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帰宅部の探偵  作者: 黒岩京華
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プロローグ

 最近、同じ夢をよく見る。

 夜の神社――境内へと続く長い階段を、俺はゆっくりと登っているのだ。

 人気のまったくない夜の神社。周りはうっそうとした森に囲まれ、時折風が吹いて、木々がザーッと音を立てて揺らめいている。


 振り向けば、眼下には綺麗な街の夜景が広がっていた。

 どうやら、この神社は山の中に建てられているらしい。


 階段を登り、境内へ近づくにつれ、太鼓やら笛の音が鳴り響いてきた。

 祭りでもやっているのか、境内にはぼんやりと灯りが見える。

 しかし、祭りにしてはあまりにも静かだ。


 俺の他に、階段を登ってくる人はいない。

 それに、雰囲気がなんと言うか……祭りって感じがしないのだ。


 そう、これは祭りと言うより……何かの儀式……。


 階段を登りきり、俺は神社に辿り着いた。

 小さな社の周りにはいくつものたいまつに火が灯され、オレンジ色の光があたりを照らし出している。


 再び、太鼓と笛の音が響く。

 俺は、音のした方向に目を向けた。


 境内から少し離れた場所に、石で出来た巨大なステージのようなものがあった。

 ステージの周りを取り囲むのは、煌々と火の灯ったいくつものたいまつ。


 ステージの上には、白と黒の和服を身にまとい、仮面をつけた不気味な連中が笛を吹き、太鼓を叩いていた。


 よく見ると、ステージの中央に誰かが座らせられている。

 白い着物を着た……あれは、女の子か?

 まだ、小学生ぐらいであろうその女の子は、正座でステージの上に座り、静かに目を閉じている。


 肩まで伸びる長い黒髪から覗く、化粧を施された顔は白く透き通り、その顔がたいまつの明かりに照らされてきらきらと輝く。


 その時、急に太鼓や笛の音が止まった。

 あたりはシンと静まり返り、たいまつの火がパチパチと音を立てる。


 しばらく様子を伺っていると、今度はステージの後方から、和服を身にまとった男が現れた。

 その男の腰には……あれは……刀!?


 男は、ステージの中央に座っている女の子にゆっくりと近づいていき、すぐうしろでピタリと止まった。

 そして、男は腰に帯びた一振りの刀を、スッと鞘から抜き放ったのである。

 銀色に輝く刀身が、たいまつの光で不気味に光輝く。


 男は、抜き放った刀を両手でしっかりと握り締め、何の躊躇もなく、勢いよく振り上げた。

 男の顔は、無表情だ。


 太鼓がドンッドンッと二回打ち鳴らされ、振り上げた刀は、そのまま女の子へと振り下ろされた―――。

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