第2章「完成?」
家から少し離れた場所に、お化けが出ると噂され、誰も足を踏み入れない廃墟があった。今はここで彼女の組み立てを続けている。
何故かというと、あまりにも部品が多く、自室では手狭であるからだ。それに、自分と同じ大きさの人形を作っているのは、流石に両親を不安にさせてしまう。
その為、夏休みが終わったタイミングで場所を此処に移したのだが、気付けば、もう冬休みの季節となっていた。
『頭は1ヶ月で出来たのに、何故、他の簡単な部位に時間がかかるの?』
彼女の小言を後回しにして、自分は最後の左脚部を本体と接続させる。そう、時間はかかったものの、今日全てのパーツが完成し、最後の仕上げを行っていた。
「仕方がないだろ?夏休みの時は、丸1日費やしていたけれど、普段は土日の2日しか出来ない」
それだけじゃない。彼女が喋り出してからが、大変だった。やれ、人間の歴史を教えろ!やれ、人間の情報媒体を教えろ!やれ、早く出来ないのか!
殆ど人間と変わらない。我儘で、自分勝手。まるで手間のかかる妹が出来たみたいだった。ただ。
――不思議と嫌じゃなかった。
別に、両親や学校の連中とも仲が悪い訳じゃない。でも、下らない事での言い合いが、ケンカにまで発展する事なんて今までなかった。
何か他人に思うところがあっても、一手二手と先の事を考えてしまう。で、結局、自分の思いや口を閉じてしまい「うん」と、返答してしまう自分がいた。
『いや、飛龍なら出来た!手を抜いただけだ!』
「何を根拠に!」
だから、今のこの関係が自分にとって例外中の例外。自分で作ったからなのか?それとも彼女の我儘が特別だからなのか?
『そもそも、自由研究とか言って、私の頭を長期間、小汚い机の上に飾ったりするから』
いや、単純に性格が残念なだけか。
「それよりも、体の調子は?」
彼女は、両手の掌を開いて閉じる動作を繰り返し、両足でステップを踏んでみたりする。
『まぁ、問題ないかしら』
「じゃあ、これで君の事を話してくれる?」
そう、本日2000年12月22日。丁度、5か月の時間を費やした理由は、彼女との約束があった。そうでもなければ、もっと時間がかかっただろう。
その約束とは、彼女の事について、電気や石油などの燃料もないのに動く理由。思考媒体もないのに、彼女は人間と変わらずに考え行動する。
それがあまりにも異質なのは、中学生の自分でも分かった。特別いや、オーバーテクノロジーという類の何かが関係している。そう自分は踏んでいた。
『約束だからね、だけど私は専門家ではない。詳しくは伝えられないかも』
自分が黙って頷くと、彼女は語りだした。最初は、専門用語が多すぎて、何を言っているか分からなかった。自分なりに解釈すると、彼女はとある場所を守るシステムとして作られたという。
その場所が、今の何処かは分からないし、そもそも本人はどれくらいの間、活動を停止していたのかも分からない。但し、以前活動していた時代よりも、今の技術や文化はレベルが低いとか。
彼女の世界の人間は、生まれた時から1人1人の適正を選別し、その人物における最高の環境を用意していたという。それに。
『この世界では“銃弾”という物質で互いを殺すのでしょ?』
「まぁ」と、自分が返事をすると彼女は、急に廃墟で放置された空き缶に目を向け、右手をその方向に伸ばした。
『パン!』という発砲音と共に、その空き缶は、地面に転がっていた。距離として、5mは離れたそれを拾うと、空き缶の側面には、二つの穴が開いていた。
明らかに彼女が、右手から何かを発砲した。確かに、彼女の右手には銃口があり、何かしらを装填する箇所もあった。だがしかし。
「銃弾なんて入れた覚え」
『ルミナ システムは、情報だけじゃない。必要な物質も保管できるシステムなの』
自分がとんでもない技術を復活させたのは、分かった。しかし、それと同時に一つの疑問が浮かぶ。
「メイは何故、活動を停止したの?」
彼女は、1度俯きつつも、端的にこう言った。
――革命に、失敗したから。
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