#4 [順調]RTAの女王が蜘蛛に手数負けなんてしない[無双]
多分まだギリギリ毎日投稿
「ぜぇーっ…ぜぇーっ……」
>おつ
>ダンジョンを煽るからこうなる
>哀れ也、シェリー
第五層に突入。スタミナは実装されていないものの、精神的疲労感がシェリーを襲い膝を折らせた。心の準備ができていない、不意打ちだったことが無駄に疲れさせたのだろう。そりゃ誰だって後ろから大群が迫ってきたら焦る。
「みんなァ……今何キロぉ…?」
>500mくらいあったと思うわ
>最悪で草
>長ぇww
>[四つん這い…閃いた!]
「通報した」
>特定しますた
>連れて行け
>1050年地下行き
ぎろり変態をシェリーが睨むと、多数の執行人がそれに乗じて私刑を投げた。彼にはとりあえず配信アーカイブ3周の刑か科されることだろう。
>うわぁぁぁ──っ!
>悪は滅びた
>平和になった
「よーしスッキリ!次行くよ!」
今日の一善を済ませ気分爽快。綺麗さっぱり疲れなんて吹き飛んだ。というわけで空気を読んで待っていたコウモリらは丁寧丁寧丁寧に斬首。キィィィなんて恨めしそうに断末魔をあげても結果は変わらず。哀れなる事に地面に落ちた。
「それでどうどう?異変ありそ?」
>こちらα!異常ありません!
>こちらベータ、飯落ちします
>[チャーリー、今日のご飯はデリバリー]
「飯テロやめろ」
配信前に食い溜めしたとはいえ見せられると腹立つ。やはり飯テロはテロなのだから犯罪として訴えるべきではないか。恨みの思考がぐるっと回るが遠心分離で吹き飛ばして。
「壁にきのこ鉱石よしよしよし。蝙蝠の異変はなかったし……あとは地底湖っと」
下を覗く。今度は綺麗に澄んだ水と何匹かの魚が泳いでいて。記憶に残っているあの美しさと同じ。光るきのこを突きながら精査。
>なさげ
>まぁここまで全部異変だったしな
>戻ればヨシ!
「だね〜、戻ろっか」
結論:異変ナシ。戻ってみれば第六階層。先程のように伸びに伸びた洞窟は何処かに消えた。
「よかったよかった。異変ないときが一番疑心暗鬼になるよね」
>な
>禿同
>また髪の話してる…
>わかるマン
もちろん天井も壁も床も相変わらずの岩、岩、岩。時々ある鉱石らもいつも通り水晶のよう。きのこは光って揺れている。
「コウモリくんもさぁ、もっとバリエーション見せてほしいよねぇ」
上から急襲してきたソレを、今回はスライディングで回避。背後をとって二段斬り。
>雑魚狩りだからなぁ
>殺戮を楽しんでいないんだよお前は!
>普通そうでは?ー
「こういう、風にさぁ〜っ、」
からの前に前にステップ&ターン。胸へ飛び込んできたコウモリBにクロスカッター。4つに切れてシェリーを越した。
>わぁ
>サイコロよりはマシか
>棘があればミンチだった
「楽しんで攻撃してほしいものだね!」
そして踏み込んで「昇竜斬ッ!」なんて叫びながら斬り上げれば蝙蝠の三枚おろしの完成。とはいえその味は食えたものではないが。
>ソレができるのはお前だけなんだよなぁ
>な
>俺らは武器を振るので精一杯です……
>盾持ちタンクワイ、毎度手汗びっしょり
「あははっ、ま、私はソロだからパーティとは違うか〜。んじゃまた探そ〜っ♪」
納刀、周辺環境を眺めて回る。けれど異変は見つからず。流石に不安だと一分経過。
「…………分かんないんだけど……」
>察しの悪いシェリー
>迂闊
>やっぱり変なダンジョンじゃねえか!
>異変なぁぁぁい!
「そのネタ何回やるのよ…w」
流石の視聴者も退屈気味。単調な探し作業はトークで繋ぐしかないが……シェリーは本人が笑わせる系の芸人もとい配信者。何か出来事がないとやり辛い。
>ちょっと画面の明るさあげてくる
>いってらー
>確かになんか暗くなってきたな
「すぐ戻ってきてね〜……ぇ?」
カメラに可愛さ満点スマイルで手を振ったところで、シェリー気づく。
「……きのこが暗くなってる。ファーちゃん、どう?」
>あー、言われてみればそうかもしれんわぁ
>時間経過の異変か
>RTAで出てきたら嫌なやつじゃん
見事正解。今度の異変は徐々にキノコの輝度が下がっていく異変だ。ゆったりとした速度のため、言われなければなかなか気づかないくらいには高難度。
「異変発見!進むぞー!」
>れりごー
>早く早く〜
>シェリーが配信終わらないとピザ食べれないでしょうが…!
「それは早く食べてw」
ご機嫌な様子でルンルン進軍。この調子が続けば今日の配信中に全クリできそうだと思いながら取らぬWRのガバ算用。次も簡単な異変とは限らないのに──
「いや異変異変異変異変!!!」
>早い
>全て丸見えね!
>即断即決
──でも普通に簡単な時もある。
「ファーちゃァァァん!!岩ねえぞォォ!!」
見ればわかる。第七階層の壁はツルッツルのぺったんこ。要するにぺたんぬな洞窟になっているのだ。例えるならさっきまでの洞窟の凹凸がシェリーだとしたら今はアリサ。おっと誰か来たようだ。
>んー、これはウチの推理にはなるんやけど…
>信用できるんか?
