Sは素直じゃないのS
私の感情は全て、Sな事で表される。
私と彼は今月、付き合ってから五ヶ月を向かえる恋人同士。
彼、久崎光駕と私、沢原唯月は同じ、バスケ部の部員で………やっぱり出会いは部活。
入部した当時は、お互い様…全く意識して無かった。
でも、いつ頃からか私はあの笑顔に惹かれていた。
彼の気持ちがその頃、どうだったかは知らないけど。
そして、その彼は今、私の隣で部室の片付け中。
そんなにモテる彼では無いけれど………いや、全然モテる事は確実に無い。見た目が少し太り気味なのがモテない原因………。
ううん…、別に私は顔で人間は選んでないけど……。
―――彼の為にも……痩せた方が良いと思う現実…。
―――頑張れ 光駕。
一応、心の中でエールを送る私。
そして、ここから一見、らぶらぶな馬鹿ップル?は、凄い事を仕出すのでした。
「―――光駕、言っても良いかなぁ?」
少々、脅し口調で問い掛ける私に光駕は、部室の片付けを中断させてこちらを向く。
「痩せろ」
「………はぃ」
しょんぼりする光駕。
私はこれをもっと虐めたくなる。「………別に、私は貴方で良いけどさ。でもね、私にだって望みがあるの。しかも、大人になってそんなんじゃ、子供に馬鹿にされるわよ」
誰も居ない部室のな中。
二人だけの部室に私の声が響く。「………うぅ、仕方ないなぁ…頑張ってみるけどさぁ………んじゃあ、そのかわり………」
部室の隅で私を押し倒す光駕。
………要はヤりたいって訳?
「……あんたにしては、珍しい事。やっと、男っぽくなった?」
私は冷静に言ってみる。
正直、私の方が彼より……エロいと思うけど。
外見的に彼はそういうのに全く、面識は無く。
「普通に毎日、ヤりたかったけど?」
「あ、そう」
………ん?
待てよ?
思えば、五ヶ月付き合ってるのにキスもえっちもやって無かった?
………ふーん…、そうかそうか。これが初めてだったら……面白いじゃん。
「………初めてなんでしょ?光駕。………覚悟は出来てる?」
「うん」
笑顔で答える彼。
つか、私が覚悟する方でしょうが。
「………じゃぁ、どうぞ」
もう、どっちが攻めるんだか…。彼は、一先ず私の唇にキスを落とした。
………あれっ?
なんか、上手い?
長い長い、愛の時間は終わり、私はぐったり状態で彼に抱きしめられていた。
「………はぁ、……ぁ…」
「…可愛かったよ、唯月」
彼はそう言ってまた、私の唇にキスした。
もう、私の脳内は破滅状態…。
意外に上手かった事に唖然としながら、私は彼の 耳元で呟いた。「………大好きだから浮気したらぶっ殺すから」
今日も明日も明後日も、素直じゃない私なのでした。
Sは素直じゃないのS。