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シェリーの昆布巻き配信'sアーカイブっ!(ひきころ短編集)  作者: わけわかめ
1:『8層ダンジョン』編

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25/26

#25 [王の]RTAの女王は二度死ぬ[復活]

>死んだなこりゃ

>ダメだったみたいですね…

>やりなおし♡再走して♡

 カメラは死で染まった広間を映し続けている。大鎌振り抜き残心中の魔王がよく見える。一頻り広間を見渡し、自身に刃を突き立てた命知らずの冒険者がいないことを確認すると黒球と影鎖を解除。髑髏大鎌も虚空に放って仕舞った。

『ふは…っ、かの冒険者が如何に勇者と讃えられとも所詮人の子。吾輩の"死ノ宣告(ハーヴェスト)"には耐えられぬか』

>ホンマこの魔王声だけはいいな…

>姿も麗しかろう??

>本が増えます

>先生!?

>これは厚い財布が薄くなりそうだ

 魔王は寂しそうにそう呟くと玉座の方へ戻っていった。彼は魔界に、世界に蔓延る魔性なる唯一絶対の王として君臨している。それ故に孤独であった彼は好敵手として並び立て得る冒険者(シェリー)へ"死ノ宣告(ハーヴェスト)"を与えたのだが、結果は──ご覧の通り(・・・・・)。(なお、|次元ダンジョン第八階層ここにいる彼が再戦ボス(リプレイ)であることは皆さんも承知であろうが設定的には別次元(パラレル)の存在なので成立している。あとゲームだし。)

『さて……吾輩の下に次なる挑戦者(若者)が来るのは幾つの月が浮かんだ後になることやら』

>無駄に洒落た言い回ししやがって………

>こいつのFAないんですか?

>さっきTLに上げましたよ

>先生仕事しすぎ

 パチンとフィンガースナップ一つで荒れ果てた広間は元通り。漂い続けていた死は消え失せたが元のゴージャスかつエビルな赤紫の広間を眺め溜め息。誰も見えなくなってしまった今、再び一人に戻ってしまった。折角昂ってきた折にコレなのだから孤独感もひとしお。手慰みに赤い葡萄酒を一口。

『今宵の血の渇望、どう鎮めてくれようか。小悪魔(ポーン)らを弄ぶもよし女王(クイーン)と目合うも──』

>こいつ…w

>前言撤回こいつただの変態だ

>昼の戦闘も夜の戦闘もできるとかこいつ両刀かよォ!

>夜な夜な捉えた男冒険者と遊んでそう

>お前らwww

>すみませんフルカラーは無理そうです

>先生は描き過ぎ冬まで待つからゆっくり描いて

>[シェリー早く出てきてください]

 ギリギリ配信禁止に引っかかりそうなグレーゾーンを曲乗りするかのような発言を溢す魔王。そりゃ魔王城(ダンジョン)の主人がまともな訳はないがもう少し安全(セーフ)な言動をしてほしいと、シェリーは(・・・・)思った、から。

「それ以上言うな変態魔王ァァァ!!!!」

>!?

>どっから出てきた!

>親方!壁から美少女が!

>変態呼ばわりで笑ってしまう

>馬鹿なシェリー、死んだはずでは!?

 玉座の後ろのステンドグラスから飛び出してきたシェリーは思わず魔王に不意打ち(アンブッシュ)。36協定無視で過労死確定なミミックハンマー君でタライが如く脳天にツッコミを入れる。

「残念だったなトリックだよぉ!」

『ォ──ッッッ!?!!??!?』

 そう、シェリーは生きていた。彼女の言う通りとあるトリック、すなわち技術(グリッチ)によって。

>嘘だっ!!!

>シェリーはたぶん、三人目だから

>リザレクションしちゃったかぁ

「生きてる生きてる冒険者シェリーは一人目だって!!」

 彼女が今回生存に利用した技術(グリッチ)俊足(スキップ)。堂々と常用しまくってるコレは移動の加速度(ベクトル)を蓄積しているが……解き放つ点で一つ派生(アレンジ)。彼女は『床』へと使った。つまり俗称で言えば床抜けした。

『呵呵呵呵呵呵呵呵!!何処へ行っていたのだ勇者よこの世から逃げたかと思うたぞ!』

「生憎半分間違っちゃないんだよねぇ…!」

 嬉しそうに笑う魔王。彼が"死ノ宣告(ハーヴェスト)"を放たんとした折、俊足(スキップ)の為に床を高速で突いて加速度を貯めていたのだが回避が間に合わないと悟ったシェリーは加速度の用途を変更。勢いよくしゃがむと同時に自身の突いていた脚をぶった斬ったのだ。

>あれ?シェリー脚一本なくね?

