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5時 逃走



「なんか妙な組み合わせだな?」


「だな。大抵は同種族で組んでる魔物が多いのにな」


「スライムに、珍しいファントム系か……それと……」



「…………時計だな」

「…………時計だな」



 鎧を着た男2人が俺を見て戸惑っている。手には剣を携えている。

 1人は大剣を肩に担ぐようにして持っている。もう1人は普通の剣に片腕に盾を嵌めている。




 ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!めっちゃ怖い!!



 普通なら雑魚モンスターを狩って、経験を積んで強くなるんだろうが、俺の敵は人間だ。てか人間しかいない。


 いや待てよ……俺が敵と思い込んでるだけで向こうは、そう思ってないかも………………希望的観測だな……でも交渉は出来るかも……



「あ、あの~僕達、新米の魔物でして……あなた方と戦う気は更々なくてですね……」



 俺は勇気を振り絞り人間2人に話し掛けてみた。するとどうだろう。2人は怪訝そうな顔をしている。



「この時計なんか言ってるぞ!?」


「魔法かも知れん!油断するな!」



 2人は剣を構え出した。




 交渉決裂!!てか言葉が通じんかった!俺には人間の言葉が解るが、人間には俺の言葉が解らないみたいだ。そりゃそうだ、だって俺魔物だし。



「よし!逃げるぞ!!」



 俺は叫びながら駆け出した。我ながら見事な即断即決だったと感心する。だがスライムは既に駆け出しており、ファントムメイジもスライムに平行するように飛んでいった。



 ………………ちょ、えっ?



 えっ?何そのスタートダッシュ……反応良くね?ま、まさかコイツら俺の号令の時にはもう逃げ出していたのか?あ、有り得ねぇ……


 俺の前方を走る2匹が速い!くっ、速度力は俺より2匹の方が高い。徐々に離されていってる気がする。





「…………ま、待てコラァ!」


「レアモンスターだ!殺れば金に成る!」



 呆気に取られていた人間達がハッとなり、逃げ出した俺達を追いかけてきた。




「ヤバい!ヤバい!ヤバい!めっちゃ追いかけてくる!ファントムメイジ!お、お前、あれだ!?あれ!ま、魔法!魔法使え!」



「無理です!無理です!人間怖い!!私まだ死にたくないです!!」



 おおい!いきなり隊長命令許否しやがった!



「な、ならスライム!お前っ魔法使って、あいつら攻撃しろ!」


「いや、意味わかんないっす……俺魔法なんか使えないっす」


「とぼけんなテメェ!光魔法使えんだろうが!ちゃんと鑑定で確認済みなんだよ!」


「…………ちっ」



 このスライム、隊長に向かって舌打ちしたよ!なんなんだこの2匹?逃げることには積極的だが戦うことにはメッチャ消極的じゃね?


 てか、マジで人間怖ぇ……あんな殺気だった目で追い掛けてこられたら誰だって逃げるっつうの!しかも、もう後ろまで来てるし!



「こ、このままだとマジで追い付かれるから!た、頼む!な、何か魔法唱えてくれ!俺っ!アラームしか魔法ないんだ!」



 俺は走りながら2匹に懇願した。息も切れてきたし脇腹辺りが痛い。苦しい。



「し、仕方ないっす……」

「わ、私もこんなとこで死にたくないです……」



 俺の少し前を走る2匹は目を合わせると同時に魔法を唱えた。



「光魔法レイ!」

「火魔法フレイム!」



 スライムから光の矢が3本、ファントムメイジの杖から火の玉が放たれた。前方に……



「てっ、どこに撃ってんだお前らぁっ!?」


「あっ……」

「あっ……」



 光の矢と火の玉が地面に着弾すると、爆散するように弾けた。


 爆風により俺達3匹は走ってる方向とは逆の、後方に吹き飛ばされた。



「ぎゃああぁぁ!馬鹿なの!?お前ら馬鹿なの!?」



 俺は吹き飛ばされながら叫んだ。直後、俺達は何かと衝突し地面に落ちた。



「がふっ……」

「がはっ……」



 どうやら追いかけてきた人間達と運良くぶつかったようだ。2人はダメージを振り払うように唸りながら頭を振っている。だが、まだ完全にはぶつかった衝撃が抜けきれていない様子だった。


 そんな状況に俺達3匹は戸惑い、その場から動けないでいた。


 すると大剣を持っていた人間が、回復したのか大剣を両手で持ち振りかぶってきた。



「よくもやってくれたなチクショウ!!」



 ぎゃああぁぁ死ぬ!俺は咄嗟に近くにあった何かを、人間の顔に投げつけた。


 スライムだった。



「何してくれるんすか隊長っ!?」


「あっ……悪ぃ……」




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