>五分五分ってとこ
「何!」
>この階層にはクソでかいロードローラーが通った可能性があるわ
「流石ファーちゃん!」
はなまる満点スマイルに相棒へ感謝のサムズアップ。蝙蝠なんて怖くない!双剣戟で斬り殺せ!
>ねーよwww
>吸血鬼か?
>そのネタはよく馴染む…
「最高にハイってやつだァーっ!」
ハイテンションのシェリーに叶うはずもなく当然全滅。経験値にこそならないが賑やかしのポリゴンが天井に登っていく。
>あー、もう調子乗ってしもた 誰のせいやろ
>気付け
>このコンビどっちも察し悪いな
>冷凍みかんウマー
>もう届いたのか…
「よっしゃぁ次次次ィ!」
勢いに乗ったまま野生児が如く走り続ければ第八階層に到達。しかし止まらず走行継続。凸凹に戻った岩肌を一歩二歩と駆けていく。これは普通のロッククライミング。足場は悪いが障害物がなくて走りやすい。
>こわ…
>お前もうパルクールやれよ
>女王じゃなくて女帝になって
「王の方が、下剋上されやすそうだからぁ──ヤダっ!」
そして壁から飛んで、天井を蹴り。天地逆さまから襲いかかる。これがシェリ式必殺剣その5くらい。天地斬。ただし名前も番号もノリで変わるので、その場その場で動きたいように動いているだけともいう。真実は未だ不明。
>なんだそのこだわり
>まぁ帝政よりは王政の方が可愛いのはわかる
>そうかな……そうかぁ……?
「そして異変、見つけた!」
>まぁそっすね
>これもまたあからさまというか……うん…
>足ぶつけないかが心配だったよ
「綺麗な鉱石全部消えてんだけど!?さっきので見納め!?」
こんなにも楽々と岩壁を駆け抜けられたのは、岩から生えていた鉱石類の悉くが消え失せていたから。テンションが上がって直感と走力の代わりに冷静を失ったシェリーでも即席チャートを構築できるくらいに。
>そう…なりますネ…
>最深部でまた見てどうぞ
>再走して♡
「楽しそうだもんね、だが断る!」
先ほどの反省を生かして着地は通路と平行にスライディング。速度を生かさず殺さずグリップを効かせて走りなおす。
「よっしヘビでもサソリでもかかってこいッ!今なら何がきても負ける気がしないぜーっ!」
>ノリに乗ってんねえ
>こーれはダメな予感が
>\[シェリー ガバってください]/
>赤スパで言うことか、これが…?
さすれば到達最新部。森林と同じく奥には宝箱。その手前には……八つ脚蜘蛛!
「タンマ」
>はっや
>草
>糸だぁぁぁ!!
蜘蛛といえばみなさんご存知の通り圧倒的手数を誇る上、糸を飛ばして動きを阻害してくる近接職泣かせのクソモンス。しかももし近づけたとて殻を貫けなければパリィされて逆にピンチに陥ることも。そういうミスれない点がシェリーの苦手意識をそこそこ擽る。
「ま、ぶっつけ本番殺ってやるァ!」
>その意気やシェリはん!
>\\[努力 ガバ 勝利!]//
>お前なら勝てる勝てる
>まて今一つおかしい応援あったな
シェリーの叫びに蜘蛛が反応。まずは小手調べと口から放たれる糸、それをシェリーは正面突破。
「弾糸は滑ればイケるッ!」
地面スレスレのスライド回避。リアルなら膝擦りむくこと請け合いのソレは幸いダメージになることはなくシェリーを前へと進ませて。
>イケね行けたぁ!?
>痛そう
>昔は俺もできたのに…
>歳はどうしようもねえべさ
そのままシェリーは巨大蜘蛛の顔面に迫る。次の糸を放とうと口を動かしているが反応が遅い。初弾で仕留められなかった蜘蛛の負けが確定した。
「弱点見せてくれて助かるっ、遠慮なく刺し殺すからね!」
>人の弱点は?
>瞳と手と背中と肘と膝とあと
>多い多い多い
1に瞳2に瞳。散らばった瞳をデスメタルのドラムのようにグサグサグサっと刺せばポリゴン爆散。見掛け倒しといえばそれまでだが、序盤にしては強くないだろうか。
「よーし私の勝ちッ、剣を打ち合うまでもなし!」
>ひどいハメを見た
>初心者狩りのシェリー
>不名誉な二つ名が増えるよ、やったねシェリちゃん!
そのまま降りて剣を掲げて勝鬨。祝いの宝箱もカチャリと空いた。あの中身取ればルーキーの仲間入り。
「またまとめ動画作らないとじゃん……変なの増やさないでよ」
満更でもなさそうにしつつ宝箱の前へ。もちろんミミック警戒でキック開封。英傑は偉大。そして中身は……
「杖?」
>魔法の杖だな
>キャスターになるの!?
>いらない
先端に赤い珠のついたシンプルな魔導杖を取得し洞窟ダンジョン踏破。同時に得た実績[ランクアップII]と共に、シェリーは元の空間に戻るのだった。
tips:シェリーの武器評 ハンマー編
いや好きだよ?好きだけどさ。
好きなら好きなりにこだわりってのがあるのよ、私。
だからちゃんと重い方が好きっていうか、両手振り回して尚重いなって感じる浪漫込み込みの打撃火力が好き。
その点オファニエルって完璧でさ、私が強くなっても相変わらず重いままで居てくれるんだよね!
その上私を引っ張ってくれるとか最高だよオファニエルは…!




