#26 [旧支配者]RTAの女王よ神話になれ[打倒]
ほんっっっっっっっっとうに申し訳ない
真夏の Jamboree (謎)と願い星(自卓)にやられて難産でした
八層ダンジョンラスト約6000字、楽しんでいってね!
「さぁてこれどこからくる?多分耐久戦だとは思うんだけど」
慣れてきた瞳で周囲を見渡す。しかし黒の上から滲む青とオレンジのクレヨンで描いたようなコントラストの星海だけが視界を埋める。しかもシェリーが踏み締めるこの透明な足場は"輪郭"しか目に映らず、踏み外した後自分がどうなってしまうかという嫌な妄想が脳裏を駆ける。
>エレベーターかな
>重量オーバーだ!
>ステルス迷彩で草
「…ステルス?」
そこでシェリーは気づいた。惑わされてはいけないと。ここが『次元ダンジョン』だというのならならばなぜこんなにも"星"が見えるのか。宇宙的恐怖を感じてしまうのか。それは……もう、彼女が敵地にいるからである。バトルはもう始まっている。この空間全てが『敵』なのだ。
「う〜っわあ……」
>どうしたシェリー
>家の鍵閉め忘れた?
>いやウチが閉めとるから…
>幼妻じゃん
再びSAN値チェック──失敗。
アイデアロール──成功。
「見える 見えるよ 全部 全部──!」
>シェリー!?どうしたというのだ!?
>目がぐるぐるしてる
>もしかしてぇ、狂気?
>こんな場所にいたら頭おかしなるで
>いつも頭おかしいじゃん
>さぁさぁ狂ったチャートで踊りましょう?
シェリーはSAN値を生贄に短期的第六感を獲得。浮遊中のミスリルブレイドを防御、竜斧槍を攻撃に用いる。
「遅いッ!」
>!?
>急に回避してなにしてんだ
>頭おかしくなっちゃったか………
バクステ、斧刃を振り上け透明な"なにか"を切り裂く。すると操作感には確かな手応えを感じた上、緑色の滑る灰色の触手の一部と、それとピッタリ接合する赤い断面が顕れた……しばらくすると見えなくなってしまったが。
「見えたよね?」
>ふひぃぁぁっ!?
>ファインダーちゃんが死んだ!?
>ちょうど目にレモン入れてたから見えてないっすね
>ひどい正気度減少回避を見たな。代わりに体力減らせ
>ん〜、どこが変なのかな〜☆
>全力で目を逸らすじゃん……
「ごめんねファーちゃんっ、でもこれが現実なんだよ!」
>夢じゃあありません…
>様子が変なのにプレイだけは間違ってねえ
>俺ら全く見えねえんだけど シェリー何見えてるの?
次の攻撃。竜斧槍で見えないソレを地面に縫い止め、ミスリルブレイドでスライス。なにか既視感を感じたシェリーは左手の鉄剣を魔術杖に変更し詠唱。
「求むるは火、撃滅の焔なり──」
赤い宝玉より生まれ出でた火が、増し、集い、球を模っていく。そして向けるは触手の刺身。生なソレへとロックオン。
「──『火球』」
熱せられたソレは赤くなってああなんとも美味しそうではないか。それはあからさまに茹でタコだもの。訓練された美食の国の住人である彼らにとっては食材でしかない。
>タコだー!
>たこ焼きにしようぜ!
>殺せ殺せ
>カメレオンかこれ…
「敵の正体がわかれば怖くねえ!タコ助、ステルス迷彩なんて捨ててかかってこい!」
竜斧槍を一旦還し呼び出すは初期武器たる銅剣。切れ味は言うに及ばず用途などそう思い至らないがシェリーは"マーカー"としての価値を見出した。
>こいつタコをトカゲと何かと勘違いしてるな?
>そんなまさか
>まるで超電磁砲みたいだぁ…
クロスボウのレールが如く伸ばした腕に銅剣を乗せ、確かに"第六感"で観測できる敵を狙い、放つ。
「シュート!」
>どこに撃ってんだおーい!
>射撃 無効
>シェリーの頭はもうお陀仏だ!リセットしろ!
>らりるれろ!らりるれろ!
>愛国者共め…
無論銅剣は足場を囲む星海に向けて飛んでいく。カメラに映る彼らにとっては何もないように見えるだろうが……シェリーの思惑通り、銅剣は遠い背景のはずの星海に突き刺さった。たらりと赤い血が滴った。シェリーの仮説が真実だということを肯定する。
「今度こそ見えたよね?」
>はははははは
>嘘だッ!
>騙されるな!これは機関の陰謀だ…!
「今回はノー案件配信だバーカ!」
次弾装填、古代金の鉤爪。古代の象徴を惜しげもなくコキ使い、銅剣が文字通り刺し示す地点を挟み込んで輪郭を明確にする。
>本当に何か…いる?
>見えなくはないわ
>宇宙が…血の涙を…!
