表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シェリーの昆布巻き配信'sアーカイブっ!(ひきころ短編集)  作者: わけわかめ
1:『8層ダンジョン』編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/26

#13 [廃墟]RTAの女王と不法侵入の館[本当に?]

まぁ不定期更新なので許してつかぁさい

リアルが落ち着いたのでリラックスしてました

「こーれでつよつよな剣が2本揃ったねー」

 シェリーは氷原ダンジョンから戻った。適温の場所に戻って気が抜けたか語尾がゆるい。ガバガバ楽チャーをジョギングしながら雑談配信をしている時によく似ている。

>そうだねー

>和むわぁ

>シェリはん現実見いや

「まーさぁ、コレでどーんなモンスターが出てきたとしても 負けることはないよねー」

 うんうんとわざとらしく頷いてカメラ目線。にんまり笑顔は自信の表れだろうか。

>フラグ一丁入りましたー!

>殺すぞ〜!

>露骨に目線逸らしてるよなシェリはん

「どうどう?こういうポーズも良くない?あははっ♪」

 右手にアイスソードを肩に乗せて構え、左手は銀の短剣を逆手に握って見せつけるようにして前へ突き出す。白い歯を見せて笑ってサービスショット。

>あーいいねいいねぇ

>[資料代]<

>先生…!

>なぁシェリはん?進もう?

「それじゃあ、配信はこのあたりで終わりってことで」

 そのままシェリーは貼り付けた笑みを浮かべたままメニューを開く。配信を終えて逃げるつもりだろうが、怒涛のコメントにそれを咎められる。

>は?

>駄目だが

>\\[続けてください]//

>ええから進めシェリはん

>俺は全クリしてくれってリクエストしたぜ?

>どうした、怖いのか?

>シェリーのざーこざーこ

>あのさぁ……

「だって!!だって!!どう見ても怖いじゃん次のダンジョンさぁ!!」

>空いているではないか…行け

>お前さぁ

>こんな途中でやめちゃうんですか?

>逃げたら全て失うぞ

>進めば一つ得られるがな

>これはお前が始めた物語だろ 

 氷原ダンジョンのさらに隣のゲートを指さして涙声で叫ぶ。それは木製で、ボロっちくて。薄暗い霧が溢れ出ている。さらに、さらに、骸骨のような霊体も中から現れては溶けて消えていく。

「ぜぇぇぇったいお化け屋敷じゃんあれ!」

 Aランク(エリート)に至ったシェリーの向かうべき次なるダンジョンの名は廃墟ダンジョン。巨大生物の座す氷原よりも危険(・・)とされる古い館である。見るからにアンデッドが湧き腐っていそうだ。

>そうだよ

>さっさと腹括って、どうぞ

>何で墓場は行けたんや?

>シェリーの言動から察するにホラーはいけるけどドッキリが弱いっぽい

>そうやで

「裏切ったなファーちゃん!?」

 ただのホラーにグロだけならば慣れている。全ての五感が再現されている中で、回転鋸(オファニエル)と共に腐肉の怪物の身体を駆けずり回り、肉を削ぎ落とし、核を挽き殺していたくらいだ。表現がキツいだけのR-18ゲームならばシェリーにとってはノーダメージ。淡々と処理すればいいだけ。なので……

>シェリはんびっくり系は調子狂うから嫌やて言うてはったわ

>こいつ……

>いつも俺たちの度肝抜いていくクセに自分は抜かれたくないと申すか

>卑怯では?

「卑怯じゃないが?女の子だから無罪だが?」

 負けない、媚びない、顧みないし、反省しない。可愛さにかまけてぶりっ子ポーズ。罪は全て誰かのせい。

>などと言っております同士ファインダー

>よろしい なら廃墟送りや 行かんと今晩は空きっ腹で寝かすわ

>無慈悲〜^

「わかったわかった行けばいいんでしょ!!」

 意を決して廃墟ダンジョンへ突入。属性武器ならばアンデッドに効くと信じてシェリーは邁進する。

>よし

>奪えば全部ゥ!