>武器乗って飛んでる…w

>エアボードじゃないか!

>まぁ即死攻撃から脚一本で助かったと思えば…

>痛くねえの??

「えへへくっそ痛い!」

 その為シェリーは部位欠損に陥った。陥ったのだが……ノンフィクションエンジンに於いて、『部位欠損』によりプレイヤーのアバター形状に更新が入る際、処理の都合上アバターの当たり判定はほんの数Fだけ消失する。その消失の内に貯蓄された加速度によって超スピードで移動すると、ある程度のオブジェクトならすり抜けられるのだ。これが俊足(スキップ)裏派生(エクストラ)解脱(スリップ)の原理。ちなみに先のシェリーの断末魔は脚を切った時の痛みのせい。

『脚を失おうと吾輩に抗い続けるか……面白い!面白いぞ勇者よ!ならば──"深淵ノ楔(タルタロス)"』

「バカバカバカバカ」

>うわでた

>滲み出るクソ

>あなたの命に這い寄る深淵

 頭をぶっ叩かれながらも笑い続ける魔王を中心に、床が、壁が、深き闇に染まっていく。けれど……シェリーは武器を足場にし生き残っている。今はミスリルブレイドに腰掛けホバー移動中。脚を失ったが故にぶっつけ本番でやってみたが意外とイケた。

『そして──"終曲(デッドエンド)"ォ──ッ!』

「やっぱりかぁーっ!」

>展開はっや

>多分フラグ管理がバグったな?

>ここからどうやって対応するんだろう

 そして魔王は圧縮圧縮圧縮圧縮魔力を圧縮。極限まで圧縮された魔力は超質量を秘めたる極限の黒球を成し、周囲の凡ゆる全てを吸い込みながらシェリーへと迫る。我が御諸の覚悟を以て放つ最後の一撃(魔法)

「うおぁああ……っ!?」

>クソゲー始まったな

>この先生き残れるのか

>\[シェリー勝ってください]/

 不安定な武器の上に腰掛け中のシェリーは思わず吸い込まれそうになる、がどうにか吸い込まれないようしがみつきつつ……とある装備を浮遊させ"終曲(デッドエンド)"へとぶつけてやることにした。

「そっくりそのままお前が終わり(デッドエンド)になれよバーカバーーカッ!」

>バカって言う方がバカなんだよなぁ

>算数弱そう

>みそすーぷ

 テンショントチ狂い中のシェリーが土壇場で思いだしたのはかの廃墟ダンジョンから奪ってきた鏡盾。"魔法を反射する"作用を持つらしいコレは、名目上は魔力の塊である"終曲(デッドエンド)"を──跳ね返した!鏡盾は一発で耐久の限界を迎えて音なく崩れ去った!使い捨てかよこの装備。

『な、にぃ、ぃぁぁぁ──!?』

 そうして"終曲(デッドエンド)"を我が身で受けてしまった魔王は黒の中へ吸い込まれメキョバキ.mp3にまで不可逆圧縮され消失。魔力供給が途絶えたせいで黒球も地触の闇もすっかり消えてしまって、入れ替わるように青と赤の裂け目が床に開いた。

「……で、さ」

>なんすか

>クソ装備使ったことへの弁明か?

>ないよぉ!異変ないよぉ!

 生え変わった足でブレイドから降りて着地。帰ってきたら足の感覚を確かめつつ問いかける。

「いやあるんだよ。今回の異変みんなわかるよね?」

>魔王が変態だった

>そ れ だ

>お前天才かよぉ!

「違うから???????????よくみて部屋の色 深紫じゃなくて赤紫になってるでしょ!?」

 頂上決戦参照。あの時は深く濃い紫だったがこの魔王の間はどちらかと言うと赤紫であり情熱的な印象を受ける……魔王が精力的な変態だったのはこのせいかも?

>元からこんな色だったよ

>魔王の性癖がロリからおねいさんまで幅広いのが異変だったな

>あの悪魔司祭もメスだった可能性が微レ存…?