>ホラーしてきたな
>怖いよー><
「そらそらそらズッタズタにしてやんよ血を流せ姿を見せろ戦わなければ生き残れないんだぜ!?」
さらなる次弾は銀の細剣、何度も何度も突き刺して穴だらけにして星海を血色で塗りたくっていけばもはや姿は隠せない。そして反撃はミスリルブレイドで切り刻み、背後から来るちょっかいは双剣と足捌きで返し斬る。
>様子変だって
>シェリーには何が見えているのか
>私たちには到底分かりません!
>何で視聴者が見えなくて配信者が見えてんだよ
「お前らぁ、後ろ!後ろ〜っ!」
カメラに目線と指を向けて叫んでみる。その間にも流れ出る血は恐ろしき化け物を示し出した。
>それ言うの俺らァー!
>もう余裕じゃん
>最早舐めきってんな…
>ふひぁ!?
>神話知識ない奴が死んだか
それは一見すると人間に見えるかもしれない。けれどその頭部は触手が如きヒゲを蓄えた蛸のようで。ブヨい腕の先端は容易く命を刈れる鉤爪付き。そして背には蝙蝠に似た構造の翼が見える。四大元素が一つ、水に属する旧支配者──クトゥルフとの対決だ。
「アハハハハハハハハッ!ハハハハハッ!そりゃあ魔王よりは強いって言われるよねぇ!でもなぁ!でもさぁ!お前の顔なんて見慣れてんだよォ!」
>元に戻れシェリー!
>狂笑シェリーBBよろしく
>
>ファインダーちゃん無理しないで………
>最早発言すらできてない
旧支配者の瞳に細剣を全力射出。一際深く刺さったソレに対して、遂に木管楽器のような恐ろしい唸り声を上げてしまう。
「あぁ、本当にそこにいたんだ アハハハハハァ…ッ!」
>ふふ…興奮してしまいました…
>気狂ってるシェリー、謎に色気が出る
>配信してるからか吐息が耳に来るせいだろう
>冷静に分析してるの笑うからやめろ
>おまっ おまえらららっ あれみみてなにもっ
>どうした、怖いのか?
>まぁ座れよ
最早姿は隠せていない。血色の下に鈍い緑色のゴムのようなブヨブヨが表れていく。シェリーの口角も際限なく上がっていく。そしてアイスソードが浮遊し、空いた手には竜斧槍が戻ってきた。
「もうさぁ──美味しそうだしぃ、食べてもいいよ、ねぇ、ねぇ、ねぇねぇねぇ!」
>シェリーのお料理配信するならいいよ
>この前のAR配信またやってくれないかな
>オフモードアリサ可愛かったんだよな…
>わかりみ
>いいよね……
苦し紛れに伸ばされる触手らは全部丸見え。第六感に頼ることなく捌いて切って揃えて足場に盛り付けていく。氷で〆ればやりやすい。
「はぁ!?私の方が可愛いんですけどぉ〜??」
>二人とも可愛いよ
>美少女配信者の囁き吐息堪んねえぜ
>変態さんですね 死んでください
>バレ様最高!
>おいバカやめろ
>あっ
「……」
狂った笑いが停止。額に青筋が走る。ハァ──と深淵なる怒りの吐息が漏れ、殺しの文言が紡がれる。
>謝っとけって!
>何されるか分からねえから
>今日の鼓膜に予備ないんでやめてください
>鼓膜ニキ敬語で草
>俺は屈しない!
「竜よ 竜よ 古の鼓動を響かせよ──!」
重なる殺意を唱うシェリーによって魔術杖から引き出された火が、竜の鼓動を以って膨れ、蠢き、胎む。彼女の何十倍もあろうかという邪神の影を、照らす。まるで生ける炎。
>でっっっ
>なんだいつものバグか
>ノンフィクエンジンのガバ多くなーい?
>冗長性と話題性があるんだよ言わせんな恥ずかしい
「──『竜衝』」
解放。頭上より落ちるソレへ、クトゥルフはあらゆる触手鉤爪力を持って防がんと足掻く。旧支配者としての本能で理解しているのだろう。火山に住まう赤竜よりも大きい此身では受けてはいけないと。だが、甘い。甘すぎる。シェリーのバトルフェイズは終了していない。
>蝋燭みたいで綺麗だぁ
>クトゥちゃん必死で草w
>草に草を生やすな
>地球ってお堅いのね
>頭水星かよ……
>宇宙開拓された未来からお越しになされた??
「そんなにさぁ、ガラ空きでいいのかなぁ〜っ?」
次元を超越してきた彼女は再行動。魔術杖を投げ捨て、再度竜斧槍とアイスソードを交換、握り直し。左手へ名脇役たる鉄剣をご招待。4つの武器を一度回し拍子を整え地面を突く。
>みなさん、これが死の舞踏です
>わぁ〜!恐怖的だぁ〜!
>やめてくれよ…
>今の時代は串刺しだってばっちゃが言ってた
>俺は王道を往く剣豪で…
>何の話してんの?
