#2 [トラップ]RTAの女王はミミックになんて引っかからない[簡単]
実はコレ、前話書いてたら8000字になってて衝撃を受けたので分割したんですよね。
なんで?
そんなこんなで、シェリーは無事にで第五層までやってきた。ここからは折り返し、無事にクリアできるのか。
「とりあえず処理っと」
悪、即、斬。通常攻撃が即死攻撃で三回攻撃なガバの女王。奪った棍棒を掴めるか試してみたが無事消失して肩をガックリ。略奪は許されないらしい。
「で、みんなわかった?」
並木道に植わるベリーの低木。散らばるどんぐりを踏み潰せばコキリという音がして。鹿の姿は既にない。
>[窓なぁぁぁい!]
>そもそも森に窓ねえよ
>お前の目は節穴か?
>草
>せめて室内ダンジョンの時に言え
「あはははっ……まぁ簡単だよね」
端のように寄ってしゃがむシェリー。プチりもぎ取ったベリーを口に運んで。
「野苺がベリーになってる。ん〜っ、おいし♪」
かわいい顔惜しげもなく披露。もちろん美少女スマイルはプライスレス。不意打ちを受けた視聴者に効果は抜群だ。
>うちドライフルーツ買ってくるわ…
>相棒に飯テロしてて草
>可哀想
>クソッ…冷凍みかんポチった
>俺も一個もらうね
「こういう異変ばっかりだったらいいんだけど──」
当然進んで第六層。シェリーは異変に既に気付いている。ため息を吐きながら抜刀。
「──ねぇ」
>あからさまですね…
>サービス問題
>どこがおかしいのかなぁ〜☆
>変なダンジョン
「だよね……」
シェリーはクルクルと獲物を回して狙いをつける。どこか懐かしい感覚に襲われつつも姿勢を決定。俊足準備。
「コレ、使うの難しいと思うんだけどなぁ」
>それはお前だけ定期
>一般論的にはそっちの方がいいんすよ
>安全第一
解放。疾風が如く近づき、的確な三段突きを決めてゴブリン討伐完了。肩に柄を乗せながら歩きだす。
「槍とか誉ないわー、剣だよ剣。剣がいい。折衷案で刀」
銅の剣が鉄の槍に変化する、と言う異変。普段から重心を意識しているシェリーは装備変更された瞬間に気づいていた。まぁそうでなくても一目瞭然だが。
>英雄様の戦い方じゃない…
>普段回転鋸振り回してる奴が言うセリフじゃねえ
>ほんそれ
「いやあれは私の魂にして生涯のパートナーだから」
>惚気か?
>シェリ×オファ
>もう書いてるからネタにならない
>先生!?
>コイツ……
「なんでオファニエル擬人化が秘めたる狂気風少年しかいないのかがすごい気になるんだけど」
なんでだろうね。
>そりゃお前かわいいからだよ
>\[絵が映えるので…あと焼肉代]/
>先生……!
>ミーシャの影に隠れてるけど先生も大概だよね
「二次創作君さぁ……」
自分の二次創作を好きに許しているとはいえ、パートナーの擬人化との長編漫画を見た時は流石に変な顔をした。ついでに好みの顔だったので身内の犯行をしばらく疑っていた。
「いいから次行くよ、次」
コメントを流して第七層。鎮座する宝箱。
「………………………」
>罠、ですね
>あからさますぎて草
>開けてみようぜ!
「誰が開けるかァ!知ってる!これ開けたら強制で殺される奴でしょ!?」
叫びながらの全力攻撃。ぐげぇーっと宝箱から舌が飛び出して、ヘタれる。まぁ、宝箱は当然ミミックであった。もちろんシェリーの言う通り開けると>突然の死<を迎える。
>チッ
>開ければよかったのに
>そういうところだぞガバの女王
>マジでノーミスでクリアしやがって
「あのさぁ、私をなんだと思ってるのって」
追撃の蹴りを入れて討伐。実績[とびだせ!ミミック君!]を獲得。獲得方法はミミックを討伐するかミミックに食べられる事。
「いらない」
>インディーゲームならではの謎実績きたな
>ここすき
>シェリーの渋顔でしか得られない栄養素がある
「後でオファニエってやるからな……」
>フレに呼ばれたので落ちますね^^
>逃げたぞ!追え!
>奴は裏切り者だ!!
「追撃は任せたぞ猟犬共──ってね」
笑って流しつつさらに次へ、即ちラストの第八層。ここを越えればダンジョンクリア、冒険者シェリーはランクを上げられる。
「さてさて、次の異変は何かなぁ〜っと……」
今層もいい天気だ。鳥が歌い、野苺は成ってる。こんな層でもグギャグギャ笑うゴブリン達は……シェリーの刃に斬られて死んだ。
「まぁ何度挑んでも勝てないに決まってるよね」
ふぅ、と一息。勝利を祝う小鳥の囀りが耳を擽る。
>まぁ所詮ゴブリンだし
>ざぁこざぁこ♡
>コレが鎮魂歌ですか…
「何度も同じマップを繰り返してるからすぐ飽きると思ったけど、変化が沢山で意外と楽しいね」
案件のような感想を述べつつ前に進む。
>あれ?異変どこ?
>いやわかるだろ
>お前ミュート勢か?
>素で察し悪いなお前
「ピョロロロ聞こえる小鳥の音なんてどう考えても異変でしょ」
可愛い小鳥が枝上に見えるが、残念ながらアレらも異変の一つ。心地よいからといって自然に流してしまっては冒険者失格なのだ。
「ちょっと期待してたけど流石に出ないよね」
>何?