「あーもうこいつら全然話聞かないなぁ…っ!」

 キレながらもシェリーは青の裂け目へ飛びこみ、無事次元ダンジョン第八階層を突破。コレにはシェリーも嬉しさを隠しきれない。

>ははは、照れるぜ

>よせやい褒めるなって

>それほどでも…///

「何一つとして褒めてないが?」

 踏破の時は来た。シェリーはあらゆる異変に屈せず、己の判断を貫き、ついに80層にも及ぶ探索を終えたのだ。この探索のために、シェリーと共に歩んでくれた視聴者達に感謝を。訪れるのは、真なるエンディング。全ては8層ダンジョンの提供である。さぁ、この次元(ダンジョン)は──










 

 ──再構築される──!










 

「ふべぁっ!?」

>痛そう

>顔面からいったぞw

>大丈夫ですか〜?

「いや生きてる、生きてるけど……」

 顔面アウト。起き上がったシェリーはヒリつく顔を擦りながら周囲を見渡す。けれど目に入るのは相変わらずの星、星、星。ただただ綺麗な星海が広がっているが感じるのは宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)だけ。美しいとも、幻想的などとも思う余地もなく、正気が擦り減る金切音だけが聞こえる。SAN値チェック1d3/1d10。

「っ……!」

>み"ょ"ぁ"ぉ"ぁ"ん"っ"!?

>ガタガタガタガタガタガタガタガタ

>やっと鼓膜買ってこれた

>鼓膜補充ニキ幸運クリってるよ…

>?

 成功したシェリーは即座に戦闘態勢。アイスソードと鉄剣を手にし双剣スタイル。浮遊させるのはとりあえずミスリルブレイドと龍斧槍。コレぞ冒険者シェリーの対全方位形態(オールレンジフォーム)

「大丈夫、戦うのは私だけ」

>何言ってんだよ水臭いなぁ

>俺たちも連れてけって

>昆布巻き配信には…"賑やかし"が必要、だろ?

「ふっ……耳がイカれても知らないよ」

 シェリーの足元は何もない。何も見えない透明な床。しかしその先の奈落長くみていると何処かも知れない次元断層の果てへと連れていかれてしまう感覚に陥ってしまう。

>ふかぁい…

>ぉぼっ

>不定の狂気入っちゃったか

「…ん、何か見え……っ!?」

 かと思えば8つの触手が奈落より飛び出して、シェリーをエロ同人のネタにせんと……間違えた。拘束せんと四肢首胸腹腰を狙う。

「のわぁぁぁ!!??」

 双剣で腕狙い二本を切り落とし、首胸狙いは斧刃で一気に。腹腰は回るミスリルブレイドで守り着地狩りにきた脚を狙う不届きものは矛先で足場に縫い付けたところを切断。下からの不意打ちへの対処という点ではこの上ない動きだ。

>はえーよ

>一瞬でよく思いつくなその動き

>理不尽への対処に慣れすぎているの笑っちまうんですよね

>なんなんだぁ今のは…

「私は女王だからねぇ……こんなので死んでられないんだよ」

 珍しくいい調子が続いているシェリーはノリに乗ってカッコつけ。けれどこれで止むとは思っていない。今のはせいぜいが突き出しかお通しの類。魔王(ラスボス)よりも後ろに控える裏ボスがこんなにも弱いはずがない。

>でもRTA中はスライムにもやられましたよね…?

>あの時はHP1だったから(震え)

>触ったら即死!

「あっはは、記憶にございます」

 まだ真の姿を見せぬ敵を警戒しつつも、視聴者(コメント)にはキチンと反応してあげるシェリーなのであった。

#25で八層ダンジョン終わろうと思ったけど#26になりますね これ



Tips ノンフィクションエンジンのグリッチ その9

解脱(スリップ)

基本的原理は俊足(スキップ)と同一。進むという意志を思いながら地面を突き加速度を貯めるだけ。しかし解放と同時に自身に"部位欠損"等々による身体(アバター)更新が発生することにより数Fだけ当たり判定が消失した状態で高速移動できてしまうので壁や攻撃をすり抜けることができる。……なお(この世界線の)某フルダイブ悪魔城は軽い自傷ダメでも更新が入るので……相変わらずタイムに関する単位になる程にクソ速く、またキモい壁抜け走法を披露しやがる。


なお描写の予定はない(流石に無理)


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