「ここが冒険者の終着点だというのなら、これが私の最後の攻撃!」
俊足で前に縮地と見紛う速度で突進。滑走で速度を維持しながら足場の隅で跳躍。動くに動けないクトゥルーちゃんにご挨殺。
「滅びろ深海引きこもり蛸顔ざぁ〜っこざこぐうたら貧弱旧支配者がぁ──ッ!
>そんなに言わなくても…うう…
>明日は我が身、だからな…はぁ
>ないちゃった!
>何気ない煽りが視聴者らを傷つけた
>視聴者は畑から生えてくるからヘーキヘーキ
さらに帰省していたはずのミミックハンマーが直上へ現れて殺す準備は万端。後ろ下手に氷鉄双剣、両斜め上に竜とミスリルのコンビネーションを備えいざ、いざ、いざいざいざ。
「タイマ──ストップゥ〜〜〜ッ!!」
>やったか!?
>勝った勝った!今日はたこ焼きだ!
>やめろ……我が家のたこ焼き器が火を吹く………
>ソレは火事なのでは?
>ぐっちゃぐちゃで草
>バランス崩壊した卓動画じゃん…
落つる火球。四重なる斬撃。無防備な脳天を晒した旧支配者は脳天を潰されザ・エンドってね。周囲の全てがポリゴンに還っていくのがその証拠。ここに最早用事はなく。残すは──
「エンディングだぜ、泣けよ?」
>[デレデレデェェェェェェェェェン]
>SHERYYYYYYYYY
>シェリー、煽られています
>愛してやれ
【八層ダンジョンに存在する全ダンジョンの踏破 おめでとうございます!】
【次元ダンジョン踏破により 異変チェッカーが追加されました!】
【次元ダンジョン完全踏破により 秘密の宝箱が出現しました!】
「さ、てと」
まぁこんなインディーゲームに洒落たEDムービーがあるわけもなくシンプルに提供と使った素材サイトなどが流れた締めにスペシャルサンクス安藤裕が映って終わり。シェリーは次元の裂け目が堂々と見えているのを無視して円盤へ腰掛け。入らなければ害がないのは知っている。
「ここまで付き合ってくれてありがと〜、お疲れ!」
狂気を振り切って満面のハピネススマイル。バチコンウインクも添えて美少女モード。大きく手を振ってファンサービス。軽く見える脇、脇腹が素敵だ。
>乙!
>シェリーもな
>いつも通り楽しかった
>この後ファインダーたその手料理食べれるんだろ?
>裏山………C…
>でも今死んでる可能性が大なんだよな
>
>……生きてるらしい
>あとで労わってやれよな
「わかってるわかってる。それじゃ、この配信の最後はヒミツの宝箱とやらを開けて終わりにしよっか」
シェリーはスッと立ち上がって、森林と魔界の間に坐す豪華な宝箱に手を伸ばす。すると鍵はかかっていないのかすんなりとフタが開き、中身がカメラの下に晒される。
「え〜っと、これは……」
>杖か
>まぁ実用的すぎるとヌルゲーだしな
>次元ダンジョンは武器くれないしまぁ
>WKTK
それはまるで神官が持っていそうな錫杖。貴金属製のようにも見えるが、一度触ればその実非常に堅牢で強靱な金属が使われていることがわかる。名を献身の錫杖といい、EX武器の最後尾を飾るこれには『捧命』という魔法が込められている。
「ふーん……っ、て、ぇ!」
その効果は……大爆発。使用者の命を対価に階層に有る命の全てを吹き飛ばすとか記されている。
>どう見ても産廃武器です本当にありがとうございました
>最後までネタたっぷり♡
>使えねえwww
>ギリギリ擁護するならマルチプレイの時のキャリーには使えるかな…
>と思わせての仲間も吹き飛ばすに一票
>……さて、ここでシェリーさん。最後に一言をどうぞ
「今日の配信は終わりですお疲れ様でしたァ!」
ガンギレモードでカメラオフ。本日の配信は可愛くデフォルメされた(自称)美少女配信者のエンドカードを添えて終わるのだった。
『次回のシェリーの昆布巻き配信もお楽しみに!』
Tips エンドカードのイラスト
大概シェリーが毎回書いている。自分(と友人達(と推し))の絵だけはかなり上手いし速い。けれどファンリクエストに添えてFAが送られてくるとソレになったりする。
その際に可愛らしい字で添えられる『(ユーザー名) Thank you☆』は一見の価値あり。
※ただし私たちが存在する現世時間2024/08/05現在シェリーのキャラデザはあやふやなのでそのサインも認識不可能です ちくせう
──
業務連絡
というわけて『八層ダンジョン編』はここでおしまいになります ぐだぐだ更新でしたがお付き合いありがとうございました
次にやるゲームは『スシクリッカー』か『蘇る旧支配者の都ルルイアスの謎』かのどちらかにしようか悩んでますが未定なので 何がくるかお楽しみに
今度はほとんどを書き溜めしてから投稿しようと思います(フラグ)
では!また更新の時に会いましょう!




