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8時 到着



 初戦闘から数日後、俺達は北にある魔物の村を目指して大分、北上してきた。因みに村に名は無いそうだ。


 道中、何人かの冒険者と出会いそうになったが、時魔法アラームのお陰で何とか事前察知出来、事なきを得た。


 そんな中、スライムとファントムメイジから、この世界について幾つか話を聞いた。



 この世界にもやはり小説等でお馴染みの、ギルドなるものが存在しているようだ。

 魔物討伐・迷宮攻略を主とする冒険者ギルド。

 商品を取り扱い売買を行う商人ギルド。

 料理の道を極めんとする料理ギルド。

 武器防具を作成する鍛冶ギルド。

 アイテムを作成する生産ギルド。

 他にも不当な闇ギルドに、奴隷市場もあるそうだ。



 だが、魔物の俺には一切関係なし!!



 全て人間社会のモノだ。くそっ……ギルドに登録してチートスキル使って沢山素材を売って注目を浴びる主人公になりたかった!なぜか事件に巻き込まれて行き先々で女の子と出会うイベントをしてみたかった!死にそうな奴隷を安く買ったら、実は凄いスキル持ちだったとか……やってみたかったぜチクショオォォォ!!



 なんの因果か俺には無縁な話となってしまった。残る道はモンスター娘しかいない!……が現状どう考えてもレベル2の時計に振り向く娘はいないだろう。時計フェチのモンスターとかいんのか?




 取り敢えずの野望は一旦置いといて、まずは安定して強くなる方法を模索しなくては……いきなり勇者に出くわしてジ・エンドじゃ話にならない。

 くそっ!勇者と冒険者を駆逐せよとの命令さえなければ、ノンビリ異世界ライフを送るのに……あの貧乳魔王め!



 そんな事を考えていたら、前方に雑木林を発見した。



「そろそろらしいけど、この林の中に村があるのか?」


「そ、そう……みたいですよ……」


「そうみたい?」


「…………っす、実は俺らもよく知らねえっす」


「おいっ!」


 取り敢えずスライムには突っ込みを入れておく。手の甲で軽く叩くが、スライムには【打撃無効】のスキルがあるのでダメージがない。突っ込み(やすい)ボディだ。




「でもよく今まで人間に見つからないで済んだな?割と見つかりやすいぞここ。」



 俺はてっきり樹海の奥地などにあるかと思った。この雑木林は閑散としており結構人間に見つかりやすい様に感じる。


 そんな時だった、



「のあっ!?」

「あっ!?」

「ひゃっ!?」



 俺達はその場から姿を消した。体が瞬時に消え、「飛ばされる!」という感覚が気持ち悪かった。



 気づくと俺達の目の前には大きな村が姿を現した。いや違うな、俺達が村の前に現れたのだ。

 まだ村の入り口前なのに、村からは大きな賑やかそうな声が聞こえてくる。ちょっと興奮してきた。


 魔物に転生したことで、村や町に入って交流を深めるイベントは諦めていたが、魔物の村とはいえ村に入れるのは少なからず嬉しい。



「おい、お前ら!」



 突如、俺達は横から声を掛けられた。


 振り向くと全身白銀の鎧を纏った豚の魔物【オーク】さんがおられた。オークさんは俺が思ってる太ってて汚ならしいイメージの豚オークではなく、細マッチョのスリムでイケメンなオークさんだった。



「あ、はい?」


「村に入りたかったら証を示せ」


「証?」


「この村は、野良モンスターが入れる村ではない。魔王様に忠義を尽くす、部隊に属する者しか入れぬ村だ」



「そうなんだ?」


 俺はスライムとファントムメイジに振り返った。



「いや、俺らも初めてなんで知らねぇっす」

「ご、ごめんなさい……わ、私も知らなかった……です……」


 2匹も知らなかったみたいだ。マジかよ。



「証がなければ立ち去るがいい」


「あ、でも俺達No.564219部隊の者です。一応、軍?には属しているかと……鑑定してもらったら解るかと……」


「お前ら生まれたて(ルーキー)か?たまに野良モンスターが偶然部隊の証を手に入れて村に入ろうとするのだ。証を手に入れたら称号に表示されるからな。それを防ぐ為にも証を示せ。」



 言ってる意味が分からない……

「と、言われましても……証なんて……」



 ヤバイな……間違いなく軍には属しているのだが……証か……そんなのないぞ……



「……やれやれ、仕方ない。部隊長は……お前かレックス?」


「あ、はい……」


 ん?このオークさん今、鑑定使った?



「スキル【収納】の中に【タグ】がある筈だ。出してみろ」



 タグ?なんの事だ?……訳が解らんが取り敢えず言われた通り俺はスキル【収納】を使い、タグを取り出すことにしてみた。



「ん?なんだこれ?」


 俺の手に銅色の小さなタグが握られていた。




「どれ、貸してみろ」


 オークさんは、俺からタグを取り上げた。



「スキル【特殊鑑定】」


 オークさんは気になるスキル名を唱えた。



「特殊鑑定は特別なモノを鑑定する為のスキルだ。俺には普通の鑑定スキルと特殊鑑定の2つがある。まぁ俺の特殊鑑定は、このタグを視る為だけの鑑定スキルだがな」



 オークさんが聞いてもないのに丁寧に説明してくれると、空中に文字が表示された。




No.564219部隊


部隊長:時計魔人レックス

部隊員:スライム

    ファントムメイジ




「ふむ、メンバーは間違いないようだな」


 オークさんはタグを視たら納得され、俺にタグを返してくれた。



 どうやら、タグは持ってるだけでステータスの称号欄に部隊No.が表示される特殊アイテムのようだ。だが、タグには魔王様の特別な術式が組み込まれており、内容は魔王様しか変えられないそうだ。

 つまり、オークさんの仕事は村に来る魔物がタグ本来の持ち主かどうかを確認するのと、勝手にメンバーを増やさないよう牽制するのが仕事らしい。


 何にせよ助かった。折角ここまで来たのに村に入れないとか残念すぎる。軍に入ってて良かった。




「村にようこそ、歓迎するぞ我が同胞よ。戦いの疲れを充分に癒すといい」


 オークさんはニヤリとニヒルに笑ってみせた。




 かっけぇぇ!!何今の笑い方!超かっけぇぇ!!俺がメスの魔物なら悩殺されてるとこだ!やべぇぇ……やべぇよオークさん、超カッコいいよ!!俺もいつかあんなイケメンスマイルしてみたいぜ!!


 そして、貧乳魔王め!タグあるなら言えよな!オークさんがイケメンだったから良かったものの、危うく追い返されるとこだったぞ!




 …………いや、逃げ出そうとしたの俺か…………テヘペロ





 な、何はともあれ……村に着いたぞぉぉおおおお!!!!





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