一方で、もう一度だけ空間移動ワープを使って回避したメルストは、白衣と漆色の髪をはためかせながら、魔物から離れた場所で再び落下を続けていた。


 すでに涙目だったメルストは地面に向け手をかざす。竜をも屠った不可視の爆発を右手から小さく発した。地面が抉れるも、爆圧がクッションの役割を果たし、爆風に流されながら丘を激しく転がった。


「あっ、あっぶねえ! はぁ……さっきのなんなのマジで! はぁっ、もうこれ高所恐怖症だったら死んでた。高所が恐怖症になったこれ!」


 パニックでよくわからないことを言った彼自身、何が起きたかわからなかっただろう。とりあえず、と草塗れになった服を払う。


 興奮して気が付かなかったが、急な吐き気と倦怠感がメルストを襲った。熱でもあるかのように頭がボーっとし、貧血のようにふらりとよろめいた。うぷ、と何かが出てきそうな口をおさえる。


「おぅえ……やっぱり副作用あんのかよ」

 今のままでは常に使えそうにない。しかし、努力次第でコントロールはできそうだ。要は慣れということか。

 そう思い、ひどい筋肉痛と倦怠感に身を任せ、空を仰ぐように丘に倒れる。緑の絨毯がやわらかい。


(俺が一通りできることは分かってきたな。けど……)

「……高スペックすぎる」


 自分でもそう評価してしまうぐらい、驚くべき物理化学的能力の数々。研究者ならば誰もが欲する力に違いない。いや、資源問題など多くを抱えた世界中が欲しがる能力だ。前世に戻ることができるのならば、経済傾向も世界情勢も自由自在だろう。環境問題だって、あれもこれも……と解決策を次々と考える。


 しかし、この能力において最も重要なことは、能力を使う際に生み出すエネルギーを使いすぎれば自身の身体に異常をきたすことであったと、先程の体調不良を思い出す。

 底をつくことはないが、使うにつれて身体が高熱を発していき、メルトダウン――遂には壊れていくかもしれない。最終的には諸刃の剣となるわけだ。


(まぁ、よほどのことがない限り体力切れにはならないだろ)


 とはいえ、日常生活でも戦闘でも苦労することはない。地球を何十兆回分を粉砕するだけのエネルギーを自在に生成して万物を平然と操っていると考えれば、これでいいのかと思うぐらいのリスクの小ささだ。限界を来すことはないだろう。


 ホルンのような音色が空に響く。しかし楽器の音ではない、空を遮る「渡り飛竜」の鳴声だ。

 起き上がり、側に置いていた剣を持つ。

「……ん?」


 ちょうど目にしたもの。それは、頭や背中、3対ある脚腕が堅い甲殻で守られた、全長3,4mを越える緑毛の巨熊。草原に擬態し見えづらいが、のっそりとメルストの近くを徘徊していた。

 視線が合う。メルストが狙うよりも先に、エサとして様子を窺っていたようである。


「ちょっ」と、思わず尻を付けたまま後ずさりしたが、ドラゴンの一撃を生身で受け止められた経験を思い出し、冷静を取り戻す。加え、ルミアに課された訓練のことも思えば自然と立ち上がっていた。

 紅魔竜の一戦ではたまたまうまくいったが、制御できていないことに変わりはない。その訓練をしたくとも、さすがに人を巻き込めない。その上――。

(まずはあの魔物から試してみようかな)

 せめて能力を使わなくても、基礎的な戦闘力は欲しいところ。他の人と違う故に、無闇に自分の能力は仕えないと彼は考えていた。


(この間、ルミアと剣勝負をして惨敗したからな)

 つまり、無数の核兵器をボタンひとつで発射できる素人同然。神がかった能力があれど、戦い方を知らなければ、体の使い方も知らなかった。


(ダグラスさんから貰った鉄剣でなんとかなる……だろ。うん、なんとかなる)