>歯茎出すな

>あんたさんははよ新大陸見つけてもろて

「……っでぇー、これは……」

 暗い廊下を歩くと、シェリーは木製の廊下に立っていた。床はボロボロながらも紅いカーペットが敷かれている。そして右手にはステンドグラスの窓が三つ、左には木製の扉が二つ。しかも外は真夜中のようで、窓と窓の間に取り付けられた鬼火の灯る仄暗いランタンが唯一の光源になっている。

>割ときれいだな?

>廃墟というより空き物件

>まぁ所々破れてたり壊れてたりはするが

「だねぇ、外見は立派なままそう」

 振り返った後ろも、奥も、同じくステンドグラスの嵌った木の扉で閉ざされていて。隅っこの蜘蛛の巣や壁に開いた小さい穴を駆けずり回るネズミらの軌跡を記憶。コレだけ見れば観察は十分。次は目の前の敵を見てみよう。

「メイドさん……だねぇ」

>あらかわいい

>かわいい顔だろ、コレ、死んでるんだぜ…?

>ゾンビだコレー!

 廃墟ダンジョンに蔓延るモンスターはワイト三匹。元々この屋敷に支えていた従者達がアンデッドへと貶められ使役されているのだ。

「……ちなみにネタバレ覚悟で聞くんだけどこいつらって出るたびに服装変わる?」

>変わるよ

>ランダムっぽい

>たまに男装執事とか女装メイドとか来る

>草

「……ふぅん」

>おいこいつ目の色変えたぞ

>さっきまでの嫌がりようが消え失せてて草

>あっ、ふーん……

 救わなければ。シェリーの瞳はそれだけに覚悟が定まった。まずは俊足(スキップ)で近づいて、正面のメイドさんの胸にシルバーナイフを突き立て動きを止める。

「それで、っ」

 内心謝りながらも追撃に無慈悲に顔面へとアイスソードを振り下ろす。すると切先に触れた部分から皮膚が、肉体が凍って砕けていく。

>気化冷凍法──!

>ダイヤーさん!

>アだぞ、しかもやられた側だしそれ

「まずは1人いっ、でぇっ!」

 そして引き抜く。ぶった斬られポリゴンとなって爆散。次は拳を振るってきた隣の執事ワイトの腕を清浄なる銀で切断。

>ナイスカウンター!

>そんなスパッと切れるんだ

>ギコギコはしません

「刃がすぅーっと入って気持ちいいねえ!」

 横にステップ。隙を見せたコックワイトを急速冷凍。動けなくした上で首を刈る。それで終わり。

>すっごい弱い

>ざーこざーこ♡

>大人なのにこぉんな女の子に負けちゃうんですね〜

「それ私のセリフだってぇーのっ!」

 あとは隻腕になってしまった執事ワイト1人。振り返りながら回転切り。凍結、破壊、凍結、破壊の連鎖で討伐完了。カチリ、と鍵の開く音がした。

「コレで進めるね」

>参考にしたいけどできないんだよなあ

>無理っすね

>普通に視野が広い

「ははは。戦場(FPS)を視力だけで戦おうとしているうちは三流だよ」

>うぜぇ

>でも実際そうなんだよな

>ヘッドセットは必須わよ〜

 そうカメラにウインクしながらシェリーは第二階層へ移動。カーペットに窓、扉に一見できる異変はない。ちょこまかと走り回るネズミに巣作りする蜘蛛もさっき見たばかりだし……違う点は目の前のワイト達の並び。メイド、コックA、コックBである。視聴者によるとコレは異変ではないらしいが……とりあえず倒せばわかることか。

「殺るよー」

>あいよー

>ノリ軽っ

>もう倒し方わかったしな

 初手は包丁をを握っているコックBから。先は何もさせずに倒したが武器持ちから倒すのはマスト。振り下ろしてきた手を銀でパリィし冷凍。壁に蹴り飛ばして脳天から絶対零度でぶち殺す。

「次ぃ、っ!?」

 放置されたメイドワイトは投げナイフ三連をシェリーに放った。流石にそれは想定外(・・・)で、一つは弾いたが肩と腹に突き刺さった。シェリーの身体(アバター)に激痛が走って顔が引き攣る。ただし笑顔は忘れない。

>うぉぁ!?

