ウエットな永遠
ちなみに、飛行機の話は全て実話ですよ
飛行機後編
さあさあ、前回のあらすじといきましょうか。
前回は飛行機に乗って、おしっこを漏らしました。
あらすじ終わり!
そして今回は後編となるのですが。
もう何事もなく過ごすはずでしょう。
というかそうであって欲しいものだ。
これ以上むだな出来事はいらない。
ただ飛行機が無事に着陸することを祈るばかりだ。
それにしても、
僕は考える。
なぜ飛行機は飛ぶのだろうか。
ところで聞いた話では、飛行機は飛ぶ理由が解明されていない。という話だ。
でも、そんな物理学が平均よりも出来ない僕にとっては、斜め上に力を出しているのだから、それは斜め上に飛ぶのがあたりまえだと思ってしまう。人間だって、斜め上にジャンプすることができれば、その間は空中に浮いているだろうし、それをつづけることが出来れば、空だって容易に飛べるだろう。
うーん。
なぜか真面目な話になってしまう。
飛行機の前半の金玉の話とは大違いだ。
そもそも、なぜ僕は前半で金玉の話をしたのだろうか。
もしも僕が金玉探偵だったり、金玉弁護士だったりするならば、話に金玉が出てしまうのも仕方がないだろう。
一種の職業病である。
職業病ならば、公序良俗にも反していないだろう。
仕方がない。の一言で許されるのではないか。
ともあれ、飛行機は青森の上空を泳いでいた。
飛行機の窓からはリンゴの木がたくさん見える。
ねぶたも見える。
あと青森県ってなにかあっただろうか。
マグロが見える。
嘘である。
もうこれは最初のリンゴの木の段階で嘘だと気付くべきだろう。
ねぶたってイマイチなにか分かっていない。
紙で作った大きな人形みたいなものだろうか。
ぶつけるヤツだっただろうか。
うーん。
おしっこを漏らしてから時間が経ち、僕は、ある一種の賢者タイムに入っていた。
もう今なら何でも考えることが出来る気がする。
素晴らしい小説をかける気がする。
それ後で恥ずかしくなるやつ。
上手い絵をかける気がする。
それ描いてみたら思うように描けなくてイライラするやつ。
おしっこを漏らしたパンツも乾く気がする。
それ乾いていないやつ。
飛行機は着陸態勢に入ります。
アナウンスと共に、シートベルト着用サインが点灯する。
うわああああ。
またあの悪魔の時間がやってくる。
僕の顔は、恐怖心と恐怖心、さらには恐怖心を十分に蓄えた顔であろう。
離陸のときに有った好奇心は、いまとなっては全て恐怖心に置換されている。
僕は飛行機を考えた人を恨む。
きっと絶対許さないだろう。
ライト兄弟を僕は絶対に許さない。
僕は飛行機の背もたれとの隙間をゼロにする。
僕が考えた中では、これが一番飛行機の揺れを抑えることが出来る。
つい数時間前に思いついた世紀の大発明である。
ノーベル賞をとれるだろう。
ノーベル飛行機安全で賞。
飛行機は分かりやすいぐらいに斜めになる。
うわあ。
帰りたい。
僕はこのときほどドラえもんの存在を望んだことは無いだろう。
もしも、今、この時間に、ドラえもん欲しいコンテストが仮にあったとしたら、僕は世界第四位ぐらいなら簡単に獲得できるだろう。もしかしたらメダルをとることだってできるだろう。
可能性は無限大だ!
飛行機は無慈悲に揺れを始める。
揺れる。
揺れる。
揺れる。
なんというか、体を揺さぶられるというよりも、体の内部だけを狙って揺さぶられている感じだ。誰かが僕を直接触って、僕の内部だけを狙って揺さぶっているような感じだ。二回目でも慣れることはない。ただただ、不快である。
アナウンスによると、どうやら雲の中を通る時に揺れるらしい。
雲のイジワル。
ちょっとは空気を見習ったらどうなのかな!
雲も空気の一部?
あああああああああああああああ
最大が来た。
左の方が重力のかかりが凄い。
左の金玉の方が重力のかかりが凄い。
離陸のときは左の金玉に重力がよくかかっていたから、着陸は右だろうと思っていた僕は甘かったようだ。甘々の甘海老だったようだ。甘々のスアマのようだ。
スアマは食べたことがないけど。
というより、食べ物なのだろうか。
なんか、トンカチとかニスとかと同じカテゴリーな気がしてならない。
あくまでも字面での判断だけど。
僕は座り方を直してみた。
おお!
金玉がいたくない!
ああ!
でも揺れるのね。
気持ち悪いわ!
飛行機は一向に前傾姿勢を辞めようとしない。
飛行機は一向に雲の中を抜けようとはしない。
僕の体調は一向に改善の兆しをみせようとしない。
これって、もしかして機長が悪ふざけして、ずっと雲の中を通っている可能性があるな。
それか、機長が悪ふざけして、本当はこんなに揺れはしないのに、顔面蒼白の僕がいるから、今回はサービスってことで必要以上に飛行機を揺らしている可能性があるな。
どちらにしても、機長は最悪である。
だって、僕が今まで乗ったことがある移動手段はこんなにも揺れたことがなかった。
車だって自転車だって電車だってバスだってこんなに揺れていなかった。
どっちかというと乗っている僕の方がウトウトと揺れていたぐらいである。
飛行機は下降をつづける。
僕はおしっこを漏らした。
またかよ。
またです。
おしっこを漏らした僕は、それまでの飛行機に対して思っていた感情を全て捨てて、ただただ自分が、いい歳をした男なのに、おしっこの1つも我慢できない。そんな自分に悲しくなった。
飛行機は到着した。
僕のパンツは濡れている。
僕の気分も濡れている。
滑走路だけは僕の気分やパンツとは裏腹に、嫌がらせかと思うくらいの乾き具合であった。
上手く締まった!