 ――と、思っていた時期が僕にもありましたと、数秒後のメルストは悟る。


「……あれっ?」

 甲殻を避け、やわらかそうな毛並みが生えた丸い腹部に剣を突き刺す。だが、筋肉の塊が詰められていると思うほどまでに、深く刺さらず、すぐに抜けてしまう。


 もう一振るい。しかし、あっさり弾かれる。

「ちょっ、通じてねぇ!」


 のっしりとした動きである反面、その一薙ぎは豪速。簡単に吹き飛ばされ、奇岩に叩き付けられた。よろよろと起き上がったときには突進する巨熊の牙が目に飛び込む。


「ひっ」

 思わず押さえつけるように巨熊の頭を両手で掴み、"物質分解"を発動する。生じた熱気が肌を殴り、熊の魔物はひとつの生命から有機物へ、そして数種類の分子へと散り散りになっては大気中へ消え去った。


「……あぶねぇ。能力なかったらただの人間かよ」


 大量の冷や汗をかき、メルストはあたりを見回す。どこにもいない。やはり自分の手で殺したのだろうと、再確認させる。


「怪我は……なんでないんだ?」

 大けがしてもおかしくない一撃を受けたにもかかわらず、ほぼ無傷。それほどまでの頑丈さとタフさを兼ね備えているのかとメルストは考えた。


(でも、エネルギーなしでの純粋な力はそこまでないんだな)

 常人よりは長けていたとしても、ジェイクのような怪力には遠く及ばない。巨岩を壊せても、それを持ち上げることはできないのだ。


「いやぁ紅魔竜を一撃で屠った男がミミックマ程度に殴り飛ばされるなんて、おもしろいね、メル君」

「ルミア……いたのかよ」


 一つに結った金色の髪が、風に揺れる。いつのまにか岩の上に座って、見下ろしていたルミアはケタケタと笑っていた。藍色の作業ズボンに白いタンクトップを着ているが、うっすらと淡い肌色が透けて見える。お椀型の小ぶりな乳房からその先っぽまでくっきりと分かるように、一枚着が胸周りを張り付いている。


「ああいうのは腹とかじゃなくて、口とか目を狙うといいよ。特に、ただの鋼の剣だったらね」

「というか珍しいな、ルミアが工房から出るなんて。いつも籠ってるだろ」

「誤解ですー。失礼しちゃいますー。こう見えてメル君よりアウトドア派なのよさ」と岩から降りてはむすっとした顔を寄せ付ける。しかしすぐにパッと明るくなり「ねぇねぇ、せっかくだしここで試合稽古でもする?」

「いや、いいよ。おまえ容赦ないし」

「だいじょうぶダイジョーブ! 今度はちゃんと教えるからさっ! ね、しよ?」


 苦い顔をしながらも、腕に抱き着いてきたルミアの誘いを受ける。その真っ直ぐとしたアメジストの瞳を前にメルストは折れてばかりだ。


 太陽が傾いたとわかる程の時の経過において、剣技を教わりながらも、10試合ほど勝負を交えた。

 だが、何れも決着は早かった。


「ぜぇーはぁー……ちくしょー……」

「にゅふふー、メル君まだまだだねぇ。まぁ短期間で越えられたらあたしの顔が立たなくなるから、勝ったら勝ったで困るけどね。他の面じゃ女子力と機械技術と器用さと知識量とコミュ力と仕事の速さぐらいしかあたしの勝てるとこないし」

「ほぼ全部じゃねーか」


 見事、完敗。我ながら情けないとメルストはぐったりと真っ青な空を眺めながら思うのだった。


(次こそはもうタンクトップから見えた谷間に気を取られないようにしよう……いや、それ抜きでも勝てる気がしねぇ)


