Heart of robot
アイス(ICE)はずっと自分が処分されるべきだと考えていた。
ほかのロボットと違い、感情もあるし考えもする。これはロボットにあるまじきことだ。だから、まだ子供だったサー(主人)に助けられるまではずっとそう考えていたのだ。
助けられたときサーにたずねた。どうして自分を助けたのか、と。
「君には感情がある。考えもする。だとしたら、どうして君が殺されるのを黙ってみていられるんだい?これ以上僕に無意味なことを聞かないでくれ。」
サーはそう言って、自分には絶対することが出来ないであろう笑みを浮かべた。彼はアイスが『壊される』ではなく『殺される』という表現をした。そのことについて一生考えてもいいのではないか、とこのロボットは思った。
その日からアイスとサーは友人になった。サーと呼んでいるのは尊敬の気持ちをこめているからだ。彼はアイスにとって非常に魅力的な人間だった。
サーは誰に対しても優しく、それでいてものをはっきりという人間だった。自然と彼の周りには人が集まった。アイスは彼のようになりたかった。
サーとアイスはいつでも一緒にいた。サーが成人するときも、結婚するときも、どんなときでも一緒にいた。アイスにとってはサーが世界の全てだった。
しかし当然、サーには命の限界というものがあった。死の直前、アイスは彼に尋ねた。自分は本当に君の友人でいられたのかどうか、と。
サーは答えて、アイスがいまだにすることの出来ない笑みを浮かべた。
「当たり前じゃないか。君は最高の友人だ。あの時君を助けて本当によかった。あれは君の命だけじゃなくて、僕の一生も助けたことになった。」
Fin.
はじめまして。セキと申します。
いかがだったでしょうか?少しでもあなたの心にこの小説の意味が届けば、この小説は成功したと言えると思います。
短い作品ですが読んで頂いてありがとうございました。