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3時 仲間



「……………………っ」



 目が覚め、気づいたら俺は地面にエビ反りで倒れ込んでいた。硬い砂利と苦い草が口の中で広がり涙が零れそうになる。



 くそっ!あの貧乳魔王めっ!なんちゃってゴールデン・トライ○ングルを使いやがって!マジで死ぬかと思ったぞ!しかも俺の1番好きなキャラの技を使いやがって……う、羨ましくなんかないぞ!



 零れ落ちそうな涙を必死に堪える。



 握り拳に力を入れ地面を叩こうとしたが、手が痛くなるので思い止まり、俺はゆっくり起き上がることにした。



 ふむ、どうやら綺麗な平原が拡がる場所に飛ばされたようだ。

 うん。風が気持ちいい。草花も揺れて、見渡す限りの緑が拡がっている。



「あの……?」


「ん?」



 突如後ろから声を掛けられ振り返った。そこにはヘンテコな魔物が2匹立っていた。



 1匹は青色をしたグニャグニャとした形の魔物だ。知ってるぞ、スライムだ。だが……なんだろうな、こいつ。目が……死んでる?マジでやる気がなそうな目をしている。


 もう1匹はフワフワと布が浮いてる感じの魔物だ。布だと語弊がある。フード付きマントだけの魔物だ。いや、よく見ると丸い目らしきものが怪しく光っている。近くで武器らしき杖も浮いている。



 鑑定を使ってみることにした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【ステータス】

名前:なし

種族:スライム

性別:♂


レベル:1(NEXT:0/1)

HP:105

MP:105

物理攻撃力:105

物理防御力:105

魔法攻撃力:105

魔法防御力:105

速度力:105


【称号】

「No.564219部隊」


【スキル】

「軟体」「打撃無効」


【魔法】

「光魔法レイ」


【装備】

武器:

防具:



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【ステータス】

名前:なし

種族:幽体魔法使い(ファントムメイジ)

性別:?


レベル:1(NEXT:0/1)

HP:100

MP:110

物理攻撃力:10

物理防御力:ー

魔法攻撃力:110

魔法防御力:100

速度力:105


【称号】

「No.564219部隊」


【スキル】

「幽体」「浮遊」「物理無効」


【魔法】

「火魔法フレイム」「風魔法ウィンド」


【装備】

武器:木の杖

防具:布のマント



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 スライムのクセにステータスが俺より高い、軽くショックだ。ファントムメイジに至っては魔法攻撃力が110もある。

 2匹ともカッコよさげな魔法を覚えてる。羨ましい。俺なんかアラームだぜ。笑えてくる。



 改めて見てコイツらが俺の部下か……称号の欄にNo.564219部隊ってあるし間違いないな。て事は……どうやらここが【はじまり平原】みたいだな。



「あ、あの~すみません……も、もしかして……No.564219部隊の……た、隊長さん……ですか?」


 ファントムメイジがビクビクしながら尋ねてきた。



「あ……うん、そうみたい。えっと……No.564219部隊隊長に任命された時計魔人のレックスだ、よろしく。」



「……スライムっす」


「あっ……ファ、ファントムメイジ……です……」



 声の調子で2匹の性格が大体分かった。まずスライムは【ヤル気なし】、ファントムメイジは【弱気】だと思われる。



 マジかよ……こんなので戦えるのか?勘弁してくれ……しかも俺ら3匹ともレベル1だし。今、勇者に出会ったら1発デッドだな。



「えっと……知ってると思うけど俺らの部隊は、【はじまり平原】で勇者と冒険者を駆逐するのが仕事です」



 2匹はコクコクと体を縦に動かしている。恐らく頷いてるつもりなのだろう。



「だけど俺はさっき生まれたばかりで、しかも貧乳魔王に半ば強制的に、ここに飛ばされてきたので状況がまだよく分かっていない」



 2匹の動きが一瞬だけ止まった。「この時計、魔王様の悪口言ってる」って顔だ。でも俺はそのまま言葉を続けた。



「だから2人が色々と説明してくれたら助かる。そして重大な事を告げたいと思う…………俺はまだ死にたくないし勇者とも戦いたくない!よって当面は勇者と遭遇しそうになったら即逃亡だ!!」



「了解っす」

「分かりました」



 あれ?2匹の声に覇気が(みなぎ)ってないかい?意外とヤル気あるキャラだったのか……2匹の性格測り間違えたか……



「取り敢えず……いつまでもここにいるのもなんだから移動するか……」



 こんな見晴らしがいいとこで勇者に出くわしたら逃げれる訳がない。

 2匹もコクコクと頷いてる。

 辺りをキョロキョロと見回し観察すると森やら山も見える。



「はじまり平原ってどこからどこまで?」



 しっかり自分達の行動出来る範囲を認識しなくては。下手に【はじまり平原】から逃げ出したら、あの貧乳魔王の事だ。何か罰を与えてくるに違いない。



「ここ全部っす」


「えっ?全部?」


「は、はい……こ、この大陸=はじまり平原だと思って頂いて……い、いいと思います……」


「じゃ、じゃあ、あの山も?あの森も?」


「は、はい……えっと……この世界の歴史も知らないんですか?」



 俺はコクりと頷いた。すると、ファントムメイジが説明してくれるそうなので、俺達は適当に歩きながら説明を受けることにした。




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