 乙女の武器は末恐ろしい。そもそも、よく扱いに難しい長身のソードブレイカーを二刀流で使いこなせるものだと、ルミアを下から見る。器用な奴だ。


「いや、おまえ、素人相手に本気出しすぎだろ。おまえ機工師のくせになんでそんなに剣の使い方上手いんだよ」

「ふふふー、育ちが違うのだよ、メルスト少年。あ、エリちゃん先生とは違って、あたしは貴族じゃないにゃ」

「ますますエリシアさんとルミアの関係が謎になってきた」

「出会いは偶然って奴さね。気になるんだったら、我を剣だけで倒してみるがよい。ふははは!」

「どこの魔王だよ」


「じゃ、もう一回しよっか」と意気揚々。対してメルストは意気消沈だった。朝の時間帯に訓練したのに今もやるなんて。

「うぇぇ、勘弁してくれ」

「そんな顔されても、今のままじゃジェイクに半殺しにされるよ? せめて兵士レベルにはならないと」

「そんな無茶な……ってちょっと? なんで馬乗りした?」


 馬乗りからゆっくりと腰、おなか、胸を順にぴたりとメルストの身体に密着させ、顔を近づけてくる。


「じゃーあ……がんばったら、今夜いろいろシテあげるから、ね?」


 漂う女の子ならではの香りが鼻腔と脳を癒すが、「どうせそういう釣りだろ」とあえてメルストは鼻で笑った。しかし顔は赤く、目を逸らしている。


「メル君、声震えてるよ。胸もバクバクしてるし」とさらに胸を押し付ける。

「ま、これでがんばる気になったでしょ。もう一試合やろ! あ、今の話、あたしに勝ったらっていう条件ね。当然、魔法も能力も禁止。負けたら今日の買い物担当メル君になるから」


 ズルいぞお前、と言う間もなく、空の色が変わり切るまで剣の稽古をみっちり叩き込まれる。

 結局、その日もメルストは剣で勝てることはなかった。

次回

メルスト「朝練とか部活動みたいだな。清々しいし静かだから集中しやすくていいけど、後から眠たくなる・・・」

フェミル「・・・」

メルスト「フェミルも朝に訓練してるの?」

フェミル「っ!!? (ふるふる)」

メルスト「そこまで首を横に振らなくても・・・槍使いだし、護衛騎士やってたらしいからてっきり朝練してるもんだと」

フェミル「あ、槍・・・は、鍛錬、してる」

メルスト「なんだしてるじゃん。じゃあさっきのは何だったんだろ」

フェミル「・・・」

メルスト「いや、なんか喋ろうぜ」



読んでいただき、ありがとうございます。


【追記】※ただの設定ですので、気になる方だけどうぞ。また、作者自身が執筆の際、誤用することがあるかもしれませんが、ご容赦ください。気づき次第、修正いたします。

・魔物=魔法生物

 ファーディ。魔石という結晶核を体内外問わず持つ有核界に属す生命体。この世界のほとんどの生き物はこれに属す。


・妖精霊=妖精、精霊の一種。

 エレミン。魔石をもたない無核界に属す生物・準生物・準現象。


・魔法>魔力>魔素>アナマス(理論物質)>>>エネルギー(流動E、内蔵E、固定E、昇華E等、種類があると理論的に考えられている)


・魔法:魔力を源として、構築された魔法回路あるいは魔法言語に基づき発動する術式。人為的なものを一般的に指すが、自然的に発生した魔力反応も魔法の一種として扱われたりと結構曖昧(とはいえ本編では魔法現象と称されている)。