>ロクでもなさそう
>パンジャンでも欲しかったのかな
「ゾンゴブに追いかけられたかったなーって」
>えぇ…
>えぇ……
>ゾンゴブ好きなの?????????
「割と楽しかったよ?でなきゃまだSWORDやってないって」
本気で焦って、本気で泣いて。本気で戦って倒せた時の楽しさは何にも勝るもの。こういう息抜きも好きだけれど、シェリーが本当に好きなのは血沸き肉踊り骨割れる激闘なのだ。それはそれとして稼業はする。得意だから。
「じゃ、最深部まで行こっか」
後顧の憂いなく霧の中に進み、シェリーは第八層を無事突破。剣を抜いて何がきたって大丈夫なように備える。
「ボス戦あるでしょ」
>ダンジョンだからなぁ
>コレやっぱアクションでは?
>アドベンチャーです
>せやろか……
「ま、道中がゴブリンだったから大概予想はつくけどね」
最深部。森の中にも関わらず草原が広がっており、奥には宝箱が見えるが……その手前にはまた、相変わらずゴブリンが3匹。しかし今度の彼らにはあからさまに違う点が一つ。
「なるほど、そっちできたかぁ……」
英雄の癖で考えていたが今のシェリーは冒険者。ならば戦うべきは王ではなく……騎士だろう。
『ゲギャギャギヤッ!』
>レッドキャップだ
>ゴブリンじゃなくね?
>ゲームだとよく習合してるからなぁ
赤帽子。ゴブリンの細長い頭が赤く変色したような姿をしているため、ゴブリン亜種という扱いになりやすい妖精の一瞬。スライムの青いヤツと赤いヤツくらいの差でよくセットで実装される(要出典)。
「ま、殺すべきやつには変わりないでしょ!」
とりあえず俊足で駆け出し接近、笑っている赤帽子に銅の刃を振り下ろせば簡単にくたばった。銅の剣とはいえ雑魚を切り裂くに充分な切れ味は持っていたらしい。
>ナイスゥ!
>惚れ惚れする程の早さ
>その動き教えて?
「あはははっ、私は見て盗んだんだから頑張って!」
倒れゆく死体から棍棒を略奪。シェリーは双剣スタイルに移行。コレぞまさに鬼に棍棒。仲間を殺され笑われていると感じた赤帽子達は激昂し、目の前の哀れな冒険者に手斧と弓で襲いかかるが。
「インディーゲームにしては動きいいな、アセット?」
>なんでわかるんだよ
>適当なこと言うなw
>ボスは頑張って作ったらしい
身長差は如何ともし難く。手斧を振りかぶって跳んだ赤帽子はそれ以上の長さを誇る対空技で対処、相変わらずの動体視力で矢を弾き、お返しに石斧を投擲。回避させたところに追撃の銅剣投擲でフィニッシュ。蓋を開けてみれば一分もかからないボス戦であった。
「へぇ、そりゃすごい……」
納得したように一人呟いたかと思えば、何かを思いついたようで、カメラを近寄せた上とびきりの笑顔で言い放つ。
「もしも〜し、作者さ〜んっ、この配信見てたら今度話さな〜い?」
意訳:連絡寄越せ
>こわ…
>お礼参り(物理)の予感──☆
>物騒ですね…
「まだ何もいってないが!?」
コレが後に続編のフラグとなる、のだが今回はそれだけ。シェリーはカチリ開いた宝箱の方へルンルン足取りスキップで移動。コレを開ければランクアップだ。
「ていっ」
>蹴るな
>草
>空いたしwww
厄災あいや英傑を見習って蹴り上ければ中に入っていたのは鉄の剣。駆け出しにしては上等な品だろう。
「……まぁもらえるものはもらっておくけどさァ……」
手に取ってみれば装備メニューが開放。手に入れた装備を自由に装備できるらしい。
>ダンジョンクリアで装備獲得や 周回要素もありはるわ
>ファインダー!?生きていたのか!
>何買ったん?
>ブルーベリー ウチ瞳使いすぎなんよ
>可愛い
「ファーちゃん、外に出て轢かれたはずじゃ!?」
>最大手で草
>シェリはん、今日の夕飯ウチが作るわ
>あっ、ふーん。
>察した
>ご冥福をお祈りします
「終わったわ……」
絶望顔になったところでシェリーはダンジョンゲートが8つ並ぶ空間へ帰還。実績[ランクアップ!]を獲得。駆け出しから新人に昇格したことにより、新たなダンジョン、洞窟ダンジョンへの道が開いた。
「それじゃ装備と調子整えて行こっか。私もちょっと休憩っと」
>了解!
>ちょっとお茶とってくる
>てらー
>俺はオレンジでよろしく
新たな敵と新たなダンジョンへの期待を胸に、シェリーは小休止を取るのだった。
Tips:シェリーの武器評 槍編
槍。棒きれの先にちっさいナイフがくっついてるだけの武器。
リーチは強いけどただ振り回すだけじゃ隙だらけ、遠心力とか無駄にかかるからね。
私はあんまり好きじゃないかな。
狙った場所を的確に狙える対雑魚向けの武器。
私が使うと大概銛か棒の使い方になるから尚更別のやつ持った方が強いよ。
……は?オファニエルも似たようなものだろって?
いや全然違うからオファニエルは最強だしそもそも回転鋸と槍を同列に語らないで使い方も強みも全然違u(以下略