>初被弾じゃん

>流石にノーダメは無理かぁ

「コレがAランクのダンジョン、かっ!」

 油断は禁物。想定(チャート)から外れれば容易く傷を負う。ダンジョンなのだから死の危険が生まれるのは当然。体から引き抜いたナイフをカウンターでぶん投げる。

>まぁAが最大のランクだしな

>いやSだろ

>待てよく考えろまだ六個目だぞ

「コレどこまでランク上がるのかなー!」

 からの悪、即、斬。そして叩き割られた奥から決死の──いやすでに死んでいるが──とにかく鬼の形相のコックワイトが包丁を持って突撃してきた。

「見えてんなら怖くないんだよなぁ!」

 アイスソードの腹でナイフを受け、逆手持ちの銀のナイフを顔面にブッ刺しそのまま斜め下へ。もちろん致命(クリティカル)。ポリゴンになった。

「ふぅ〜…っ……」

 どく、どくと流れていく仮初の血液(HP)。ひりつく傷跡を押さえながら……シェリーは奥の扉へ。

>えっちだ…

>待ってシェリーそっち異変

>何も変な場所ないじゃん!?

「あは、ははっ……倒しても鍵の開く音しなかったからコレ最初から鍵が空いてた異変っぽいよ」

>えっ何それは

>わかりにくいなぁ……

>まぁ第二階層だし間違えても…いいよね

「そゆこと〜……あ、治った」

 痛む傷を食いしばりながら第三階層。辿り着けば損失(ダメージ)は元通り…‥なのだが。

「なるほど」

 目の前には手を繋いだ女の子が2人。おそらく双子な上、青い服を着ておりシェリーのことをじっと見つめたまま動かない。扉も向こう側に見えている。

「……これ進めってこと?」

>そうだよ

>でもあれ近づいたらダメなやつじゃない??」

>俺もそう思うな

「うん、でもさ。私思うんだよね」

 シェリーは左手に目を向けて目を細めながら呟く。

>なんすか

>ロクでもない思いつきだろ

>な

「これ地味に階層自体が前後反転してそう」

 なんせ今は右手にステンドグラスがあり、左手に扉があるのだ。蜘蛛の巣も自分の斜め後ろにあるのが見えてしまったし。

>そん……いや、ええ…

>まぁ進め、いや戻ってみれば?

>異変なのに異変じゃなぁぁい!

「……うっわあの双子ニヤついてる」

 そんなシェリーの推理を聞いたか、向かってこないのを見てか、ニヤリと口角を上げて……何か魔力を……

「ぁぁぁぁやっっっべっけほっけほっ!?」

>何飲んでんだよ

>咽せ助かる

>逃げろやwww

 ビビったシェリーは叫ぶついでについクリエナを補給してしまって咽せた。けれど速攻で踵を翻し後ろの扉をオープンし飛び込んだのが功を奏したのか……なんとか、無事に第四階層まで辿り着けたようだ。

「……推理あってたっぽいねぇ」

>マジかぁ

>敵も強いし異変も難しい。これはシェリーもクリアできるかな…?

「ま、余裕だっての。手の内が割れたらなーんにも怖くなっしんぐっ!」

 シェリーの8層ダンジョン後半戦は、まだ始まったばかりである。

 

 

シェリーの武器評価 変則二刀流編


初心者向けじゃないけど実は結構強いよ。

個人的にはもちろん右手は使いやすい片手剣がイイんだけど、もう片方の手は臨機応変に装備を選択できるからねー。

探検だとソードブレイカー的に、片手斧だと投げたり、ハンマーだと砕いたり。使用方法の幅が広くて一概にはいえないかな。





いやだからなんでオファニエルと比較するのって。そのうちお前ら全員オファニエ(ギャリリルァ)るよ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