・魔術:魔法を用いた技術。人の暮らしや経済の潤滑、産業等に貢献する魔法や魔道具らがこれにあたる。よく混同されやすい。作者もたまに間違える。


・術式:魔術、呪術、妖術、仙術等、空間支配論に基づくマクロ相互作用とそれに準じた連鎖的反応を規格化・構造化した考え。テクノロジーとして取り扱うものも含む。



《メルストの特異能力一覧》

・体内エネルギー生成

 常時ほぼ無限にエネルギーを創成・出力できるチート能力。その規模は宇宙の自然現象に匹敵。以下はそれを応用した派生能力である。


1.空間転移

 テレポート。自身のエネルギーを変換し全分子の質量を一瞬で極限に高め、空間を捻じ曲げる間接的移動、または光速度に近づけられるほどのエネルギーを創造し、亜光速で飛ぶ直接的移動の二種に分かれる。

 明確に記憶のある場所なら一瞬でそこに移動できる。自分にしか使えない理由として、生物をいっしょに移動しようとすれば空間の歪み(または速度)に耐えられず、死に至るケースが多いため。また、感覚・体調バランスを崩しやすく、多少の体細胞の損傷もあるので多用はできない。

 宇宙の全エネルギーの100億倍あれば理論上可能といわれているらしいけど、それを人間一人分もの質量で簡単に実現するあたり相当のエネルギーを生み出しているんだなと私自身驚愕しています(文献引用せずすいません)。

 現時点でのPP消費量(エネルギー生産量)で例えるなら8.0~10.0%消費、HP(体力・生命力)も1%ほど削れる。本人のコントロール次第で削減可能。


2.物質創成

 一から原子を創り出す。ただし各手足に一種の元素単体しか創れないため、複雑な物質を第一段階だけで生成することは不可。また、運動力の向上や膨大な熱の発生、爆発的威力のある一撃を放つことができるのも、この能力の応用によるもの。エネルギーを物質と光に変換せず、エネルギーそのものを利用することも可能だが、外部影響も強い。プラズマが発生するのは、体内生成したエネルギーが耐えきれず外部に漏れだすためで、いわば状態異常の前兆。

 現時点でのPP消費量で例えるなら0.5~0.7%消費。工夫なしに発揮すると使用度に比例して体熱が上昇し、若干状態異常になりやすい(例:コンディションが乱れる、モチベーションの低下)。


3.物質分解

 触れた物質の結合を解いたり壊したりして別の物質に変える、あるいは塵に変える。分解するだけなので物質そのものを消去しているわけではない。体内では不随意にこの能力が作用し、栄養も毒物もすべて体内に入れば効力を示さないレベルにまで分解される。

 現時点でのPP消費量で例えるなら0.4~0.8%消費。使うほどHP(体力)とDP(防御力)が下がる。


4.物質構築

 触れた物質の分子の結合を組み替えたり、振動させたりする、いわば原子分子を操る能力。物質を組み換えることで物体の形状や状態を自在に変換できる。

 酸化還元、化合、付加重合などの「化学変化」や、蒸発、凝固などの物質の状態を変える「物理変化」を操作できる。本人の頭脳次第だが、生体分子や核酸を創り、組立てることも理論上可能。

 PP消費量で例えるなら0.2~0.6%消費。最も脳を使うので、この能力を使うほどその場の知力・集中力・気力は下がる。



5.組成鑑定

 触れた物質の成分・構造式を視覚に映し出す能力。皮膚や感覚器からのエネルギー照射で解析する仕組み。知識として少しでも記憶にある限り、物質の名称や物理・化学的特性も脳に引き出される。未知の物質だったら構造式のみ。

 PP消費量で例えるなら0.001%消費。


・剛体

 非常に防御力が高く、頑丈な身体。体内で莫大なエネルギーを密閉し生成するために、特殊な生体構造へと変換できる肉体(細胞)をもつ。

 PP消費量で例えるなら常に0.005ずつ消費。


※PP消費量などのゲーム表記は、あくまで規準であり、本編では一切関与しません。消費するばかりでなく、常に少しずつ回復しているので、PP消費量が尽きるケースは滅多にない、のかな。


※また、これらを組み合わせることで新しい独自スキルを開拓することも可能。メルストの発想次第では上記の1~4以外の能力も開発する、かもしれない。

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